一陸技|無線工学B|過去問
令和6年7月期 A-14
要点(wavelane の要約): 雨が降ると直交する2偏波の分離がどう崩れるかについて、識別度をどちらの電界をどちらで割った対数で定義するか、雨滴がどの向きにつぶれるか、傾きと降雨強度の効き方を5つ並べ、誤りを1つ選ばせる問題。
原文(公式問題文)
A-14 次の記述は、マイクロ波(SHF)帯やミリ波(EHF)帯の地上系固定通信において、降雨時に生ずる交差偏波について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。ただし、使用する偏波は直線偏波とする。 1 一つの周波数で、互いに直交する二つの偏波を用いて異なる信号を伝送すれば、周波数の利用効率が 2 倍になるが、降雨時には交差偏波識別度は劣化しやすい。 2 受信信号の主偏波の電界強度を Ep〔V/m〕、交差偏波の電界強度を Ec〔V/m〕とすると、通常、交差偏波識別度は、20log10(Ec/Ep)〔dB〕と表される。 3 落下中の雨滴は、雨滴内外の圧力や表面張力の影響を受け、落下方向につぶれた形に変形するが、その変形の度合いは、雨滴が大きいほど大きくなり、交差偏波特性に影響する。 4 風のある降雨時には、上下方向に扁平な回転楕円体に近い形に変形した雨滴が水平方向より傾き、その長軸方向の電界成分の減衰が短軸方向の電界成分の減衰よりも大きくなるために交差偏波成分が発生する。 5 交差偏波識別度は、降雨が強いほど、また、雨滴の傾きが大きいほど劣化する。
出典: 令和6年7月期 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB607)A-14(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
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正答: 2
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wavelane の解説(公式の解説ではありません)
降雨時の交差偏波を5つの記述で問う。識別度の定義で主偏波と交差偏波のどちらを分子に置くかを間違えると、良し悪しの向きが反転する。
選択肢 1— 答えではない
直交する2偏波で別々の信号を送れば同じ周波数を2度使えるので、利用効率は2倍になる。降雨時に分離が悪くなるという後半も正しい。
選択肢 2◎ これが答え
識別度は主偏波を分子、漏れ込んだ交差偏波を分母に置いた比の対数で表す。この記述は分子と分母が入れ替わっているので、分離が良いほど値が小さくなるという逆の量になってしまう。正しくは 20log10(Ep/Ec) である。
選択肢 3— 答えではない
落下する雨滴は空気の抵抗で下面が押され、落下の向きにつぶれた形になる。大きい雨滴ほどつぶれが大きく、偏波ごとの差を生むのも正しい。
選択肢 4— 答えではない
上下につぶれた雨滴は水平方向に長い。風で傾くと、長い軸に沿う電界成分のほうが水の中を長く通るので減衰が大きくなり、その差が交差偏波成分を生む。正しい。
選択肢 5— 答えではない
雨が強いほど、また雨滴の傾きが大きいほど、2つの偏波の減衰差と位相差が広がって識別度は劣化する。正しい。
正答は選択肢 2 である。
つまずきやすい点
- 識別度は「大きいほど良い」量である。定義の比を迷ったら、分離が良いときに大きくなる向きかどうかで確かめる。
- 雨滴が完全な球なら偏波による差は生じない。扁平さと傾きが原因、識別度の劣化が結果、という対応で覚える。
理由から確かめる
- 伝搬の特論円偏波・交差偏波識別度・電界強度・降雨減衰
- アンテナ方式図鑑円偏波・電界強度
- アンテナ・電波測定の基礎円偏波・電界強度