自由空間伝搬損失
距離減衰カーブ(f = 1000 MHz)
横軸(距離)が対数のとき減衰カーブは直線になる。傾きは20dB/decade — この直線が見えたら式を理解できている。
この計算が問われる場面
対象: 一陸技・二陸技 / 無線工学B(一陸技)/無線工学(二陸技)
出題頻度: ほぼ毎回出題。単独計算のほか、回線設計問題の前提計算としても登場
アンテナから放射された電力は球面状に広がるため、受信点の電力密度は距離の2乗に反比例して薄まる。さらに受信アンテナが捕捉できる実効面積は波長の2乗に比例するため、周波数が高いほど同じ距離でも損失は大きくなる。つまり自由空間損失は「電波が減衰する」現象ではなく、「広がって薄まる」効果と「高い周波数ほど拾いにくい」効果の合成である。この見方ができると、式の20log項2つの由来が暗記なしで説明できる。
公式の読み方
- 32.45単位系(f:MHz、d:km)から生じる定数。単位が変わればこの値も変わる
- 20log₁₀f周波数項。fが2倍で+6.02dB、10倍で+20dB
- 20log₁₀d距離項。dが2倍で+6.02dB、10倍で+20dB。周波数項と完全に対称
試験の頻出ポイント
- fもdも「2倍で+6dB、10倍で+20dB」。log₁₀2≒0.301 の暗記が全ての前提になる
- 定数32.45は f:MHz・d:km 専用。f:GHz なら 92.45(=32.45+60)。単位の引っかけが頻出
- 波長表記 Lfs=(4πd/λ)² との相互変換。真数式とdB式を往復できるかが問われる
- 「自由空間」=直接波のみで反射・回折・大気吸収なし、という前提条件自体が正誤問題で出る
- 本試験はdBの加減算だけで解ける数値設計になっている。真数計算を始めたら出題意図を外している
シミュレータで確認する
- f=1000MHz固定で d を10→20kmへ観察: 損失が+6.0dB増える→ 距離2倍=+6dBを操作で体感する
- d を10→100kmへ観察: +20dB増え、片対数グラフ上で直線に乗る→ 20dB/decade の傾きを視覚で記憶する
- d固定で f を1000→2000MHzへ観察: こちらも+6.0dB→ 式の上で f と d は対称。どちらの2倍も同じ+6dB
例題
周波数10GHz、距離10kmのときの自由空間伝搬損失を求めよ。
- f=10GHz=10000MHz、d=10km に揃える
- 20log₁₀(10000)=80dB、20log₁₀(10)=20dB
- Lfs=32.45+80+20=132.45dB
答え: 約132.5dB