一陸技|無線工学B|過去問
令和8年1月期 A-15
要点(wavelane の要約): 山の稜線を越える回線で、送信側と受信側それぞれの通路利得係数と回折係数を掛け合わせ、最終的な受信電界を求める複合計算問題。
原文(公式問題文)
A-15 図に示すように、周波数 100〔MHz〕、送信アンテナの半波長ダイポールアンテナに対する相対利得 10〔dB〕、水平偏波で放射電力 1〔kW〕、送信アンテナの高さ100〔m〕、受信アンテナの高さ10〔m〕、送受信点間の距離90〔km〕で、送信点から 60〔km〕離れた地点に高さ300〔m〕のナイフエッジがあるときの受信点における電界強度の値として、最も近いものを下の番号から選べ。ただし、回折係数は0.2とし、アンテナの損失はないものとする。また、波長を λ〔m〕とすれば、AC間とCB間の通路利得係数 A1 及び A2 は次式で表されるものとする。なお、θ < 0.5の場合、sinθ ≒ θ が成り立つものとする。 A1 = 2 sin(2πh1h0/(λd1)) A2 = 2 sin(2πh2h0/(λd2))
〔図省略〕の位置 — wavelane による再現図(公式図版ではありません)。図の説明は引用の下にあります。
1 312〔μV/m〕 2 416〔μV/m〕 3 565〔μV/m〕 4 711〔μV/m〕 5 1,132〔μV/m〕
〔図省略〕は Wavelane による編集注で、公式図版があった位置を示します。その位置には Wavelane が描いた再現図を差し込んでいます(公式図版ではありません)。図の説明は下の図カードにあります。
Wavelane が原図をもとに描いた模式図(公式図版ではありません)
出典: 令和8年1月期 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB801)A-15(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
解かずに正答と解説を見る
正答: 5
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
ナイフエッジの手前と先の2区間それぞれで大地反射による干渉を計算し、自由空間電界に2つの通路利得係数と回折係数を掛ける。
- 手順1λ = 3 m。まず送受信点間 90 km での自由空間電界を出す。半波長ダイポールに対する相対利得 10 dB は真数 10 である。
- 手順2送信点からナイフエッジまで(d1 = 60 km、h1 = 100 m、h0 = 300 m)の通路利得係数。位相が π/3 = 1.05 rad で 0.5 を超えるので、sin をそのまま計算する。
- 手順3ナイフエッジから受信点まで(d2 = 90−60 = 30 km、h2 = 10 m)。位相は 0.209 rad で 0.5 未満なので、与えられた近似 sinθ ≒ θ が使える。
- 手順4自由空間電界に2つの通路利得係数と回折係数 0.2 を掛ける。
求める値は 1.13 mV/m = 約1,130 μV/m(選択肢の 1,132 μV/m)。したがって正答は選択肢 5 である。
つまずきやすい点
- sinθ ≒ θ を使ってよいのは θ < 0.5 の A2 側だけである。A1 側は π/3 なので近似できず、近似すると値が2割ほど大きくなる。
- 自由空間電界に使う距離は全区間の 90 km である。d1・d2 は通路利得係数のほうにだけ入る。
- 最後の回折係数 0.2 を掛け忘れると 5,600 μV/m 台になる。
理由から確かめる
- ナイフエッジ回折損失電界強度・ナイフエッジ回折・直接波と大地反射波の2波モデル
- 2波モデル(大地反射)電界強度・直接波と大地反射波の2波モデル
- アンテナ・電波測定の基礎電界強度・直接波と大地反射波の2波モデル