電波の基礎|深掘り編
伝搬の特論 — 対流圏・電離層・移動通信
伝搬の計算問題は式さえ覚えれば取れる。しかし本試験の伝搬分野では、それと同じ数だけ「なぜその現象が起きるのか」「原因が変わると結果はどちらへ振れるのか」を言葉で問う問題が並ぶ。M曲線の形の呼び名、ラジオダクトを生む逆転層、レイリー分布と対数正規分布の使い分け、デリンジャー現象と磁気嵐の違い、60GHzで共鳴するのはどの分子か、扁平な雨滴がどちらの偏波を余計に削るか——どれも計算では出てこない。この講座は、それらを「電波が通る媒質の屈折率が、どこでどう変わったか」という1本の軸で並べ直す。対流圏では高さ方向の屈折率勾配が、電離層では電子密度が屈折率を決める。原因の側を屈折率に統一してしまえば、結果の側は素直に読める。
第1章 対流圏の屈折 — 屈折率の勾配が電波通路を曲げる
地表から高さ十数kmまでの層が対流圏で、気象現象はほぼこの中で起きる。ここでの電波の速さを決めるのが空気の屈折率nである。真空を1としたとき地上付近のnは1.0003程度で、1との差はごくわずかしかない。しかし電波は数十kmから百km単位の距離を進むので、この小さな差が積み重なって通路を目に見えるほど曲げる。効くのはnの値そのものではなく、高さ方向にnがどれだけ変化するかという勾配である。
扱いにくい1.0003という数を素直に読むために、1からのずれを100万倍した屈折示数Nを使う。N = (n−1)×10⁶と決めれば、地上付近のNは315前後、標準的な大気では高さ1kmあたり約39ずつ減っていく、という言い方ができる。気圧も水蒸気量も高いところほど少ないのだから、上へ行くほどnが小さくなるのは自然な結果である。
屈折率の大きい媒質のほうが電波は遅く進む。上側が速く下側が遅ければ、波面は下向きに倒れていき、通路は地球のほうへ曲がる。送受信点を結ぶ直線と見比べると、通路はその直線より上側にふくらむ——つまり上方に凸のわん曲になる。「地球へ向かって曲がる」と「上方に凸」は同じことを別の基準で言っているだけだが、選択肢では必ずこの2つの言い方が混ぜられるので、図の上で一度対応をとっておきたい。
曲がった通路のまま幾何学を組み立てるのは面倒である。そこで、通路を直線に描き直す代わりに地球の半径のほうをk倍して辻褄を合わせる。このkが等価地球半径係数で、標準大気ではk ≒ 4/3になる。見通し距離の式 d = 4.12(√h₁+√h₂) がそのまま使えるのは、この置き換えを済ませたあとの世界だからである。
屈折示数Nの定義と、等価地球半径係数kの定義。Rは地球の半径[m]、dn/dhは屈折率の高さ勾配[1/m]。標準大気ではNが1kmあたり39減る、つまりdn/dh = −3.9×10⁻⁸ /mなので、R = 6.37×10⁶ mを入れるとk ≒ 1.33 = 4/3が出てくる。勾配が急なほどkは大きく、勾配が緩いほどkは1へ近づく。
もう一段、扱いを楽にする道具がある。球面の大地を平らな大地として描きたい。そこで屈折率nに高さの補正h/Rを足した修正屈折率m = n + h/Rを定義する。地球の丸みぶんの「下がり」を屈折率の側へ押し込んでしまう、という発想である。ただしmも1に極めて近い値なので、Nと同じ手口で1からのずれを100万倍した修正屈折示数Mを使う。
修正屈折率mと修正屈折示数Mの定義。hは地表からの高さ[m]、Rは地球の半径[m]。h/Rの項が地球の丸みを肩代わりするので、Mを使えば大地を平面として扱える。Mの定義は(m−1)×10⁶であって、(m+1)×10⁶でもnそのものでもない。空欄補充で必ずここが狙われる。
Mを高さの関数として描いたものがM曲線である。標準大気ではどうなるか、係数を入れて確かめておく。h/Rの項は高さ1mあたり10⁶/(6.37×10⁶) ≒ 0.157、つまり1kmあたり約157だけMを増やす。一方、屈折率そのものの寄与は1kmあたり約39だけ減る。差し引きするとMは1kmあたり約118ずつ増える。標準大気のM曲線が「高さとともに増加する、勾配一定の直線」になる根拠がこれである。
第1章の試験での問われ方
- 標準大気中の電波通路は、送受信点を結ぶ直線に対してどちらへわん曲するか(答えは上方に凸。「下方に凸」を混ぜた選択肢が定番)
- 修正屈折率の式 m = n + h/R に出てくるRが何か(地球の半径。「等価半径」を混ぜた語群が用意される)
- 修正屈折示数Mの定義((m−1)×10⁶。(m+1)×10⁶ や (n−1)×10⁶ との取り違えを誘う)
- 標準大気のM曲線の勾配が正か負か、一定か(正で一定。1kmあたり約118増える)
- 屈折率の勾配が変わるとkがどちらへ動くか(勾配が急=Nの減り方が大きいほどkは大きくなる)
第2章 M曲線とラジオダクト — 勾配が逆転したときに起きること
標準大気のM曲線は勾配一定の直線になる。この形を標準形と呼ぶ。ところが実際の大気は場所と時刻によって温度も湿度も変わるので、M曲線はさまざまに崩れる。試験ではその崩れ方に名前が付いていて、図を見て呼び名を答える形式で出る。分類の軸は1つだけ、「勾配が正のままか、どこかで負に逆転しているか」である。
M曲線の4つの形と、それが意味するもの
- 標準形: 勾配が正で一定。標準大気そのもので、k ≒ 4/3として扱える基準の形
- 準標準形: 勾配は正のままだが標準より緩い、または急。逆転はしていないので閉じ込めは起きないが、kが4/3からずれるため見通し距離とクリアランスが変わる
- 接地形: 地表から数十mから数百m程度までの範囲で勾配が負に逆転する。地表と逆転層の上端に挟まれた層が接地ダクトになる
- S字形: 地表付近は正、その上のある高さの層だけ負、さらに上でまた正に戻る。曲線がS字を描き、負の部分が地表から浮いた高さのダクトになる
Mの勾配が負になった層では何が起きるのか。Mが高さとともに減るということは、その層では電波がさらに強く下向きへ曲げられるということである。曲がり方が地球の丸みを追い越すと、上へ逃げようとした電波は再び下へ戻され、大地または下の層で反射してまた上がる、という往復に入る。電波が薄い層に閉じ込められて水平方向へ運ばれるこの通路がラジオダクトであり、導波管の中を波が進むのに似た振る舞いをする。
ラジオダクトを作るのは、上へ行くほど温度が高くなる温度の逆転層と、上空で水蒸気が急に減る湿度の急変である。ふつう気温は高いほど下がるので、逆転層は文字どおり異常な状態にあたる。夜間の放射冷却で地表付近だけが冷えたとき、暖かい空気が冷たい海面の上へ流れ込んだとき、高気圧の中で空気が沈み込んで断熱圧縮で暖まったときに生じやすい。海上や内陸の晴れた夜に、決まった季節・時間帯で繰り返し現れるのが特徴である。
