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電波の基礎|深掘り編

アンテナの基礎 — 波長で読み解くダイポールと指向性

アンテナの教科書には「半波長ダイポール」「λ/4接地アンテナ」「開口面の直径D/λ」と、波長λを含む言葉が繰り返し現れる。これは偶然ではない——アンテナの寸法は、メートルではなく波長で測るのが正しい単位系である。同じ1mの導線が、150MHzでは共振する立派なアンテナになり、3MHzではほとんど電波を出せない飾りになる。この講座は、導線から電波が飛び出す瞬間から出発し、半波長ダイポールという「原器」を波長の物差しで解剖し、八木・宇田アンテナとパラボラまでを「すべてλとの比で決まる」という一本の筋で読み解く。

第1章 なぜ導線から電波が出るのか

コンデンサに交流をつなぐと、2枚の極板の間の空間に、向きが変わり続ける電界ができる。基礎編で見たとおり、変化する電界は磁界の渦を生み、変化する磁界は電界の渦を生む——電波が生まれる材料はすでに揃っている。ところが普通のコンデンサから電波はほとんど飛ばない。極板が向かい合っているせいで、電界が狭い隙間に閉じ込められているからだ。

① コンデンサ電界は隙間の中だけ② 開いていく電界が空間へ張り出す③ ダイポール空間全体で振動 = 放射アンテナ = 回路の振動を空間の振動へ「開く」装置
コンデンサの極板を左右へ開いていくと、閉じ込められていた電界が空間へ大きく張り出し、ついには1本の直線=ダイポールになる。アンテナは「開いたコンデンサ」である。

そこで極板を観音開きに開いてみる。電界は隙間から解放されて空間へ大きく膨らみ、極板を開き切って1本の直線にしたとき、電界と磁界の入れ替わりは導線の周りの空間全体で起きるようになる。これがダイポール(dipole=2つの極)アンテナの正体だ。アンテナとは、回路の中に閉じ込められていた電気の振動を、空間の振動へ「開いて」やる変換装置である。

第2章 半波長ダイポール — アンテナの原器

では導線の長さはいくらでもよいのか。ここで初めて波長が主役として登場する。中央から給電した導線の上では、電流の波が両端へ走り、開放端で行き止まって反射し、戻ってくる。VSWR教材で見た定在波と同じ現象が、アンテナの上でも起きるのだ。導線の全長がちょうど半波長(λ/2)のとき、行きの波と帰りの波が重なって、開放端で電流0・中央で電流最大という美しい定在波が安定して立つ。これが共振である。

給電点(電流最大)電流 I(中央で最大・両端で0)電圧 V全長 λ/2(150MHzなら1m)開放端で反射した波が重なり、λ/2でちょうど定在波が立つ = 共振
半波長ダイポール上の定在波。電流(シアン)は中央の給電点で最大・両端でゼロ、電圧(琥珀)はその逆。全長λ/2がこの分布を成立させる特別な長さである。

半波長ダイポールの全長。λ=300/f[MHz]の半分で、150MHzならちょうど1m(片側λ/4=50cmずつ)。実際の導線では波がわずかに遅く進むため、計算値より数%短く作る(短縮率0.95前後)。

共振したダイポールの給電点を回路側から見ると、約73Ωの純抵抗に見える。ただしこの「抵抗」は熱を出す普通の抵抗ではない。流し込んだ電力が電波として空間へ持ち去られていく様子が、回路からは抵抗と同じに見えるだけだ。この見かけの抵抗を放射抵抗と呼ぶ。73Ωという値が同軸ケーブルの特性インピーダンス(50Ωや75Ω)と近いことが、ダイポールが「つなぎやすい」アンテナである理由でもある。

第3章 アンテナはメートルではなく波長で測る

前章の結論を裏返すと、アンテナの世界の基本原理が見えてくる。同じ1mの導線が、150MHz(λ=2m)では全長λ/2の共振アンテナ、1.5GHz(λ=0.2m)では5波長もある別物のアンテナ、3MHz(λ=100m)ではλ/100の「電気的に短い」ほぼ無力な導線になる。導線の性質を決めるのは絶対的な長さではなく、波長との比=電気長である。だからアンテナの図面には、mやcmと並んで必ずλ/2、λ/4、0.25λといった波長表記が書き込まれる。

