ナイフエッジ回折損失
断面図
━ 第1フレネルゾーン / --- 見通し線(LoS) / 縦は誇張表示TxRx
楕円は第1フレネルゾーンの輪郭。ナイフエッジがこの楕円へ食い込む深さがvを決め、そのまま回折損失の大きさになる。
この計算が問われる場面
対象: 一陸技・二陸技 / 無線工学B(一陸技)/無線工学(二陸技)
出題頻度: 頻出。フレネルパラメータvの計算と、v=0で6dBという性質の正誤問題が定番
山の稜線などの障害物で電波が遮られても、波は縁で回り込む(回折)ため受信点は完全な圏外にはならない。損失の大きさを1つの無次元数に集約したのがフレネルパラメータvで、見通し線からの突出量hをフレネルゾーンの太さで測り直した量といえる。最重要なのはv=0、つまり稜線が見通し線ぎりぎりのときでも約6dB失われること——波面の半分が遮られ、受信点の電界がちょうど1/2になるからである。hが負(見通し内)なら損失は急速に0へ近づき、正に深くなるほどvに従って損失が増えていく。
公式の読み方
- h見通し線からの突出量[m]。正=遮蔽、負=見通し内。符号がそのままvの符号になる
- √(2(d₁+d₂)/(λd₁d₂))hをフレネルゾーン規模で規格化する係数。λが小さい(周波数が高い)ほどvは大きい
- L_d回折損失[dB, 正値]。vの区分近似(Lee式)で求め、v=0で6.02dB、v>2.4では約13+20log₁₀v
試験の頻出ポイント
- v=0(見通しぎりぎり)でも損失は約6dB。「0dB」と答えさせる引っかけが最頻出
- hの符号規約: 正=遮蔽・負=見通し内。負側でvが−1以下なら損失はほぼ0dBとみなせる
- 同じ地形でも周波数が高いほどvが大きく損失も増える。v∝√(1/λ)の依存性を押さえる
- 総合損失は自由空間損失+回折損失のdB加算。回折損失単独の値と混同しない
- Lee近似はv=2.4境界に約0.8dBの段差を持つ区分近似式。近似式の性質であり物理現象ではない
シミュレータで確認する
- f=1000MHz・d=20km・d₁=10kmで、hを0mに合わせる観察: v=0で回折損失が6.02dBと表示される→ 波面の半分が遮られると電界1/2=−6dB。本モード最大の頻出点
- hを0→20mへ上げる観察: v≒0.73、損失は約12.0dBへ増える→ 0<v≤1ではvにほぼ比例してdB損失が伸びる区間になっている
- hを−50mまで下げる観察: v≒−1.83で損失0dB(見通し内)→ 第1フレネルゾーンが十分空けば自由空間並みに戻る
例題
周波数1000MHz、d₁=d₂=10kmの中間点に、見通し線から20m突出するナイフエッジがある。回折損失を求めよ。
- λ=300/1000=0.3m、d₁=d₂=10000mに揃える
- v=20×√(2×20000/(0.3×10000×10000))≒0.73
- 0<v≤1の近似式 L_d=−20log₁₀(0.5e^(−0.95v)) ≒12.0dB
答え: 約12.0dB