ラジオダクトの発生条件は、修正屈折示数Mの高さ勾配が負になることである。標準大気では1kmあたり約118増える正勾配なので、そこから符号が変わるほど大きな屈折率の変化が要る。ダクトが生じる高さの範囲がダクトの厚さで、閉じ込められるのは波長がその厚さに比べて十分短い電波、すなわち高い周波数に限られる。VHF帯以上、とくにSHF帯で問題になる理由がここにある。
ダクトが生む影響は両方向に出る。ダクトに乗った電波は見通し距離をはるかに超えて届くので、遠方の他局へ思わぬ干渉を与える。海上を越えて数百km先の同一周波数の局が突然聞こえる、という現象がこれである。逆に、ダクトの外に置かれた正規の回線から見れば、本来届くはずの電力がダクトへ吸い取られた格好になり、受信レベルが大きく落ちる。これがダクト形フェージングで、原因は通路の途中の大気の層構造、結果は継続時間の長い深い落ち込みという対応になる。
ダクトを作るところまで至らない、緩やかなkの変動も回線に効く。kが動くと2つの経路で受信レベルが揺れる。1つは、直接波と大地反射波の行路差がkの変動につれて変わり、干渉の強め合い・弱め合いの条件がずれる干渉性k形フェージングである。もう1つは、電波通路と大地とのすきま、すなわちクリアランスが十分でないときに、kの変動で大地による回折損が増減する回折性k形フェージングである。
回折性k形で問われるのは、kが動いたときに回折損がどちらへ振れるかである。kが小さくなるほど等価地球の半径は小さくなり、丸みが強調されて大地が通路へせり出してくる。クリアランスは減り、大地による回折損は大きくなる。逆にkが大きくなれば大地は平らに近づき、クリアランスが増えて回折損は小さくなる。「kが大きくなると回折損が大きくなる」と書かれた選択肢は誤りである。
第2章の試験での問われ方と典型的な誤り
- 標準大気のM曲線の形の呼び名(標準形。「接地形」を混ぜた語群が用意される)
- ラジオダクトを生む大気の状態(温度などの逆転層。「均一な層」とする選択肢が誤り)
- ダクト発生時のM曲線の特徴(ある高さの範囲で標準形とは逆の勾配、すなわち負の勾配を持つ)
- 干渉性k形フェージングで直接波と干渉する相手(大地反射波。「散乱波」を混ぜた選択肢が定番の誤り)
- 回折性k形フェージングでkが小さくなったときの回折損(大きくなる。増減を逆にした選択肢が誤り)
- ダクト伝搬の結果(見通し距離より遠方まで伝搬する。「見通し内の受信レベルが常に上がる」は誤りで、ダクト外の正規回線ではむしろ低下する)
第3章 フェージングの分類と統計 — 分布の名前で答えを分ける
フェージングとは、受信電界強度が時間とともに変動する現象の総称である。総称なので、原因の違う現象がまとめて1つの名前で呼ばれてしまう。試験はそこを突いて「この原因ならどの呼び名か」「この呼び名ならどの統計分布か」を問う。まず原因別に整理しておく。
原因で分けたフェージングの呼び名
- 干渉性フェージング: 複数の経路を通った電波が受信点で合成され、位相関係の変化で強め合いと打ち消し合いが入れ替わる。マルチパスによる変動の基本形
- 減衰性フェージング: 通路上の媒質そのものが電力を吸うことで生じる。降雨減衰や大気ガスの吸収の変動がこれにあたり、干渉ではないので周波数が近ければ同じように効く
- k形フェージング: 等価地球半径係数kの変動が原因。干渉性k形と回折性k形に分かれる(第2章)
- ダクト形フェージング: ラジオダクトの発生と消滅が原因。継続時間が長く、落ち込みが深くなりやすい
- シンチレーションフェージング: 大気の屈折率の不規則で細かい変動が原因。電波の到来方向と振幅が小刻みに揺れる。周期が短く振幅は比較的小さい
見通し内のマイクロ波固定回線ではこの5つで足りる。しかし市街地の移動体通信になると、事情が変わる。基地局から出た電波は建物や地面で反射・回折を繰り返し、移動局にはほとんど同じ強さの多数の波がばらばらの位相で到来する。この環境で移動局が動くと、受信電界強度は激しく上下する。原因が無数にあるので個々の経路を追うのは無理で、統計分布として扱うほかない。
3層に分けて読むのが定石である。第1層は瞬時変動で、数波長動くだけで数十dBも上下する激しい変動である。多数の波の合成で、どの波も支配的でないとき、合成電界の振幅はレイリー分布に従う。第2層は、その瞬時変動を数十波長程度の区間で均した短区間中央値である。基地局からほぼ等距離にある区間どうしで比べると、短区間中央値は建物の高さや配置の違いで変わり、その分布は対数正規分布になる。第3層が、短区間中央値をさらに広い範囲で均した長区間中央値で、これは基地局からの距離dが決める。
左はレイリー分布の確率密度で、rは受信電界強度の振幅。支配的な直接波が無く、多数の反射波だけが到来する環境の瞬時変動がこれに従う。中央は長区間中央値の距離依存で、対象は受信電力P_rである。Xとαは送信電力、周波数、基地局と移動局のアンテナ高、建物の高さなどで決まる定数で、自由空間ならαは2、市街地では3から4程度まで大きくなる。右は同じ状況を電界振幅Eで書いたもので、電力が振幅の2乗に比例するぶん指数は半分のα/2になる。したがって自由空間では、受信電力が距離の2乗に反比例するのに対し、電界振幅は距離の1乗に反比例する。dBへ直すときも、電力量は10log、振幅量は20logと使い分ける(20log E = 10log E²)。
レイリー分布が成り立つのは「支配的な直接波が無い」ときだけである。見通しが利いて直接波が反射波より十分強い場合、振幅の分布は仲上・ライス分布になる。直接波の電力と散乱波の電力の比をK係数と呼び、Kが0なら仲上・ライス分布はレイリー分布に一致し、Kが大きくなるほど分布は直接波の振幅のまわりに集中して変動が浅くなる。市街地の移動体はレイリー、見通しの利く郊外や屋内の直接波が強い環境は仲上・ライス、と対で覚えると取り違えない。
もう1つ、信号の帯域が広いときに現れる問題がある。多数の到来波は経路の長さが違うので、到来時刻にも差がある。到来時刻の差があると、帯域内の周波数ごとに合成のされ方が違ってしまい、振幅と位相が帯域内で一様でなくなる。これが周波数選択性フェージングで、伝送信号には波形ひずみとして現れる。
分かれ目は変調方式ではなく帯域である。信号帯域がコヒーレンス帯域(帯域内の合成をほぼ同じとみなせる幅)より広ければアナログ伝送でも生じ、帯域が狭ければ帯域内の差は無視できるので狭帯域伝送ではほとんど問題にならない。つまり広帯域伝送で顕著になる現象であり、ディジタル伝送では波形ひずみがシンボル間干渉(ISI)となって符号誤りを増やす点がとくに問題になる。
到来時刻の差そのものを測る道具が伝搬遅延プロファイルである。横軸に各到来波の遅延時間、縦軸に受信レベルをとって並べたもので、広がりの幅が遅延スプレッドにあたる。遅延スプレッドが伝送シンボルの長さに比べて無視できないほど大きいと、周波数選択性フェージングが効き始める。高速化するほど、つまりシンボルを短くするほど条件が厳しくなるという向きを押さえておきたい。
