アンテナの指向性パターン
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指向性パターン(半波長ダイポール単体)
同心円は0/−10/−20/−30dBの相対レベル。外周へ届くほど強く、中心へ食い込む方向がヌル。
この図の読み方
- 半径が相対レベル。外周が最大方向(0dB)で、同心円は−10/−20/−30dBの目盛り、中心が−40dB以下。
- 0°は素子軸(ダイポール)またはアレイ軸(2素子)の方向。角度目盛りは30°刻みで、時計回りに読む。
- パターンが中心へ深く食い込む方向がヌル。2素子の電波がちょうど打ち消し合って放射が消える方向。
- 主ローブが−3dBまで下がる2方向の間隔が半値幅(HPBW)。狭いほど鋭い指向性で、利得も高くなる。
- d/λを広げるほど主ローブは細くなるが、λに近づくと別方向にも同じ高さのグレーティングローブが立つ。2素子アレイの図は等方性素子を仮定したアレイファクタだけで、実際は素子パターン×アレイファクタになる。
この計算が問われる場面
対象: 一陸技・二陸技 / 無線工学B(一陸技)/無線工学(二陸技)
出題頻度: 半波長ダイポールの8の字パターンと半値幅、2素子アレイのブロードサイド・エンドファイア条件は空中線系の定番。八木・宇田やアレイアンテナの設問の土台になる
アンテナは電波を作り出す装置ではなく、配り方を決める装置である。半波長ダイポールは素子と直角の方向へ強く放射し、素子の延長方向へはまったく放射しない8の字を描く。そこへ同じ素子をもう1本並べ、間隔d/λと給電位相差δを選ぶと、電波が強め合う方向と打ち消し合う方向を設計できるようになる。同相で半波長離せば軸と直角に鋭いブロードサイド、位相を90°遅らせて1/4波長離せば軸方向へ飛ぶエンドファイア。八木・宇田もフェーズドアレイも、この2素子の合成の延長線上にある。
公式の読み方
- θ素子軸(ダイポール)またはアレイ軸から測った角度。θ=90°が軸と直角の方向
- F(θ)半波長ダイポール単体の放射パターン。θ=90°で最大1、θ=0°・180°で0
- d/λ素子間隔を波長で測った値。行路差による位相差 2π(d/λ)cosθ を決める
- δ2素子の給電位相差。入力は度、式へはラジアンで代入する(δ[rad]=πδ[°]/180)。δ=0でブロードサイド、δ=−2π(d/λ)[rad]=−360(d/λ)[度]でエンドファイア
試験の頻出ポイント
- 半波長ダイポールは素子と直角方向が最大、素子軸方向がヌル。半値幅は約78°、利得2.15dBi
- ブロードサイドはδ=0で軸と直角方向が最大。軸方向(θ=0°・180°)がヌルになるのはd=(2n+1)λ/2のときで、d=λでは同方向にグレーティングローブが立つ
- エンドファイアはδ=−2π(d/λ)[rad]=−360(d/λ)[度]。d=λ/4なら δ=−90°で軸方向へビームが向く
- 素子間隔をλ以上に広げるとグレーティングローブが現れ、主ローブと同じ強さの不要放射になる
- 全体のパターンは素子パターン×アレイファクタ(パターン乗積の原理)で求める
- 半値幅は電力が半分(−3dB)になる2方向の間隔。狭いほど鋭い指向性で利得が高い
シミュレータで確認する
- ダイポール単体のまま図を眺める観察: 0°と180°(素子軸)でパターンが中心まで食い込み、90°で外周に届く→ 電流の揺れが「見える」真横が最大、揺れが見えない軸方向がヌルになる
- 2素子アレイに切り替え、d=λ/2・δ=0にする観察: 90°方向のローブが細くなり、半値幅が78°から60°へ縮む→ 素子を並べるだけで、電力を増やさずにビームを絞れる
- δを0から−90°へ動かし、d=λ/4にする観察: 主ローブが90°方向から0°方向へ回り、180°側にヌルができる→ 給電の位相差が行路差を打ち消す方向へビームが向く(エンドファイア)
- d/λを1.0まで広げる観察: 0°と180°にも主ローブと同じ高さのローブが現れる→ 間隔を広げすぎるとグレーティングローブが立ち、指向性が壊れる
例題
等方性素子を1/2波長間隔で2本並べ、同相(δ=0)で給電した。アレイ軸から60°の方向の相対振幅と、主ローブの半値幅を求めよ。
- アレイファクタ A(θ)=|cos(π(d/λ)cosθ+δ/2)| に d/λ=0.5、δ=0 を代入する
- A(θ)=|cos((π/2)cosθ)|。θ=60°では cos60°=0.5 なので A=|cos(π/4)|=0.707
- 0.707は電力が半分になる点。20log₁₀0.707=−3.0dB なので θ=60°は半値点
- 対称な θ=120° も半値点だから、半値幅は 120°−60°=60°
答え: 相対振幅0.707(−3.0dB)、半値幅60°
なぜダイポールが8の字になるのかを言葉から確かめたいときは、無料の基礎講座「アンテナの基礎 — 波長で読み解くダイポールと指向性」の第4〜5章を先に読むのがおすすめです。