一陸技|無線工学B|過去問
令和7年7月期 A-13
要点(wavelane の要約): レンズを帯状に削って軽くするとき、削った段差の前後で位相が揃う条件を式に直す手順を追わせる問題。空気中と媒質中で段差が何波長ぶんに当たるか、屈折率を2つの波長の比で書いたときに段差がどう表せるかを組合せで答えさせる。
原文(公式問題文)
A-13 次の記述は、図に示す誘電体レンズの重量及び誘電損の軽減のために、レンズの厚さを帯状に切り取るゾーニングの厚さ z を求める計算の過程について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 (1) 図の焦点 F から発射された電波は、ゾーニングの入口 Q 点と P 点において同相であり、かつ、ゾーニングの出口 Q'点と P'点においても同相になるように z の長さを選ぶ必要がある。 (2) 空気中の波長を λ、誘電体中の波長を λ'とし、m を整数とすると、z と λ、z と λ'の間にそれぞれ次式が成り立つ場合には、(1)の条件を満たす。 z/λ = m ・・・① z/λ' = [ A ] ・・・② (3) ここで、誘電体レンズの屈折率を n とすると n = [ B ] ・・・③ が成立するので、①、②、③から、z は λ と n を用いて次式で表せる。 z = [ C ]
〔図省略〕の位置 — wavelane による再現図(公式図版ではありません)。図の説明は引用の下にあります。
A B C 1 m+1/2 λ/λ' λ/(n-1) 2 m+1/2 λ'/λ nλ/(1-n) 3 m+1 λ/λ' λ/(n-1) 4 m+1 λ'/λ nλ/(1-n) 5 m+1 λ'/λ nλ/(n-1)
〔図省略〕は Wavelane による編集注で、公式図版があった位置を示します。その位置には Wavelane が描いた再現図を差し込んでいます(公式図版ではありません)。図の説明は下の図カードにあります。
Wavelane が原図をもとに描いた模式図(公式図版ではありません)
出典: 令和7年7月期 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB707)A-13(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
解かずに正答と解説を見る
正答: 3
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
レンズを帯状に削って軽くするとき、段差の前後で位相がそろう条件を式に直す。空気中と媒質中で段差が何波長ぶんに当たるかを比べるのが要点になる。
- 空欄 A: m+1
- 媒質の中では波長が短いので、同じ厚みに入る波の数は空気中より多くなる。位相をそろえるには、その差がちょうど整数でなければならず、最も薄く削れるのは差が 1 のときである。半端な値にすると段差の前後で半波長ずれ、逆位相になって狙いと反対の結果になる。
- 空欄 B: λ/λ'
- 屈折率は、自由空間の速度を媒質中の速度で割った値である。周波数はどちらでも同じなので、速度の比はそのまま波長の比になる。媒質中の波長のほうが短いから、この比は 1 より大きい。分母と分子を入れ替えた候補では 1 より小さくなり、誘電体では起こらない値になってしまう。
- 空欄 C: λ/(n-1)
- ①と②はどちらも厚みを波長の整数倍で書いた式なので、辺々を引くと整数の部分が消えて 1 だけが残る。残った関係を屈折率で書き直すと、厚みは空気中の波長を屈折率から 1 を引いた値で割った形になる。屈折率が 1 に近い材料ほど厚みが大きくなり、削る効果が薄くなることも読み取れる。
この組合せになっているのは選択肢 3 である。
つまずきやすい点
- 波の数の差は整数に取る。半端にすると段差の前後で逆位相になり、開口面の位相がかえって乱れる。
- 屈折率は波長の比で書ける。分母と分子を取り違えると 1 より小さい値になり、誘電体の性質と合わなくなる。
- 段差の厚みは波長で決まるので、周波数が変わると位相がそろわなくなる。この方法で帯域が狭くなるのはそのためである。
理由から確かめる
- アンテナ方式図鑑誘電体レンズアンテナ・レンズのゾーニング・屈折率・波長と周波数の関係(λ=300/f)
- マクスウェルの方程式 徹底解説屈折率・波長と周波数の関係(λ=300/f)
- アンテナ利得波長と周波数の関係(λ=300/f)