フェージングへの対策の基本はダイバーシティ受信である。狙いは単純で、同じ信号を「同時に落ち込まない」複数の経路で受け、そのうち生きているものを使うことにある。落ち込みの相関が小さいほど効くので、何をずらすかで種類が分かれる。位置をずらすのが空間ダイバーシティ、周波数をずらすのが周波数ダイバーシティ、送る時刻をずらすのが時間ダイバーシティ、偏波面をずらすのが偏波ダイバーシティ、到来角をずらすのが角度ダイバーシティである。
ダイバーシティの種類と合成法
- 空間ダイバーシティ: アンテナを数波長から十数波長以上離して複数置く。設置場所は要るが追加の周波数は不要
- 周波数ダイバーシティ: 十分離れた2つ以上の周波数で同じ信号を送る。周波数選択性フェージングに強いが、周波数資源を余分に使う
- 時間ダイバーシティ: 同じ信号を時間をずらして繰り返し送る。移動体のように時間相関が小さい環境で効く。伝送速度は犠牲になる
- 選択合成: 各ブランチのうち最も受信レベルの高いものを選ぶ。構成が簡単で、改善効果はいちばん小さい
- 等利得合成: 位相だけそろえて同じ重みで加える。選択合成より改善するが最良ではない
- 最大比合成: 各ブランチの信号対雑音比に比例した重みを付けて加える。3つのなかで改善効果が最大になる
第3章の試験での問われ方と典型的な誤り
- 市街地の移動体の瞬時変動が従う分布(レイリー分布。「指数分布」「正規分布」を混ぜた選択肢が誤り)
- 数十波長の区間で均した中央値の呼び名と、その分布(短区間中央値が対数正規分布に従う。短区間と長区間を入れ替えた選択肢が定番)
- 長区間中央値の距離依存(受信電力でXd^(−α)。αを1固定と書いた選択肢は誤り)
- 同じ状況を電界振幅で書くと指数はα/2になる。自由空間では受信電力が距離の2乗、電界振幅が距離の1乗に反比例する(電力と振幅で指数を取り違える選択肢が定番)
- 帯域内で振幅と位相が一様でなくなるフェージングの呼び名(周波数選択性フェージング。「跳躍性フェージング」は電離層伝搬の呼び名で、ここでは誤り)
- 直接波が支配的なときの分布(仲上・ライス分布。何でもレイリーと答えさせる誘導に注意)
- 最も改善効果の大きい合成法(最大比合成。選択合成を最良とする選択肢が誤り)
第4章 電離層の構造と異常 — 電子密度が屈折率を決める
高さ約60kmから上では、太陽の紫外線やX線が大気の分子を電離して自由電子を作る。この自由電子が存在する領域が電離層である。対流圏では気圧と水蒸気が屈折率を決めていたが、ここでの主役は電子密度Nに置き換わる。電子が多いほど屈折率は1から下へ離れていき、電波は曲がる。原因の側が入れ替わるだけで、話の運びは第1章と同じである。
電離層の屈折率n。Nは電子密度[m⁻³]、fは周波数[Hz]、fcはその電子密度に対応する臨界周波数である。Nが零ならnはほぼ1、Nが最大の高さでnは最小になる。式の形から、周波数fが低いほど根号の中が小さくなり、nは1から遠ざかる。「周波数が低くなると屈折率は1に近づく」という記述は向きが逆で、頻出の誤りである。
電子密度は高さとともに増え、ある高さで最大となり、それより上では減っていく。この分布の中を電波が下から入っていくと、上へ進むほど屈折率の小さい層へ移ることになる。屈折率の小さい媒質へ入るとき、屈折角は入射角より大きくなる。つまり電波は少しずつ寝かされていき、やがて水平を越えて下向きに転じ、地上へ戻ってくる。これが電離層で電波が「反射する」ことの実体で、鏡で跳ね返っているのではなく、連続的に曲げられて戻ってきている。
電子密度の異なる隣り合う2つの水平な層の境界で成り立つ屈折の法則。下の層の屈折率をni、上の層の屈折率をnrとし、入射角をi、屈折角をrとする。上の層のほうが電子密度が高ければnr < niなので、sin r > sin i、すなわち屈折角rは入射角iより大きくなる。この大小関係が、電波が徐々に寝かされて戻ってくる仕組みそのものである。
各層の高さと役割
- D層: 高さ約60〜90km。電子密度は低いが空気が濃いため、電子が中性分子と衝突して電波のエネルギーを熱に変える。反射よりも吸収の層で、日中だけ現れ夜には消える。低い周波数ほど吸収が大きい
- E層: 高さ約100〜120km。中波の夜間の遠距離伝搬や短波の低い側の反射に効く。日中に電子密度が高く、夜は下がるが消えはしない
- スポラディックE層(Es層): E層とほぼ同じ高さに突発的に生じる、電子密度が非常に高い薄い層。日本では夏季の日中に多い。ふだんは突き抜けるVHF帯まで反射してしまうため、遠方のFM放送やテレビが混信する異常伝搬の原因になる
- F1層: 高さ約200km。日中だけ現れ、夜はF2層と一体になる
- F2層: 高さ約200〜400km。電子密度が最大で、短波の長距離通信を担う主役。夜も残るが高さが上がり電子密度は下がる
電離層は太陽が作るので、日変化と季節変化を受ける。日中は電離が進んで各層の電子密度が上がり、夜は電離源が消えて再結合が進むためD層とF1層は失われる。使える周波数の上限も同じように動くので、短波の長距離回線では昼と夜で周波数を切り替える運用になる。太陽活動の11年周期でも上限は動く。
ここまでは平常時の話である。太陽が荒れると、電離層は2種類の異常を起こす。原因も、届くまでの時間も、影響を受ける層も、続く時間も違うので、対にして押さえておきたい。
デリンジャー現象と磁気嵐の対比
- デリンジャー現象: 太陽面爆発(フレア)で急増したX線・紫外線が原因。光の速さで届くので発生から約8分で影響が出る。D層の電子密度が突然増えて吸収が跳ね上がり、短波帯の通信が数分から数十分にわたって突然途絶する。太陽が照っている昼側の半球だけで起き、比較的短時間で回復する
- 磁気嵐: 太陽から放出された荷電粒子が原因。粒子は光より遅いので、フレアから数十時間ほど遅れて地球に到達する。地磁気が乱れ、F2層の電子密度が下がって臨界周波数が低下するため、短波の長距離回線が数日にわたって不安定になる。高緯度地方ほど影響が大きく、オーロラを伴う
見分け方は「D層か、F層か」で足りる。突然始まって短時間で戻り、昼側だけで、吸収が原因ならデリンジャー現象。遅れて始まって何日も続き、高緯度で強く、電子密度の低下つまり反射能力の低下が原因なら磁気嵐である。「デリンジャー現象は数日間続く」「磁気嵐はフレアの直後に始まる」と書かれた選択肢は、この対応を入れ替えたものである。
第4章の試験での問われ方と典型的な誤り
- 電子密度が最大のときの屈折率(最小。「最大」とする選択肢が誤り)
- 隣り合う層での屈折の関係式(nr = ni × sin i / sin r。sin r / sin i と分母分子を入れ替えた選択肢が定番)
- 屈折角と入射角の大小(屈折角のほうが大きい。「小さい」とすると電波は戻ってこられない)
- 周波数と屈折率の関係(周波数が低いほど1から離れる。「低いほど1に近づく」は誤り)