「共振するアンテナの大きさ」は周波数が決める(バーの長さは目安)1MHz(中波放送)λ/2 = 150 m80MHz(FM放送)λ/2 ≈ 1.9 m150MHz(業務無線)λ/2 = 1 m900MHz(携帯電話)λ/2 ≈ 17 cm12GHz(衛星放送)λ/2 ≈ 1.3 cm同じ式 λ/2 = 150/f[MHz] が、鉄塔から数cmの素子までを生む
周波数ごとの半波長の実寸。中波放送では100m級の鉄塔、FM放送で1.5m、マイクロ波では数cmになる。「アンテナの大きさ」は周波数が決める。

波長の物差しは、λ/2を確保できないときの工夫も説明してくれる。代表が接地アンテナ(λ/4モノポール)だ。垂直のλ/4素子を大地(またはそれに代わる地線)の上に立てると、大地が鏡になって地中に「映った」λ/4のイメージが現れ、全体として半波長ダイポールと同じ電流分布が完成する。素子の実体は半分しかないので、放射抵抗も73Ωの約半分の36〜37Ωになる。中波放送の鉄塔も、車のホイップアンテナも、みなこの原理である。

λ/4接地アンテナの素子長。1000kHz(1MHz)の中波放送なら75mの鉄塔、900MHzの携帯電話なら約8.3cmの小さな素子になる。同じ式が周波数によってまったく違う風景を生む。

夕暮れの水田地帯に立つ、支線で支えられた鉄塔。塔は画面の上端を超えて伸び、赤い航空障害灯が点いている。根元には軽自動車が1台停まっていて、その対比から塔がきわめて高いことが分かる。
中波放送の送信鉄塔。1MHzならλ/4=75m、λ/2=150mになるので、塔そのものがアンテナの寸法である。根元の車と見比べてほしい——「アンテナの大きさは周波数が決める」とは、この規模の話でもある。(生成AIによるイメージ。実在の設備を撮影したものではありません)

第4章 指向性と利得 — 電波をどこへ向けるか

ダイポールの放射には向きの癖がある。導線の真横へは強く放射するが、導線の延長線上(先端方向)へはまったく放射しない。電流が上下に揺れているのだから、その揺れが「見える」真横が最も強く、揺れが見えない真上・真下(先端方向)がゼロになる、と考えると直感に合う。放射の強さを方向ごとに描いた図形を指向性パターンと呼び、ダイポールでは断面が8の字になる。

導線(素子)真横で最大延長線上はゼロ立体では8の字を導線を軸に一回転させたドーナツ形。この偏りが利得2.15dBiの正体
半波長ダイポールの指向性パターン(断面)。導線と直角の方向で最大、導線の延長方向でゼロの8の字。立体では、この8の字を導線を軸に一回転させたドーナツ形になる。

放射の総量は増やせない(入れた電力以上は出ない)が、向きを偏らせることはできる。全方向へ均等に放射する仮想の等方性アンテナと比べ、最も強い方向で何倍の電力密度になるかを表したのが絶対利得(dBi)である。半波長ダイポールは真横へ集中するぶん等方性より1.64倍=2.15dB強い。つまり2.15dBiだ。実際のアンテナをダイポール基準で測った相対利得(dBd)との間には、常にこの2.15dBの差がある。

絶対利得と相対利得の換算。基準が等方性アンテナ(dBi)か半波長ダイポール(dBd)かの違いだけで、アンテナ自体は同じもの。試験では単位の読み違いを誘う出題が多い。

第5章 指向性アンテナ — 八木・宇田とパラボラ

指向性を積極的に作り込んだ代表が八木・宇田アンテナである。給電するのは中央の放射器(ほぼλ/2のダイポール)1本だけ。その後ろにλ/2より少し長い反射器、前にλ/2より少し短い導波器を、給電せずにただ並べる。各素子は放射器の電波を受けて再放射し、素子の長さのズレ(長い=誘導性、短い=容量性)が再放射の位相をずらす。その位相が、前方では強め合い・後方では打ち消し合うよう設計されているため、電波は前方へ束ねられる。素子の長さも間隔(0.1〜0.3λ)も、すべて波長で決まる。

