整合回路(L形・3素子)
回路と整合の度合い
横軸は動かす素子のリアクタンス(L形は並列素子、3素子は共通のX)、縦軸は線路から見た反射係数の大きさ|Γ|。
この図の読み方
- 上の回路図は、左が線路(Z₀)、右がアンテナ(R)。素子の横の値がいま入れているリアクタンス。
- グラフの縦軸 |Γ| は、線路から見た反射の大きさ。0なら完全に整合している。
- 曲線の谷の位置が整合する素子の値。琥珀色の縦線がいま入れている値で、谷に重ねれば整合する。
- L形では直列素子の値を変えると谷の深さそのものが変わる。設計値の組でだけ0まで下がる。
この計算が問われる場面
対象: 一陸技 / 無線工学B
出題頻度: A問題の給電線でほぼ毎期1問。平行二線と半波長ダイポールをL形回路で結ぶ素子値と、大きさの等しい3素子で整合させるリアクタンスが交代で出る
抵抗の値が違う線路とアンテナをそのままつなぐと反射が起きる。損失のないコイルとコンデンサだけで間を取り持つのが整合回路である。L形では、高い側に並列素子を置いて抵抗を見かけ上下げ、低い側の直列素子で残ったリアクタンスを打ち消す。どれだけ下げるかは抵抗の比で決まり、Q=√(高/低−1) から両方の素子が一度に出る。大きさの等しい3素子を直列・並列・直列(または並列・直列・並列)に並べた回路は、入力が X²/R になり、1/4波長の線路と同じ働きをする。だから X=√(Z₀R) で整合する。
公式の読み方
- R_H, R_L整合させる2つの抵抗のうち高い側と低い側[Ω]
- Q回路のとがり具合。抵抗の比だけで決まる
- Xs低い側に直列に入れる素子のリアクタンス[Ω]
- Xp高い側に並列に入れる素子のリアクタンス[Ω]
- X_T,π大きさの等しい3素子で整合させるときのリアクタンス[Ω]
試験の頻出ポイント
- L形は高い側に並列、低い側に直列。730Ωと73Ωなら Q=3 で、並列は Z₀/3、直列は R×3
- 素子値へは C=1/(ωXp)、L=Xs/ω。ω=2πf で、周波数が20/π MHz なら ω=4×10⁷
- 直列素子を上下2個に分けて平衡にする問題では、1個あたりのリアクタンスは半分になる
- 3素子のT形・π形は入力が X²/R になる。1/4波長変成器と同じで、X=√(Z₀R)
- 符号に注意。直列と並列で一方がコイルなら他方はコンデンサになる
シミュレータで確認する
- L形で、並列素子のリアクタンスを設計値の前後に動かす観察: |Γ| が設計値のところで0まで下がる谷になる→ 整合は1点でしか成り立たない。並列と直列の両方がそろって初めて0になる
- 負荷抵抗を変えて、設計値の Q と素子値を見る観察: 抵抗の比が大きいほど Q が上がり、並列素子のリアクタンスが小さくなる→ 比が大きいほど大きく抵抗を変換する必要があり、回路が鋭くなる
- T形と π形を切り替え、X を √(Z₀R) に合わせる観察: どちらも同じ X で整合し、入力抵抗が X²/R で動く→ 3素子回路は1/4波長線路の置き換え。並べ方が違っても条件は同じ
例題
特性インピーダンス600Ωの平行二線と入力抵抗60Ωのアンテナを、線路側に並列コンデンサ、アンテナ側に直列コイルを置くL形回路で整合させる。周波数5MHzでのコンデンサとコイルの値を求めよ。
- Q=√(600/60−1)=√9=3
- 並列のリアクタンス: Xp=600/3=200Ω、直列のリアクタンス: Xs=60×3=180Ω
- ω=2π×5×10⁶≒3.14×10⁷ rad/s
- C=1/(ωXp)≒159pF、L=Xs/ω≒5.73µH
答え: 約159pF と 約5.73µH
1/4波長の線路やスタブで整合する方法は伝送線路で、整合回路の設計の考え方は教科書「給電線と整合回路」で確かめられます。