- 短波の通信が突然途絶する現象の名前と原因層(デリンジャー現象、D層の吸収。F層とする選択肢が誤り)
- 磁気嵐の原因と継続時間(荷電粒子の到来、数日。「電磁波の到来で数分」は誤り)
- スポラディックE層が問題になる周波数帯(ふだん突き抜けるVHF帯。HF帯だけとする選択肢は不十分)
第5章 気体・霧・雨による減衰 — 周波数が高いほど大気が邪魔をする
ここまでは大気が電波を曲げる話だった。周波数がSHF帯からEHF帯へ上がると、曲がるより先に「吸われる」ことが問題になる。自由空間基本伝送損は距離と周波数だけで決まる幾何学的な希薄化だが、大気による減衰はそれとは別に、通路の中身が電力を熱に変えることで生じる。回線設計ではこの2つを分けて足し合わせる。
晴れていて水滴が1つも無くても、大気は電波を吸う。原因は分子の共鳴吸収である。分子はそれぞれ固有の振動・回転の周波数を持っていて、電波の周波数がそこに一致するとエネルギーを受け取ってしまう。100GHz以下で効くのは2種類だけで、酸素分子が60GHz付近、水蒸気分子が22GHz付近に共鳴周波数を持つ。もっと上まで見れば水蒸気は183GHz付近、酸素は118GHz付近にも山がある。
共鳴の山と山の間には減衰の小さい谷があり、35GHz付近と94GHz付近が代表である。ミリ波でも比較的通しやすいこの帯域を電波の窓と呼ぶ。35GHzと94GHzそのものが使われるのは、気象レーダやミリ波イメージングといったレーダ・リモートセンシングの用途である。よく並べて語られる車載レーダの実際の割当ては76〜81GHz、近距離の固定高速回線はE-band(71〜86GHz)であり、窓の中心周波数とは一致しない。「ミリ波の窓=車載レーダの周波数」と短絡しないよう、用途ごとに帯域を分けて覚えておきたい。
逆に60GHz付近の大きな減衰は、遠くへ飛ばないという性質を積極的に使う用途——同じ周波数を近距離で何度も使い回す構内無線——に向く。減衰が大きいことが常に欠点とは限らない。
次に水滴である。霧や霧雨のように、水滴の直径が波長に比べて十分小さい場合、電波は水滴の中で熱に変わる。つまり減衰の主因は吸収であって散乱ではない。この吸収は周波数が高くなるほど増える。同じ濃さの霧でも、10GHzではほとんど効かず、80GHzでは無視できない量になる。
水滴が大きくなって波長と同じ程度になると、話が変わる。直径が波長よりずっと小さいうちは、散乱の強さは波長の4乗に反比例するレイリー散乱の領域で、散乱ぶんは小さい。直径が波長と同程度になるとミー散乱の領域に入り、散乱が吸収と肩を並べる大きさになる。雨滴の直径はおおむね0.5mmから数mmで、10GHzの波長30mmに対しては小さいが、周波数を上げていくと相対的に大きくなっていく。
だから降雨による減衰は、雨滴による吸収と散乱の両方で生じる。目安として、およそ10GHz以上で顕著になり、そこから200GHz程度までは、周波数が高いほど、また降雨強度が大きいほど減衰量が大きくなる。12GHz帯の衛星放送が強い雨で映らなくなるのはこのためで、同じ雨でも4GHz帯や6GHz帯の回線ならほとんど影響を受けない。
降雨減衰の見積もりの骨格。Rは降雨強度[mm/h]、γRは単位距離あたりの減衰[dB/km]、ℓeffは雨の降っている区間の実効的な長さ[km]。係数kと指数αは周波数と偏波で決まる定数で、周波数が高いほど大きくなる。この形から、減衰量が降雨強度と通路長の両方に効くこと、周波数依存はkとαが担うことが読める。数値そのものは条件によるので、増減の向きだけを押さえればよい。
降雨減衰には偏波の差もある。雨滴は落下中に空気抵抗を受けて下側がつぶれ、横に広がった扁平な形になる。すると水平方向の寸法が垂直方向より大きくなるので、電界が水平を向いている水平偏波のほうが、垂直偏波より減衰を多く受ける。差は大きくはないが、雨滴の半径が大きいほど、つまり強い雨ほど顕著になる。「垂直偏波のほうが減衰が大きい」と書かれた選択肢は誤りである。
同じ扁平さは、もう1つの厄介を生む。直交する2つの偏波で別々の信号を送る偏波共用回線では、主偏波の受信電力と、そこへ漏れ込んだ交差偏波の受信電力の比が品質を決める。この比が交差偏波識別度(XPD)である。雨滴が扁平で、しかも風で傾いていると、偏波の向きによって減衰量も位相の回り方も違ってしまう。結果として一方の偏波の成分がもう一方へ漏れ、XPDが劣化して2つの信号が互いに干渉する。原因は雨滴の形が球状でなく扁平であること、結果はXPDの劣化、という対応で覚える。
交差偏波識別度の定義。Epは主偏波として送った成分の受信電界強度、Exは直交する偏波へ漏れ込んだ成分の受信電界強度である。値が大きいほど2つの偏波がきれいに分離できている。降雨時にXPDが下がるのは、扁平な雨滴が偏波ごとに違う減衰と位相回転を与えるためで、雨滴が完全な球なら偏波による差は生じない。
第5章の試験での問われ方と典型的な誤り
- 60GHz付近に共鳴周波数を持つ分子(酸素。「窒素」を混ぜた語群が定番)
- 22GHz付近に共鳴周波数を持つ分子(水蒸気)
- 霧や細かい雨による減衰の主因と周波数依存(吸収が主因、周波数が高くなると増加。「散乱が主因」は誤り)
- 降雨減衰を生む2つの機構(吸収と散乱。「回折」を混ぜた語群が用意される)
- 降雨減衰が顕著になる周波数(およそ10GHz以上。1GHz以上とする選択肢は誤り)
- 降雨減衰の偏波依存(水平偏波のほうが大きい。垂直偏波を大きいとする選択肢が誤り)
- 交差偏波識別度が劣化する理由(雨滴の形が扁平で、偏波の方向によって減衰と位相回転が異なるため。「球状の雨滴が原因」は誤り)
第6章 衛星回線の伝搬 — 大気と電離圏を縦に貫く
最後に、ここまでの話がすべて1本の回線に同時に効く場面を見る。地上と衛星の間の回線である。電波は対流圏と電離圏を縦に貫くので、対流圏の屈折・吸収・降雨と、電離圏の減衰・シンチレーション・偏波の回転が、まとめて乗ってくる。しかも通路の大部分は何も無い宇宙空間なので、損失の内訳がきれいに分離できる。
衛星回線の伝搬損の構成。基準になるのは距離と周波数だけで決まる自由空間基本伝送損Lfsで、そこへ大気ガスによる吸収Latm、降雨減衰Lrain、電離圏による減衰Lionをすべてデシベルのまま加える。回折損を正値で表して足す規約と同じ扱いである。静止衛星との距離は約36,000km、斜めに見上げれば37,500km程度になるので、12GHz(12,000MHz)ならLfsは約205.5dBになる。
仰角の効き方は幾何学だけで読める。減衰を生む大気の層の厚みをh₀とすれば、仰角θで見上げたときに電波がその層を通る距離はおよそh₀/sinθになる。仰角90°なら通路長はh₀そのもの、仰角30°なら2倍、仰角10°なら約5.8倍である。晴天で水滴を含まない大気であっても、仰角が低いほど大気による減衰が大きくなるのはこのためで、降雨減衰についても同じ理屈で雨の中を通る距離が伸びる。ごく低い仰角では地球の丸みが効くのでこの近似は崩れるが、10°程度以上なら向きの判断には使える。