反射器λ/2より長い放射器≈λ/2(給電)導波器1λ/2より短い導波器2間隔 0.1〜0.3λ放射方向給電は放射器1本だけ。長さのズレが位相を整え、前方で強め合う
八木・宇田アンテナ。給電は放射器だけで、少し長い反射器と少し短い導波器が無給電で位相を整え、電波を前方(導波器側)へ集める。寸法はすべてλとの比で設計する。
青空を背景に横から見た八木・宇田アンテナ。左端に格子状の反射器と、給電箱と同軸ケーブルの付いた輻射器があり、そこから右へ向かって十数本の素子が少しずつ短くなりながら並んでいる。背景には日本の瓦屋根の住宅が写っている。
屋根の上の八木・宇田アンテナ。左端の格子が反射器、給電ケーブルの付いた素子が放射器で、そこから右へ導波器が少しずつ短くなりながら並ぶ。電波が飛ぶのは素子が短くなっていく側——つまりこの写真では右方向である。(生成AIによるイメージ。実在の設備を撮影したものではありません)

さらに高い周波数では、電波を光のように扱える。パラボラアンテナは、焦点に置いた一次放射器からの球面波を放物面の鏡で反射させ、そろった平面波として送り出す。ここで波長の物差しが最後の主役になる——性能を決めるのは皿の直径Dそのものではなく、直径が波長の何倍あるか(D/λ)である。

一次放射器(焦点)そろった平面波開口 D利得はD/λの2乗: G = η(πD/λ)²、ビーム幅は約70λ/D度
パラボラアンテナ。焦点からの球面波を放物面が平面波に変換する。利得は開口の直径と波長の比D/λの2乗で増え、ビーム幅は約70λ/D度まで細くなる。
草地に据えられた直径10mほどの白い大型パラボラアンテナ。滑らかな放物面の中央前方に、細い支柱で支えられた一次放射器が置かれている。土台は鉄骨の架台とコンクリートの基礎。
衛星地球局の大型パラボラ。滑らかな放物面の手前、細い支柱で支えられているのが焦点に置かれた一次放射器で、電波はここと放物面の間を往復する。皿が大きいほどD/λが増え、ビームは細く鋭くなる。(生成AIによるイメージ。実在の設備を撮影したものではありません)

開口面アンテナの利得と半値幅。ηは開口効率(0.5〜0.7程度)。D/λを2倍にすると利得は4倍(+6dB)、ビーム幅は半分になる。皿を大きくするのと周波数を上げるのが同じ効果を持つことに注意。

第6章 応用 — 実効面積と、数字の手計算

受信側から見ると、アンテナは空間を飛ぶ電力束密度[W/m²]から電力[W]をすくい取る「網」である。網の見かけの面積を実効面積Aeと呼ぶ。ここに、この講座を締めくくるにふさわしい関係式がある——実効面積は利得と波長だけで決まり、しかもλ²に比例する。

利得と実効面積の関係。同じ利得でも波長が長いほど大きな網になる。半波長ダイポール(G=1.64)ならAe≈0.13λ²で、細い導線なのに空間のλ²規模の範囲から電力を集めていることが分かる。

仕上げに、予告した手計算をやろう。直径D=1.2m、開口効率η=0.6のパラボラを12GHz(λ=300/12000=0.025m)で使う。πD/λ=3.14×1.2/0.025≈151。これを2乗して約22700倍、ηを掛けて約13600倍。デシベルにすれば10log₁₀13600≈41.3dBiである。半値幅は70×0.025/1.2≈1.5°——わずか1.5°のビームに、等方性アンテナの約1.4万倍(41.3dBi=10^4.13)の集中が起きている。この数字はアンテナ利得教材でD=1.2m・f=12GHz・η=0.6に合わせれば、そのまま再現できる。

試験で狙われる要点

  • 半波長ダイポール: 全長λ/2、給電点は電流最大、放射抵抗約73Ω、絶対利得2.15dBi
  • λ/4接地アンテナ: 大地のイメージでダイポール相当、放射抵抗は約半分の36Ω前後
  • dBi = dBd + 2.15。基準アンテナの違いを問う出題が頻出
  • 八木・宇田: 反射器は長く(誘導性)・導波器は短く(容量性)、放射は導波器の方向
  • パラボラ: G=η(πD/λ)²、HPBW≈70λ/D。D/λ2倍で利得+6dB
  • 実効面積 Ae=λ²G/4π。受信電力=電力束密度×Ae

本試験での問われ方

以下は公益財団法人日本無線協会が公表した本試験問題です(英語の科目を除き、国家試験の受験など試験制度の意義に反しない範囲での利用は許諾を求める必要がないと公表されています)。原文は改変せずそのまま掲載し、独自の要約と「この講座で学べる範囲」を添えています。

  1. 令和6年1月期 一陸技「無線工学B」(FB601) A-2(本試験問題)

