一陸技|無線工学B|過去問
令和7年7月期 A-14
要点(wavelane の要約): 電離圏の電子密度のむらが衛星回線へ及ぼす短周期の変動について、深さが周波数の何乗に反比例するか、1年のうちいつ大きくなるか、どの緯度帯で最も多いかを組合せで答えさせる問題。
原文(公式問題文)
A-14 次の記述は、電離圏中の電子密度のゆらぎ(不規則性)が衛星通信に与える影響について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 (1) 電離圏中の電子密度のゆらぎは、F 層や中緯度地域における E 層で起こり、入射電波を散乱又は屈折させ、受信電波の強度、位相、偏波面、到来方向の変動の原因になる。この変動をシンチレーションといい、通常はピッチが速く、その深さ(dB 値のピークからピーク)はほぼ周波数の [ A ] 乗に反比例し、[ B ] の頃が最も大きい。 (2) シンチレーションは、地域的には F 層のゆらぎが夜間発達する [ C ] で最も多く発生する。 A B C 1 3 夏至及び冬至 赤道地帯 2 3 夏至及び冬至 中緯度地域 3 1.5 春分及び秋分 赤道地帯 4 1.5 春分及び秋分 中緯度地域 5 1.5 夏至及び冬至 中緯度地域
出典: 令和7年7月期 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB707)A-14(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
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正答: 3
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wavelane の解説(公式の解説ではありません)
電離圏の電子密度のむらが衛星回線へ与える短い周期の変動を 3 か所で問う。周波数への依存の強さ、季節、そして最も多く起きる緯度帯が順に決まる。
- 空欄 A: 1.5
- 変動の深さは周波数が高いほど小さくなるが、その減り方は 3 乗ほど急ではない。1.5 乗に反比例する程度というのが観測から得られている目安である。3 乗とすると、周波数を 2 倍にしただけで深さが 8 分の 1 になることになり、実際の観測と合わない。
- 空欄 B: 春分及び秋分
- 電離圏のゆらぎが盛んになるのは、太陽が赤道の真上を通る時期である。この時期は赤道帯の電離圏が日没後に不安定になりやすい。夏至と冬至は太陽が赤道から最も離れる時期で、逆に落ち着く側にあたる。
- 空欄 C: 赤道地帯
- 日没後に上層のゆらぎが発達するのは赤道帯で、この変動が最も多く観測される。極域でも起きるが、中緯度は比較的少ない。中緯度で問題になるのは、この問題文の(1)にあるとおり、もっと低い高さの層のゆらぎのほうである。
この組合せになっているのは選択肢 3 である。
つまずきやすい点
- 対流圏のシンチレーションと電離圏のシンチレーションは別物である。原因が大気の屈折率のゆらぎか、電子密度のゆらぎかで分かれる。
- 周波数を上げると影響は小さくなる。衛星通信が高い周波数帯を選ぶ理由の 1 つがここにある。
- 地域と季節はセットで覚える。赤道帯で日没後、そして太陽が赤道の真上を通る時期、という並びになる。
理由から確かめる
- 伝搬の特論電子密度・電離層内の屈折・反射・地上・衛星間回線・シンチレーション
- 電離層伝搬(MUF・跳躍距離)電子密度・電離層内の屈折・反射
- 自由空間伝搬損失地上・衛星間回線