対流圏はもう1つ、方向の揺らぎを与える。屈折率は常に細かく変動しているので、電波の到来方向もそれにつれて揺れる。受信点から見れば振幅の小刻みな変動として観測され、これがシンチレーションである。低仰角ほど通路が長くなるぶん、揺らぎを受ける区間も長くなり、影響が大きくなる。
電離圏側の影響は3つある。1つ目が減衰で、電波が電離層を突き抜ける際にD層で受ける第1種減衰が主になる。この減衰は周波数の2乗に反比例するので、VHF帯以上では周波数が高くなるほど小さくなる。衛星通信がUHF帯以上を使う理由の1つがこれである。反射する際に反射点付近で受ける第2種減衰とは別物なので、混同しないようにしたい。
2つ目が電離圏シンチレーションである。電離層の電子密度が不規則に変動していると、そこを通過した電波の振幅と位相に短周期の不規則な変動が生じる。赤道地帯と極域、日没後の時間帯で顕著になり、周波数が低いほど影響が大きい。対流圏のシンチレーションが屈折率の変動によるものだったのに対し、こちらは電子密度の変動が原因である点が違う。
3つ目がファラデー回転である。電離層は地球磁界の中にあるので、直線偏波の電波が通過すると偏波面が回転してしまう。回転量は周波数の2乗に反比例し、回転角がどれだけになるかは通過する電子の総量と磁界で決まるため、あらかじめ受信側の偏波面を合わせておくことができない。対策は素直で、回転しても影響を受けない円偏波を使う。衛星通信に円偏波が多用される理由がこれである。
第6章の試験での問われ方と典型的な誤り
- 晴天時の大気減衰と仰角の関係(仰角が低いほど大きい。「仰角に依存しない」「高いほど大きい」は誤り)
- 電離圏の第1種減衰と周波数の関係(VHF帯以上では周波数が高くなるほど減少する)
- 電離圏の屈折率と周波数の関係(周波数が低くなるほど1から離れる。「1に近づく」は誤り)
- 大気の屈折率の変動が引き起こす現象(到来方向の変動、すなわちシンチレーション)
- 電離圏を通過する電波の振幅・位相の短周期変動の呼び名(電離圏シンチレーション)
- ファラデー回転の周波数依存と対策(周波数の2乗に反比例、対策は円偏波の使用。「直線偏波にすれば回避できる」は誤り)
第7章 原因と結果の対応表 — 現象名から逆に引く
伝搬分野の記述問題は、結局のところ「原因」「起きる場所」「結果」「見分ける手がかり」の4点セットで整理できる。試験の選択肢は、この4点のどれか1つだけを別の現象のものと差し替えて作られる。だから現象名から4点を引ける状態を作っておけば、差し替えられた1点を見つける作業に還元できる。
現象の対応表(現象 / 原因 / 起きる場所・条件 / 結果 / 見分ける手がかり)
- ラジオダクト / 温度や湿度の逆転層でMの勾配が負になる / 対流圏、海上や晴れた夜の地表付近 / 見通し距離をはるかに超えて伝搬し、遠方へ干渉する / M曲線に標準形と逆の勾配の部分がある
- 干渉性k形フェージング / 等価地球半径係数kの変動 / 見通し内の固定回線 / 直接波と大地反射波の干渉条件がずれて受信レベルが変動 / 相手は大地反射波であって散乱波ではない
- 回折性k形フェージング / 等価地球半径係数kの変動 / クリアランスが不足した通路 / 大地による回折損が変動。kが小さいほど回折損は大きい / kと回折損が逆向きに動く
- シンチレーションフェージング / 大気の屈折率の不規則な変動 / 対流圏、低仰角ほど顕著 / 到来方向と振幅が小刻みに揺れる / 周期が短く振幅は比較的小さい
- レイリーフェージング / 支配的な直接波が無いマルチパス / 市街地の移動体、数波長の移動 / 瞬時変動がレイリー分布に従う / 直接波が強ければ仲上・ライス分布になる
- 周波数選択性フェージング / 到来波の遅延時間差 / 信号帯域がコヒーレンス帯域より広い広帯域伝送。ディジタル高速伝送でとくに顕著 / 帯域内で振幅と位相が一様でなくなり波形ひずみを生じ、ディジタルではシンボル間干渉の原因になる / 狭帯域伝送ではほとんど問題にならない
- デリンジャー現象 / 太陽面爆発によるX線・紫外線の急増 / D層、太陽が照っている昼側の半球 / 短波帯の吸収が急増し通信が数分から数十分途絶する / 発生から約8分で始まり短時間で回復する
- 磁気嵐 / 太陽から放出された荷電粒子の到来 / F2層、高緯度地方ほど顕著 / 電子密度と臨界周波数が下がり短波回線が数日不安定になる / フレアから数十時間遅れて始まり長く続く
- スポラディックE / E層の高さに突発的に生じる高電子密度の薄い層 / 日本では夏季の日中に多い / ふだん突き抜けるVHF帯が反射され遠距離まで届く / 突発的で継続時間が読めない
- 大気ガスの共鳴吸収 / 酸素分子と水蒸気分子の共鳴 / 晴天時の対流圏、60GHzと22GHz付近 / 特定の周波数で減衰が大きくなる / 雨が降っていなくても生じる
- 降雨減衰 / 雨滴による吸収と散乱 / およそ10GHz以上、降雨強度が大きいほど / 減衰量が増え、水平偏波のほうが余計に減衰する / 周波数と降雨強度の両方に増加する
- 交差偏波識別度の劣化 / 扁平な雨滴で偏波ごとに減衰と位相回転が異なる / 降雨時の偏波共用回線 / 直交偏波間に漏れ込みが生じて干渉する / 雨滴が球状なら生じない
- 電離圏シンチレーション / 電離層の電子密度の不規則な変動 / 赤道地帯・極域、日没後、低い周波数ほど顕著 / 通過した電波の振幅と位相が短周期に変動する / 原因は電子密度であって大気の屈折率ではない
- ファラデー回転 / 電離層中の電子と地球磁界の相互作用 / 電離層を貫く衛星回線 / 直線偏波の偏波面が回転する。回転量は周波数の2乗に反比例 / 対策は円偏波の使用
取り違えやすい対の一覧
- 上方に凸 と 下方に凸: 標準大気の電波通路は、送受信点を結ぶ直線に対して上方に凸。地球へ向かって曲がる、と同じ意味
- (m−1)×10⁶ と (m+1)×10⁶: 修正屈折示数Mの定義は前者。屈折示数N = (n−1)×10⁶ と対で覚える
- 標準形 と 接地形: 勾配が正で一定なら標準形、地表付近で負に逆転していれば接地形
- 大地反射波 と 散乱波: 干渉性k形フェージングで直接波と干渉するのは大地反射波
- 短区間中央値 と 長区間中央値: 数十波長で均したのが短区間中央値で対数正規分布、それをさらに均して距離で決まるのが長区間中央値
- レイリー分布 と 仲上・ライス分布: 直接波が無ければレイリー、直接波が支配的なら仲上・ライス
- 周波数選択性フェージング と 跳躍性フェージング: 遅延時間差によるものが前者。後者は電離層伝搬で反射点がずれることによる呼び名
