受信系の雑音(NF・雑音温度)
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受信系の縦続イメージ
信号はアンテナ→初段LNA→後段受信機の順に流れる。内訳バーの赤(後段の寄与)が、初段利得G₁を上げるほど縮んでいく。
総合NF vs 初段利得(NF₁ = 1 dB、NF₂ = 8 dB)
横軸は初段利得G₁。利得を上げるほど後段の雑音寄与が1/G₁で圧縮され、総合NFは初段のNF₁(破線)へ漸近する。
この図の読み方
- 横軸は初段(LNA)の利得G₁、縦軸は受信系全体の総合雑音指数。曲線は今のNF₁・NF₂の組み合わせでの特性。
- 右へ行くほど下がるのは、後段の雑音寄与(F₂−1)がG₁で割られて圧縮されるから(フリスの式の第2項)。
- 曲線は初段のNF₁(下側の破線)より下には行けない。初段の雑音だけは、どれだけ利得を上げても消せない。
- 琥珀色の点が今のスライダー設定値。G₁を動かすと点が曲線の上を走る。
- NF₂を悪化させると曲線の左側だけが持ち上がる。初段の利得が十分なら後段の性能はほぼ効かない。
この計算が問われる場面
対象: 一陸技・二陸技 / 無線工学B(一陸技)/無線工学(二陸技)
出題頻度: 雑音指数と等価雑音温度の換算、縦続接続の総合雑音指数は定番。kTBとC/N、G/Tは回線設計問題の土台として登場
受信機の性能は「どれだけ増幅できるか」ではなく「どれだけ静かに増幅できるか」で決まる。どんな受信機も信号と一緒に自分自身の雑音を足してしまい、その悪化ぶりを表すのが雑音指数NFである。そして縦続接続には劇的な性質がある——初段の利得G₁が、後段の雑音を(F₂−1)/G₁へ圧縮してしまうのだ。アンテナ直下に低雑音増幅器(LNA)を置くと受信系全体が生き返る理由、衛星受信でLNBの性能が支配的な理由が、フリスの式1本から読み取れる。
公式の読み方
- F₁, F₂各段の雑音率(真数)。NF[dB]を10^(NF/10)で戻してから式へ入れる
- G₁初段の利得(真数)。大きいほど後段の雑音寄与(F₂−1)/G₁を圧縮する
- Te等価雑音温度[K]。受信機の雑音を「温度」で言い換えた同じ情報
- T₀ = 290K基準温度。NF⇔Te換算はこの290Kを介して行う
試験の頻出ポイント
- NFとTeは同じ情報の別表現。Te=290(F−1)、F=1+Te/290 の往復を即答できるようにする
- フリスの式は必ず真数で計算する。dBのまま足すのは典型的な誤り
- 初段の利得が大きいほど総合NFは初段のNFへ漸近する。LNAをアンテナ直下に置く理由
- 熱雑音はkTB。290Kで−174dBm/Hz、帯域10倍ごとに+10dBを暗記しておく
- G/T[dB/K]=G−10logT は受信系の性能指数。Tには雑音温度の合計(空+受信機)が入る
シミュレータで確認する
- 初段利得G₁を0dBにする観察: 総合NFがほぼ後段のNF₂まで悪化する→ 初段に利得が無いと、後段の雑音がそのまま系全体を支配する
- G₁を0→20dBへ上げる観察: 曲線に沿って総合NFが急降下し、初段のNF₁へ近づく→ (F₂−1)/G₁の圧縮効果。フリスの式が目の前でグラフになる
- 後段NF₂を8→16dBへ悪化させる観察: G₁が小さい左側だけが持ち上がり、右側はほぼ動かない→ 初段の利得が十分なら、後段の性能はほとんど効かなくなる
例題
雑音指数1dB・利得10dBの低雑音増幅器の後段に、雑音指数10dBの受信機を接続した。総合雑音指数と等価雑音温度を求めよ。
- 真数へ戻す: F₁=10^0.1=1.259、G₁=10^1=10、F₂=10^1=10
- フリスの式: F=1.259+(10−1)/10=1.259+0.9=2.159
- NF=10log₁₀(2.159)≈3.3dB
- Te=290×(2.159−1)≈336K
答え: 総合NF約3.3dB、Te約336K