    この講座が土台を作る範囲

    素子を少しだけ切り詰めて共振させたときの切り詰め割合と素子の太さから、逆に使っていた周波数を割り出す計算問題。素子の太さで決まる特性インピーダンスを経由する。

    A-2 図に示す半波長ダイポールアンテナの入力インピーダンスを純抵抗にするよう素子の長さ l を調整したところ、素子の短縮率が 0.0327 であった。このとき、使用した電波の周波数の値として、最も近いものを下の番号から選べ。ただし、アンテナ素子の直径は、10〔mm〕とし、碍子等による浮遊容量は無視するものとする。 〔図省略〕 1 15〔MHz〕  2 20〔MHz〕  3 30〔MHz〕  4 40〔MHz〕  5 60〔MHz〕

    出典: 令和6年1月期 一陸技「無線工学B」(FB601) A-2(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会
    この講座で学べる範囲
    素子の短縮率、半波長ダイポールアンテナ、共振
    この講座では扱わない範囲
    特性インピーダンス
  2. 令和6年1月期 一陸技「無線工学B」(FB601) A-13(本試験問題)

    この講座が土台を作る範囲

    共振長より短い接地アンテナの基部へ入れるコイルの大きさを求める計算問題。素子が波長の何分の一かを出し、素子が持つ容量性リアクタンスを打ち消す値へ換算する。

    A-13 アンテナ導線(素子)の特性インピーダンスが 628〔Ω〕で、長さ 25〔m〕の垂直接地アンテナを周波数 1.5〔MHz〕に共振させて用いるとき、アンテナの基部に挿入すべき延長コイルのインダクタンスの値として、最も近いものを下の番号から選べ。ただし、大地は完全導体とする。 1 16〔μH〕  2 33〔μH〕  3 50〔μH〕  4 67〔μH〕  5 84〔μH〕

    出典: 令和6年1月期 一陸技「無線工学B」(FB601) A-13(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会
    この講座で学べる範囲
    延長コイル、1/4波長接地アンテナ、共振
    この講座では扱わない範囲
    特性インピーダンス
  3. 令和6年7月期 一陸技「無線工学B」(FB607) A-10(本試験問題)

    この講座が土台を作る範囲

    共振する全長が波長から決まることと、電流分布の形が水平部と垂直部で違うことを使い、電流と長さの積が指定値になる長さの組を選ばせる計算問題。

    A-10 図に示す 5〔MHz〕で共振する 1/4 波長逆 L 型接地アンテナのメートル・アンペアを 20〔m・A〕にするための水平部の長さ l1〔m〕及び垂直部の高さ l2〔m〕の値の組合せとして、正しいものを下の番号から選べ。ただし、アンテナの電流分布は、図に示すように、水平部は正弦波状に分布し、垂直部は一様に分布するものとする。また、給電点電流を 4〔A〕とする。 〔図省略〕   l1     l2 1  5〔m〕  10〔m〕 2 10〔m〕   5〔m〕 3 10〔m〕  10〔m〕 4 12〔m〕   3〔m〕 5 15〔m〕   5〔m〕

    出典: 令和6年7月期 一陸技「無線工学B」(FB607) A-10(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会
    この講座で学べる範囲
    1/4波長接地アンテナ、波長と周波数の関係(λ=300/f)、実効長
    この講座では扱わない範囲
    メートル・アンペア(電流モーメント)
  4. 令和7年1月期 一陸技「無線工学B」(FB701) A-4(本試験問題)

    この講座が土台を作る範囲

    素子を太くすると共振する長さが波長の1/4より短くなることを使い、素子の太さから決まる短縮の割合を経て片側の長さを求める計算問題。

    A-4 図に示す半波長ダイポールアンテナを周波数 20〔MHz〕で使用するとき、アンテナの入力インピーダンスを純抵抗とするためのアンテナ素子の長さ l〔m〕の値として、最も近いものを下の番号から選べ。ただし、アンテナ素子の直径を 7.5〔mm〕、碍子等による浮遊容量は無視するものとし、log10 2 = 0.3 とする。 〔図省略〕 1 2.42〔m〕  2 2.83〔m〕  3 3.63〔m〕  4 4.85〔m〕  5 5.36〔m〕

    出典: 令和7年1月期 一陸技「無線工学B」(FB701) A-4(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会
    この講座で学べる範囲
    半波長ダイポールアンテナ、素子の短縮率、入力インピーダンス、波長と周波数の関係(λ=300/f)
    この講座では扱わない範囲
    特性インピーダンス
  5. 令和7年1月期 一陸技「無線工学B」(FB701) A-11(本試験問題)