- デリンジャー現象 と 磁気嵐: D層の吸収で短時間か、F2層の電子密度低下で数日か
- 第1種減衰 と 第2種減衰: 突き抜けるときの減衰が第1種、反射するときの減衰が第2種
- 水平偏波 と 垂直偏波: 扁平な雨滴で余計に減衰するのは水平偏波
- 酸素 と 水蒸気: 60GHz付近が酸素、22GHz付近が水蒸気
- 吸収 と 散乱: 波長より十分小さい水滴は吸収が主、雨滴の大きさが波長に近づくと散乱も効く
本試験での問われ方
以下は公益財団法人日本無線協会が公表した本試験問題です(英語の科目を除き、国家試験の受験など試験制度の意義に反しない範囲での利用は許諾を求める必要がないと公表されています)。原文は改変せずそのまま掲載し、独自の要約と「この講座で学べる範囲」を添えています。
令和6年1月期 一陸技「無線工学B」(FB601) A-17(本試験問題)
この講座が土台を作る範囲電離層で1回跳ね返って届く回線について、地表距離と反射高から実際に電波が通る長さを出し、その長さで決まる電界をデシベル表記へ直したうえで減衰分を差し引く計算問題。
A-17 送受信点間の距離が 800〔km〕の F 層 1 回反射伝搬において、半波長ダイポールアンテナから放射電力 100〔W〕で送信したとき、受信点での電界強度の大きさの値として、最も近いものを下の番号から選べ。ただし、F 層の高さは 300〔km〕であり、第一種減衰はなく、第二種減衰は 8〔dB〕とし、電離層及び大地は水平な平面で、半波長ダイポールアンテナは大地などの影響を受けないものとする。また、電界強度は 1〔μV/m〕を 0〔dBμV/m〕、log107 = 0.85 とする。 1 63〔dBμV/m〕 2 57〔dBμV/m〕 3 51〔dBμV/m〕 4 37〔dBμV/m〕 5 29〔dBμV/m〕
出典: 令和6年1月期 一陸技「無線工学B」(FB601) A-17(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - この講座で学べる範囲
- 電離圏による減衰、電界強度、半波長ダイポールアンテナ
- この講座では扱わない範囲
- 電離層1ホップの伝搬経路長
令和6年1月期 一陸技「無線工学B」(FB601) B-4(本試験問題)
この講座が土台を作る範囲地上と衛星を結ぶ回線について、大気中の減衰が仰角でどう変わるか、電離圏の減衰と屈折率が周波数でどちらへ向かうか、電子密度の揺らぎが起こす変動の速さと呼び名を語群から選ばせる問題。
B-4 次の記述は、地上と衛星間の電波伝搬における対流圏及び電離圏の影響について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句を下の番号から選べ。 (1) 大気による減衰は、晴天時の水滴を含まない大気の場合には、衛星の仰角が[ ア ]ほど大きくなる。 (2) 電離圏による第 1 種減衰は、超短波(VHF)帯以上の周波数では、周波数が高くなるほど[ イ ]する。 (3) 電離圏の屈折率は、周波数が[ ウ ]なると 1 に近づく。 (4) 電波が電離圏を通過する際、電子密度の時間的、空間的な揺らぎにより、その振幅、位相などに[ エ ]の不規則な変動を生ずる場合があり、これを[ オ ]という。 1 高い 2 減少 3 低く 4 短周期 5 デリンジャー現象 6 低い 7 増大 8 高く 9 長周期 10 電離圏シンチレーション
出典: 令和6年1月期 一陸技「無線工学B」(FB601) B-4(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - 対応する記述
- ア〜オの5記述のうち5記述
- この講座で学べる範囲
- 地上・衛星間回線、大気ガスによる吸収・減衰、電離圏による減衰、屈折率、電子密度、シンチレーション
令和6年7月期 一陸技「無線工学B」(FB607) A-14(本試験問題)
この講座が土台を作る範囲雨が降ると直交する2偏波の分離がどう崩れるかについて、識別度をどちらの電界をどちらで割った対数で定義するか、雨滴がどの向きにつぶれるか、傾きと降雨強度の効き方を5つ並べ、誤りを1つ選ばせる問題。
A-14 次の記述は、マイクロ波(SHF)帯やミリ波(EHF)帯の地上系固定通信において、降雨時に生ずる交差偏波について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。ただし、使用する偏波は直線偏波とする。 1 一つの周波数で、互いに直交する二つの偏波を用いて異なる信号を伝送すれば、周波数の利用効率が 2 倍になるが、降雨時には交差偏波識別度は劣化しやすい。 2 受信信号の主偏波の電界強度を Ep〔V/m〕、交差偏波の電界強度を Ec〔V/m〕とすると、通常、交差偏波識別度は、20log10(Ec/Ep)〔dB〕と表される。 3 落下中の雨滴は、雨滴内外の圧力や表面張力の影響を受け、落下方向につぶれた形に変形するが、その変形の度合いは、雨滴が大きいほど大きくなり、交差偏波特性に影響する。 4 風のある降雨時には、上下方向に扁平な回転楕円体に近い形に変形した雨滴が水平方向より傾き、その長軸方向の電界成分の減衰が短軸方向の電界成分の減衰よりも大きくなるために交差偏波成分が発生する。 5 交差偏波識別度は、降雨が強いほど、また、雨滴の傾きが大きいほど劣化する。
出典: 令和6年7月期 一陸技「無線工学B」(FB607) A-14(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - この講座で学べる範囲
- 交差偏波識別度、降雨減衰、円偏波、電界強度
令和6年7月期 一陸技「無線工学B」(FB607) A-16(本試験問題)
この講座が土台を作る範囲地面を伝う波が遠くまで届く条件、気温が逆転したときに屈折率がどの向きへ変わって生じる波、屈折率の乱れによって散らばって届く波という3つの伝わり方を、名前と条件の組合せで答えさせる問題。
A-16 次の記述は、電波の伝わり方について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 (1) 地表波は、地表面に沿って伝搬する波で、周波数が低いほど、また、大地の導電率が [ A ] ほど遠くまで伝搬する。 (2) [ B ] は、対流圏内の気温逆転現象などによって屈折率が [ C ] に変化することによって生ずる波で、見通し外の遠距離まで伝わる。 (3) [ D ] は、対流圏内の屈折率の不規則なゆらぎによって生ずる波で、見通し外遠距離通信に利用することができる。 A B C D 1 大きい ラジオダクト波 高さ方向 対流圏散乱波 2 大きい 対流圏散乱波 水平方向 ラジオダクト波 3 小さい 対流圏散乱波 水平方向 ラジオダクト波 4 小さい ラジオダクト波 高さ方向 対流圏散乱波 5 小さい ラジオダクト波 水平方向 対流圏散乱波
