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wavelane

一陸技|無線工学B|過去問

令和7年7月期 A-2

要点(wavelane の要約): 放射で消える電力を仮想の抵抗へ置き換える考え方を出発点に、球面上で電力束密度を足し合わせた結果と、そこから逆算される抵抗値を組合せで答えさせる問題。電流の2乗で割るのか、真空の固有インピーダンスまで割ってしまうのかが分かれ目になる。

FB707 A-25点(1問1採点)

原文(公式問題文)

A-2 次の記述は、微小ダイポールの放射抵抗について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 (1) アンテナから電波が放射される現象は、給電点に電流 I〔A〕が流れ、アンテナからの放射によって電力 Pr〔W〕が消費されることである。これは、アンテナの代わりに負荷として抵抗 Rr を接続したことと等価である。したがって、次式が成り立つ。  Rr = [ A ]〔Ω〕  上式で表される仮想の抵抗 Rr〔Ω〕を放射抵抗と呼び、Pr〔W〕を放射電力と呼ぶ。 (2) 図に示すように、微小ダイポールから数波長以上離れた半径 r〔m〕の球面 S を考えたとき、Pr〔W〕は球面上の電力束密度の面積分として次式で求められる。ただし、微小ダイポールの長さを l〔m〕、波長を λ〔m〕、微小ダイポールの中心 O から任意の方向と微小ダイポールの軸とのなす角を θ〔rad〕とし、θ 方向における電界強度を Eθ〔V/m〕とする。  Pr = 2∫[0→π/2] (|Eθ|²/(120π))・2πr sinθ・r dθ = [ B ]〔W〕 (3) (1)及び(2)から、微小ダイポールの放射抵抗 Rr は [ C ]〔Ω〕となる。

〔図省略〕の位置 — wavelane による再現図(公式図版ではありません)。図の説明は引用の下にあります。

A         B          C 1 Pr/|I|²      π²|I|²l²/λ²     π²l²/λ² 2 Pr/|I|²      80π²|I|²l²/λ²    80π²l²/λ² 3 Pr/(120π|I|²)   π²|I|²l²/λ²     π²l²/λ² 4 Pr/(120π|I|²)   160π²|I|²l²/λ²   160π²l²/λ² 5 Pr/(120π|I|²)   80π²|I|²l²/λ²    80π²l²/λ²

〔図省略〕は Wavelane による編集注で、公式図版があった位置を示します。その位置には Wavelane が描いた再現図を差し込んでいます(公式図版ではありません)。図の説明は下の図カードにあります。

Wavelane が原図をもとに描いた模式図(公式図版ではありません)

図の説明(Wavelane 独自・原文には含まれません): 微小ダイポールを囲む球面。中心 O に長さ l の微小ダイポールが z 軸に沿って置かれ、電流 I が流れている。半径 r の球面 S 上で、z 軸から測った角 θ の位置に幅 rdθ の帯を取り、その帯の周長として 2πr sinθ が記入されている。座標軸は z が上、y が右、x が手前である。

出典: 令和7年7月期 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB707)A-2(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会

正しい組合せの番号を1つ選ぶ(番号は上の原文の選択肢に対応します)
解かずに正答と解説を見る

正答: 2

要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。

wavelane の解説(公式の解説ではありません)

放射で消える電力を仮想の抵抗へ置き換える定義から出発し、球面上で電力束密度を足し合わせた結果を経て、抵抗の値を長さと波長の比で書く。

空欄 A: Pr/|I|²
同じ電流を流したときに同じ電力を消費する抵抗へ置き換える、というのがこの量の定義である。だから電力を電流の2乗で割る。真空の固有インピーダンスまで割った候補は、電界から電力束密度を出すときに現れる係数を持ち込んだもので、抵抗の定義には入らない。単位を見ても、余分に割った形ではオームにならない。
空欄 B: 80π²|I|²l²/λ²
微小ダイポールの電界は、軸から測った角の正弦に比例する。だから面積分は正弦の 3 乗の積分になり、その値は 3 分の 2 である。電界の係数と球面の面積要素を通して整理すると、この形の係数が定まる。係数だけが違う候補は、電界の式の係数か角の積分値のどちらかを取り落としたときに出る値である。
空欄 C: 80π²l²/λ²
(2)で求めた電力を(1)の定義へ入れると、電流の2乗が約分されて消える。残るのは長さと波長の比の2乗に係数を掛けた形で、これが微小ダイポールの放射抵抗として知られる式である。長さが波長の 10 分の 1 なら約 7.9 Ω になり、半波長ダイポールの 73 Ω よりずっと小さい。

この組合せになっているのは選択肢 2 である。

つまずきやすい点

  • 電力を電流の2乗で割るのが定義である。固有インピーダンスで割る操作は、電界から電力束密度を出す段のもので、別の場所に属する。
  • 角についての積分は正弦の 3 乗になる。値が 3 分の 2 であることを覚えておくと、係数の検算に使える。
  • 答えに残るのは長さそのものではなく、長さと波長の比である。同じ長さでも周波数が上がれば放射抵抗は大きくなる。