    この講座が土台を作る範囲

    3本の素子で構成する指向性アンテナの帯域について、導体の太さ、利得を最優先にしたときの狭まり、他方式との比較を並べ、素子を中心周波数より短くする向きが片方だけ逆になっている記述を選ばせる問題。

    A-11 次の記述は、3 素子八木・宇田アンテナの帯域幅に関する一般的事項について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。 1 対数周期ダイポールアレーアンテナの帯域幅より狭い。 2 放射器、導波器及び反射器の導体が太いほど、帯域幅が広い。 3 導波器の長さが中心周波数における長さよりも短めの方が、帯域幅が広い。 4 反射器の長さが中心周波数における長さよりも短めの方が、帯域幅が広い。 5 利得が最高になるように各部の寸法を選ぶと、帯域幅が狭くなる。

    出典: 令和7年1月期 一陸技「無線工学B」(FB701) A-11(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会
    この講座で学べる範囲
    八木・宇田アンテナ、アンテナの帯域幅・比帯域幅、対数周期ダイポールアレーアンテナ、アンテナ利得
  6. 令和7年1月期 一陸技「無線工学B」(FB701) A-19(本試験問題)

    この講座が土台を作る範囲

    整合した受信系で電界強度から取り出せる電力をどう書くか、雑音指数と熱雑音から必要な信号電力をどう表すか、両者を等置して電界強度について解いた式を組合せで答えさせる問題。分母に4が付くかどうかが分かれ目になる。

    A-19 次の記述は、実効長が既知のアンテナを接続した受信機において、所要の信号対雑音比 S/N (真数)を確保して受信することができる最小受信電界強度を受信機の雑音指数から求める過程について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、受信機の等価雑音帯域幅を B〔Hz〕とし、アンテナの放射抵抗を Rr〔Ω〕、実効長を le〔m〕、最小受信電界強度を Emin〔V/m〕及び受信機の入力インピーダンスを Ri〔Ω〕とすれば、等価回路は図のように示されるものとする。また、アンテナの損失はなく、アンテナ、給電線及び受信機はそれぞれ整合しているものとし、外来雑音は無視するものとする。 (1) 受信機の入力端の有能雑音電力 Ni は、ボルツマン定数を k〔J/K〕、絶対温度を T〔K〕とすれば、次式で表される。  Ni = kTB〔W〕 ・・・・・・①  アンテナからの有能信号電力 Si は、次式で表される。  Si = [ A ]〔W〕 ・・・・・・② (2) 受信機の出力端における S/N は、受信機の雑音指数 F (真数)と式①を用いて表すことができるので、Si は、次式のようになる。  Si = [ B ]〔W〕 ・・・・・・③ (3) 式②と③から、Emin は次式で表されるので、F を測定することにより、受信可能な最小受信電界強度が求められる。  Emin = [ C ]〔V/m〕 〔図省略〕   A           B         C 1 (Emin le)²(1/Rr)   (kTB/F)(S/N)   le√(4kTBRr(S/N)/F) 2 (Emin le)²(1/Rr)   FkTB(S/N)     (1/le)√(4FkTBRr(S/N)) 3 (Emin le)²(1/Rr)   kTB/(F(S/N))    le√(4kTBRr/(F(S/N))) 4 (Emin le)²(1/(4Rr))  FkTB(S/N)     (1/le)√(4FkTBRr(S/N)) 5 (Emin le)²(1/(4Rr))  kTB/(F(S/N))    le√(4kTBRr/(F(S/N)))

    出典: 令和7年1月期 一陸技「無線工学B」(FB701) A-19(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会
    この講座で学べる範囲
    雑音指数(NF)、熱雑音電力kTB、実効長、放射抵抗、電界強度
  7. 令和7年1月期 一陸技「無線工学B」(FB701) B-1(本試験問題)

    この講座が土台を作る範囲

    同じ素子を2本並べた系の相対利得を順に組み立てさせる問題。入力インピーダンスを自己と相互の和で書き、基準アンテナと2素子系それぞれの電界の2乗を供給電力で割った量を並べ、比をとって残る抵抗分の式と、その値を左右する寸法を語群から選ばせる。