出典: 令和6年7月期 一陸技「無線工学B」(FB607) A-16(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - この講座で学べる範囲
- ラジオダクト、導電率、屈折率
- この講座では扱わない範囲
- 地表波、対流圏散乱波
令和6年7月期 一陸技「無線工学B」(FB607) B-4(本試験問題)
この講座が土台を作る範囲波長が短い帯域の伝わり方について、酸素と水蒸気の共鳴が現れる周波数、細かい水滴による減衰の周波数依存、降水中での遅れ、ビームが交わる領域での散乱による干渉、降雨減衰の目安を、記述ごとに正誤で答えさせる問題。
B-4 次の記述は、マイクロ波(SHF)帯及びミリ波(EHF)帯の電波の伝搬について述べたものである。このうち正しいものを1、誤っているものを2 として解答せよ。 ア 晴天時の大気ガスによる電波の共鳴吸収は、主に酸素及び水蒸気分子によるものであり、100〔GHz〕以下では、22〔GHz〕付近に水蒸気分子の共鳴周波数が、60〔GHz〕付近に酸素分子の共鳴周波数がある。 イ 霧や細かい雨などのように波長に比べて十分小さい直径の水滴による減衰は、主に吸収によるものであり、周波数が高くなると減少する。 ウ 電波が降水中を伝搬するとき、降水粒子による吸収や散乱の影響を受け、距離とともに減衰すると同時に位相遅延を生ずる。 エ 二つの通信回線のアンテナビームが交差している領域に降雨があると、雨滴による散乱のために通信回線に干渉を起こすことがある。 オ 降雨による減衰は、雨滴による吸収と散乱で生じ、概ね 10〔GHz〕以上で顕著になり、200〔GHz〕付近までは周波数が高いほど、また、降雨強度が大きいほど、減衰量が大きくなる。
出典: 令和6年7月期 一陸技「無線工学B」(FB607) B-4(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - 対応する記述
- ア〜オの5記述のうち5記述
- この講座で学べる範囲
- 大気ガスによる吸収・減衰、周波数帯の区分と用途、降雨減衰、散乱
令和7年1月期 一陸技「無線工学B」(FB701) A-14(本試験問題)
この講座が土台を作る範囲地上と衛星を結ぶ経路で受ける影響を5つ並べ、屈折率のゆらぎ、仰角と大気減衰、電離圏の屈折率と周波数の関係が正しく並ぶ中から、電離圏での減衰と周波数の向きが逆になっている記述を選ばせる問題。
A-14 次の記述は、地上と衛星間の電波伝搬における対流圏及び電離圏の影響について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。 1 大気の屈折率は、常時変動しているので電波の到来方向もそれに応じて変動し、シンチレーションの原因となる。 2 大気による減衰は、晴天時の水滴を含まない大気の場合には衛星の仰角が低いほど大きくなる。 3 電離圏による第 1 種減衰は、超短波(VHF)帯以上の周波数では、周波数が高くなるほど大きくなる。 4 電離圏の屈折率は、周波数が高くなると 1 に近づく。 5 電波が電離圏を通過する際、その振幅、位相などに短周期の不規則な変動を生ずる場合があり、これを電離圏シンチレーションという。
出典: 令和7年1月期 一陸技「無線工学B」(FB701) A-14(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - この講座で学べる範囲
- 地上・衛星間回線、シンチレーション、電離圏による減衰、屈折率、大気ガスによる吸収・減衰
令和7年1月期 一陸技「無線工学B」(FB701) A-17(本試験問題)
この講座が土台を作る範囲太陽表面の爆発が地球へ及ぼす影響について、放出される電磁波の種類、光の速さで届くまでの時間、黒点活動が繰り返す長さ、陽子が増える現象の呼び名を組合せで答えさせる問題。
A-17 次の記述は、太陽フレアについて述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 (1) 太陽フレアとは、太陽の表面の爆発現象で、これにより [ A ] などの電磁波、高エネルギー粒子、プラズマなどが [ B ] から数日間で地球に到達し、停電、通信障害、人工衛星などへ影響を及ぼすことが知られている。 (2) 太陽フレアは、太陽の黒点の活動と大きな関連性があり、黒点周期の極大期には大黒点や黒点群の近くで毎日のように起こっている。黒点の活動周期は、概ね [ C ] であることも知られている。 (3) 太陽フレアが起きると、大量の電磁波だけでなく、電子や陽子・重イオンなどの高エネルギーの粒子も放出される。高エネルギーの陽子が増加する現象は、[ D ] 現象と呼ばれる。 A B C D 1 X線 8分 11 年 プロトン 2 X線 2秒 80 年 デリンジャ 3 X線 8分 11 年 デリンジャ 4 ミリ波 2秒 11 年 プロトン 5 ミリ波 8分 80 年 デリンジャ
出典: 令和7年1月期 一陸技「無線工学B」(FB701) A-17(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - この講座で学べる範囲
- 太陽フレアと黒点活動
- この講座では扱わない範囲
- プロトン現象(高エネルギー陽子の増加)
令和7年7月期 一陸技「無線工学B」(FB707) A-14(本試験問題)
この講座が土台を作る範囲電離圏の電子密度のむらが衛星回線へ及ぼす短周期の変動について、深さが周波数の何乗に反比例するか、1年のうちいつ大きくなるか、どの緯度帯で最も多いかを組合せで答えさせる問題。
A-14 次の記述は、電離圏中の電子密度のゆらぎ(不規則性)が衛星通信に与える影響について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 (1) 電離圏中の電子密度のゆらぎは、F 層や中緯度地域における E 層で起こり、入射電波を散乱又は屈折させ、受信電波の強度、位相、偏波面、到来方向の変動の原因になる。この変動をシンチレーションといい、通常はピッチが速く、その深さ(dB 値のピークからピーク)はほぼ周波数の [ A ] 乗に反比例し、[ B ] の頃が最も大きい。 (2) シンチレーションは、地域的には F 層のゆらぎが夜間発達する [ C ] で最も多く発生する。 A B C 1 3 夏至及び冬至 赤道地帯 2 3 夏至及び冬至 中緯度地域 3 1.5 春分及び秋分 赤道地帯 4 1.5 春分及び秋分 中緯度地域 5 1.5 夏至及び冬至 中緯度地域
出典: 令和7年7月期 一陸技「無線工学B」(FB707) A-14(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - この講座で学べる範囲
