接地アンテナ(延長コイル・逆L形の実効高)
逆L形アンテナの電流分布と実効高
全長と基部のリアクタンス(いまの周波数)
横軸は全長÷波長、縦軸は基部から見たリアクタンス[Ω]。0の線を越える点が λ/4 共振で、琥珀色の縦線がいまの全長。
この図の読み方
- 上の図は逆L形アンテナと、素子に乗る電流の大きさ(水色の帯)。給電点で最大、先端で0になる正弦分布で描いている。
- 点線の長方形は、垂直部の電流を同じ面積の一様電流に置き換えたもの。その高さが実効高 he になる。
- 下のグラフは、いまの周波数で全長を変えたときの基部リアクタンス。λ/4 より短いと負(容量性)、長いと正(誘導性)。
- 負の領域では延長コイルで打ち消して共振させる。曲線が0に近いほど、必要なコイルは小さい。
この計算が問われる場面
対象: 一陸技 / 無線工学B
出題頻度: A問題で年1問ほど。垂直接地アンテナの延長コイル、逆L形アンテナの実効高、1/4波長逆L形のメートルアンペアが交代で出る
大地を鏡とみなすと、垂直接地アンテナは地中に影を持つダイポールの上半分になる。素子を先端開放の線路と考えれば、基部から見たリアクタンスは −Z₀cotβl で、長さが λ/4 より短いと容量性になる。その分を打ち消すのが基部の延長コイルで、ωL=Z₀cotβl で共振する。逆L形では電流が給電点で最大、先端で0の正弦分布になり、水平部の電流は大地の影と打ち消し合うので、放射に効くのは垂直部の電流だけである。垂直部の電流を面積の等しい一様電流に直した高さが実効高で、電流×高さがメートルアンペアになる。
公式の読み方
- Z₀素子(アンテナ導線)の特性インピーダンス[Ω]
- βl, kL位相定数×長さ。β=k=2π/λ、λ=300/f
- L延長コイルのインダクタンス[H](式の左辺)、または逆L形の全長 a+b[m]
- b逆L形の垂直部の高さ[m]。水平部 a は実効高に直接は入らない
- he実効高[m]。全長がλ/4なら (λ/2π)sin(2πb/λ)
- Mメートルアンペア[m·A]。垂直部の電流を一様とみなす問題では I₀·b
試験の頻出ポイント
- 延長コイルは ωL = Z₀cotβl。βl をラジアンで出し、λ=300/f を先に求めておく
- 長さがちょうど λ/8 なら cotβl=1 で、ωL=Z₀ になる。数値の組はこの形が多い
- 逆L形の実効高は全長λ/4なら (λ/2π)sin(2πb/λ)。水平部の長さは全長を通じて効く
- メートルアンペアの問題で「垂直部は一様分布」とあれば I₀×垂直部の高さで、全長λ/4の条件で水平部が決まる
シミュレータで確認する
- 水平部を0にして、垂直部の高さを λ/4 より短い値から伸ばしていく観察: 基部のリアクタンスが負から0へ近づき、延長コイルが小さくなる→ 短い素子ほど容量性が強く、大きなコイルで補う必要がある
- 全長を λ/4 に保ったまま、垂直部を短く・水平部を長くする観察: 実効高とメートルアンペアが下がり、図の垂直部の電流が小さくなる→ 放射に効くのは垂直部の電流だけで、給電点に近い大きな電流を垂直に立てるほど有利
- 素子の特性インピーダンスを変える観察: 同じ長さ・周波数でも、延長コイルのインダクタンスが Z₀ に比例して変わる→ ωL = Z₀cotβl なので、細い(Z₀の大きい)素子ほど大きなコイルが要る
例題
特性インピーダンス400Ω、長さ20mの垂直接地アンテナを1.875MHzに共振させたい。基部に入れる延長コイルのインダクタンスを求めよ。大地は完全導体とする。
- 波長: λ=300/1.875=160m
- 位相: βl=2π×20/160=π/4 なので cotβl=1
- 共振条件: ωL=Z₀cotβl=400Ω
- インダクタンス: L=400/(2π×1.875×10⁶)≒33.9×10⁻⁶H
答え: 約34µH
大地の影像や電流分布の考え方を文章で確かめたいときは、教科書「アンテナの基礎」を読むのがおすすめです。