    B-1 次の記述は、図に示すように、同一の半波長ダイポールアンテナ A 及び B で構成したアンテナ系の利得を求める過程について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句を下の番号から選べ。ただし、アンテナ系の相対利得 G (真数)は、アンテナ系に電力 P〔W〕を供給したときの十分遠方の点 O における電界強度を E〔V/m〕とし、このアンテナと置き換えた基準アンテナに電力 P0〔W〕を供給したときの点 O における電界強度を E0〔V/m〕とすれば、次式で与えられるものとする。なお、同じ記号の[ ]内には、同じ字句が入るものとする。  G = (|E|²/P)/(|E0|²/P0) = M/M0 ・・・・・・① ただし、M = |E|²/P、M0 = |E0|²/P0 とする。 (1) アンテナ A 及び B の入力インピーダンスは等しく、これを Zi〔Ω〕、自己インピーダンスと相互インピーダンスも等しく、これらをそれぞれ Z11〔Ω〕、Z12〔Ω〕とすれば、Zi は、次式で表される。  Zi = [ ア ]〔Ω〕 ・・・・・・② (2) アンテナ A と同一の半波長ダイポールアンテナを基準アンテナとして、給電点の電流を I〔A〕、Z11 の抵抗分を R11〔Ω〕とすれば、M0 は、次式で表される。  M0 = [ イ ] ・・・・・・③ (3) アンテナ A 及び B にそれぞれ I を供給すれば、M は、次式で表される。ただし、Z12 の抵抗分を R12〔Ω〕とする。  M = [ ウ ] ・・・・・・④ (4) 式③と④を式①へ代入すれば、アンテナ系の相対利得 G は、次式によって求められる。  G = [ エ ] ・・・・・・⑤ (5) 式⑤において、R11 は一定値であるから、G は R12 のみの関数となる。R12 の値は [ オ ] によって変わるので、[ オ ] の大きさにより G を変えることができる。 〔図省略〕 1 |E0|²/(R11|I|)    2 Z11 + Z12  3 R11/(2(R11+R12))  4 I  5 |2E0|²/(2(R11+R12)|I|²) 6 2(Z11 + Z12)     7 |E0|²/(R11|I|²)  8 2R11/(R11+R12)  9 d  10 |E0|²/(2(R11+R12)²|I|²)

    出典: 令和7年1月期 一陸技「無線工学B」(FB701) B-1(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会
    対応する記述
    ア〜オの5記述のうち5記述
    この講座で学べる範囲
    入力インピーダンス、半波長ダイポールアンテナ、電界強度、アンテナ利得
    この講座では扱わない範囲
    自己インピーダンスと相互インピーダンス
  8. 令和8年1月期 一陸技「無線工学B」(FB801) A-3(本試験問題)

    同じ問われ方まで練習できる範囲

    受信点の電力密度と、放射抵抗で決まる取り出せる最大電力を並べ、その比として半波長ダイポールの受信面積を導く3段階の穴埋め問題。

    A-3 次の記述は、半波長ダイポールアンテナの実効面積を求める過程について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、波長を λ〔m〕とする。 (1) 電界強度が E〔V/m〕の地点での電力束密度 p は、次式で与えられる。  p = [ A ]〔W/m2〕 ・・・・・・① (2) 電界強度が E〔V/m〕の地点にある半波長ダイポールアンテナの放射抵抗を R〔Ω〕とすると、最大電力(受信有能電力)Pr は、次式で表される。  Pr = [ B ]〔W〕 ・・・・・・② (3) 半波長ダイポールアンテナの実効面積 Ae は、次式で定義されている。  Ae = Pr / p〔m2〕  したがって、式①及び②から Ae は、次式で求められる。  Ae = [ C ]〔m2〕   A      B         C 1 E²/(60π)  λE²/(πR)     60λ/R 2 E²/(60π)  (1/(4R))(λE/π)²  15λ²/(πR) 3 E²/(120π)  λE²/(πR)     120λ/R 4 E²/(120π)  (1/R)(λE/π)²   120λ²/(πR) 5 E²/(120π)  (1/(4R))(λE/π)²  30λ²/(πR)

    出典: 令和8年1月期 一陸技「無線工学B」(FB801) A-3(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会
    この講座で学べる範囲
    実効面積、放射抵抗、電力束密度、半波長ダイポールアンテナ

第4〜5章で見た8の字パターンとビームの絞り込みは、指向性パターン教材で素子間隔d/λと給電位相差δを動かしながら確かめられます。

手計算した41.3dBiを、グラフの上で確かめる

第6章のパラボラの計算は、アンテナ利得教材でD=1.2m・f=12GHz・η=0.6に合わせればそのまま再現できる。D/λが利得を決める瞬間を、自分の手で確かめてほしい。