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受信電力と回線収支(電力束密度・衛星回線)

レベル図

送信電力から受信電力までのレベル図[dBW]。送信利得で上がり、自由空間損失で大きく下がり、受信利得で戻る。

この図の読み方

  1. 横に並ぶ4つの段は、送信機の出力から受信機の入力までの順番。縦軸は電力のレベル[dBW]。
  2. 2段目で送信利得の分だけ上がる。この高さがEIRP(等価等方輻射電力)。
  3. 3段目の大きな落ち込みが自由空間損失。距離か周波数を上げると深くなる。
  4. 最後に受信利得の分だけ戻った高さが受信電力。目標値との差がそのまま、利得を何dB足せばよいかになる。

この計算が問われる場面

対象: 一陸技 / 無線工学B

出題頻度: A問題でほぼ毎期1問。送信電力と利得から電力束密度を出して実効面積を掛ける問題と、静止衛星への上り回線で受信入力から地球局の利得を逆算する問題が交代で出る

送信アンテナから出た電力は、距離 d の球面に広がっていく。利得 Gt のアンテナはその電力を正面に Gt 倍集めるので、正面の1m²あたりに届く電力(電力束密度)は PtGt/(4πd²) になる。受信アンテナは、この密度の電波を実効面積 Ae の大きさの網で受け止めるように働き、取り出せる電力は密度×Ae である。Ae を λ²Gr/(4π) に置き換えて dB で書くと、送信電力に両方の利得を足して自由空間損失を引くだけの回線収支になる。静止衛星まで3万6千kmあっても、考え方は同じ足し引きである。

公式の読み方

  • S電力束密度[W/m²]。距離の2乗に反比例する
  • Pt, Gt送信電力[W]と送信アンテナの絶対利得(真数)
  • Ae受信アンテナの実効面積[m²]。Ae=λ²Gr/(4π)
  • L自由空間基本伝送損[dB]。32.45+20log f[MHz]+20log d[km]
  • Pr受信アンテナから取り出せる最大の電力

試験の頻出ポイント

  • 電力束密度は PtGt/(4πd²)。距離は m に直す。km のまま入れると 10⁶ 倍ずれる
  • 受信電力は電力束密度×実効面積。利得で与えられたら Ae=λ²G/(4π) に直す
  • dB の回線収支は Pr=Pt+Gt+Gr−L。W を dBW に直すときは 10log₁₀
  • 静止衛星 36000km・10GHz の自由空間損失は約203.6dB。ここから地球局の利得を逆算する
  • 距離が2倍で受信電力は1/4(−6dB)。周波数を変えても Ae で与えた受信電力は変わらない

シミュレータで確認する

  1. 距離を2倍にする観察: 電力束密度と受信電力がどちらも約6dB下がる→ 球面の面積が4倍になるので、密度は1/4になる
  2. 受信を「実効面積」にして周波数を変える観察: 受信電力は変わらず、対応する受信利得だけが動く→ 同じ面積なら取り出せる電力は同じ。利得は面積を λ² で測った値
  3. 衛星の例で、受信電力が目標値になるまで送信利得を動かす観察: 送信利得を1dB上げると受信電力もちょうど1dB上がる→ dB の回線収支は足し引きだけ。逆算は差を取るだけで済む

例題

送信電力10W、送信アンテナの絶対利得30dBのとき、10km離れた地点で実効面積0.8m²の受信アンテナが取り出せる最大電力を求めよ。自由空間とし、損失は無いものとする。

  1. 利得を真数へ: 30dB→1000
  2. 電力束密度: S=10×1000/(4π×(10⁴)²)≒7.96×10⁻⁶W/m²
  3. 受信電力: Pr=S×Ae=7.96×10⁻⁶×0.8≒6.4×10⁻⁶W

答え: 約6.4×10⁻⁶W

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自由空間損失そのものの距離・周波数特性は自由空間伝搬損失で、回線のなりたちは教科書「送信から受信まで」で確かめられます。