- シンチレーション、電子密度、電離層内の屈折・反射、地上・衛星間回線
令和7年7月期 一陸技「無線工学B」(FB707) A-15(本試験問題)
この講座が土台を作る範囲地球の見かけの丸みが時間とともに変わることで生じる変動を5つ並べ、回折によるものと干渉によるものの成因、反射面の違いによる大小が正しく並ぶ中から、2種類の変動の速さの比較が逆になっている記述を選ばせる問題。
A-15 次の記述は、等価地球半径係数 k に起因する k 形フェージングの一般的な特徴について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。 1 k 形フェージングは、k が時間的に変化し、伝搬波に対する大地(海面)の影響が変化することによって生ずる。 2 回折 k 形フェージングは、電波通路と大地(海面)のクリアランスが不十分で、かつ、k が小さくなったとき、大地(海面)の回折損を受けて生ずる。 3 回折 k 形フェージングの周期は、干渉 k 形フェージングの周期に比べて短い。 4 干渉 k 形フェージングは、k の変動により直接波と大地(海面)反射波の干渉状態が変化することによって生ずる。 5 干渉 k 形フェージングによる電界強度の変化は、反射点が大地であるときの方が海面であるときより小さい。
出典: 令和7年7月期 一陸技「無線工学B」(FB707) A-15(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - この講座で学べる範囲
- k形フェージング、等価地球半径係数k、大地反射、ナイフエッジ回折
令和7年7月期 一陸技「無線工学B」(FB707) B-4(本試験問題)
同じ問われ方まで練習できる範囲中波と短波の伝わり方を5つ並べ、夜間に吸収層が消えたときの遠距離伝搬、偏波による地表波の損失差、海上と陸上での届き方の違い、時間帯や周波数による変化、太陽活動に伴う異常現象の受けやすさを、記述ごとに正誤で答えさせる問題。
B-4 次の記述は、中波(MF)帯及び短波(HF)帯の電波の伝搬について述べたものである。このうち正しいものを 1、誤っているものを 2 として解答せよ。 ア MF 帯の E 層反射波は、日中はほとんど使えないが、夜間は D 層の消滅により数千キロメートル伝搬することがある。 イ MF 帯の地表波の伝搬損は、水平偏波の場合の方が垂直偏波の場合より大きい。 ウ MF 帯の地表波は、伝搬路が海上の場合よりも陸上の場合の方が遠方まで伝搬する。 エ HF 帯では、電離層の臨界周波数などの影響を受け、その伝搬特性は時間帯や周波数などによって大きく変化する。 オ HF 帯では、MF 帯に比べて、電離層嵐(磁気嵐)やデリンジャー現象などの異常現象の影響を受けやすい。
出典: 令和7年7月期 一陸技「無線工学B」(FB707) B-4(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - 対応する記述
- ア〜オの5記述のうち5記述
- この講座で学べる範囲
- 電離層内の屈折・反射、電離圏による減衰、電子密度、太陽フレアと黒点活動
- この講座では扱わない範囲
- 地表波
令和8年1月期 一陸技「無線工学B」(FB801) A-16(本試験問題)
同じ問われ方まで練習できる範囲対流圏で起きる2種類のフェージングについて、原因となる変動量と、等価地球半径係数が動いたときに回折損がどちらへ振れるかを組合せで問う。
A-16 次の記述は、対流圏伝搬におけるフェージングについて述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、等価地球半径係数を k とする。 (1) シンチレーションフェージングは、[ A ]の不規則な変動により生じる。 (2) 干渉性 k 形フェージングは、直接波と[ B ]の干渉が k の変動に伴い変化するために生じる。 (3) 回折性 k 形フェージングは、電波通路と大地とのクリアランスが十分でないとき、k の変化に伴い大地による回折損が変動することにより生じる。k が[ C ]なると回折損が大きくなる。 A B C 1 大気の屈折率 散乱波 大きく 2 大気の屈折率 散乱波 小さく 3 大気の屈折率 大地反射波 小さく 4 太陽フレア 大地反射波 大きく 5 太陽フレア 散乱波 小さく
出典: 令和8年1月期 一陸技「無線工学B」(FB801) A-16(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - この講座で学べる範囲
- k形フェージング、シンチレーション、大地反射、等価地球半径係数k
令和8年1月期 一陸技「無線工学B」(FB801) A-17(本試験問題)
同じ問われ方まで練習できる範囲市街地の移動体通信で観測される変動を、瞬時変動の統計分布、区間中央値の呼び分け、広帯域伝送で問題になる歪みの種類の3層に整理させる問題。
A-17 次の記述は、陸上の移動体通信の電波伝搬特性について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。なお、同じ記号の[ ]内には、同じ字句が入るものとする。 (1) 基地局から送信された電波は、陸上移動局周辺の建物などによるマルチパス環境下で、反射、回折され、定在波を生じ、この定在波中を移動局が移動すると、受信波の電界強度にフェージングが発生する。この変動は瞬時変動といわれ、[ A ]に従う。一般に、周波数が高いほど、また移動速度が速いほど変動が速いフェージングとなる。 (2) 瞬時変動の数十波長程度の区間での中央値を[ B ]中央値といい、基地局からほぼ等距離の区間内の[ B ]中央値は、対数正規分布則に従い変動し、その中央値を[ C ]中央値という。[ C ]中央値は、移動局の基地局からの距離を d とおくと、一般に Xd^(-α) で近似される。ここで、X 及び α は、送信電力、周波数、基地局及び移動局のアンテナ高、建物高等によって決まる。 (3) 一般に、移動局に到来する多数の電波の到来時間に差があるため、帯域内の各周波数の振幅と位相の変動が一様ではなく、[ D ]フェージングを生じる。狭帯域伝送の場合には、その影響はほとんどないが、一般に、高速デジタル伝送の場合には、伝送信号に波形ひずみを生じることになる。多数の到来波の遅延時間を横軸に、各到来波の受信レベルを縦軸にプロットしたものは伝搬遅延プロファイルと呼ばれ、多重波伝搬理論の基本特性の一つである。 A B C D 1 レイリー分布則 長区間 短区間 周波数選択性 2 レイリー分布則 長区間 短区間 跳躍性 3 レイリー分布則 短区間 長区間 周波数選択性 4 指数分布則 短区間 長区間 跳躍性 5 指数分布則 長区間 短区間 周波数選択性
出典: 令和8年1月期 一陸技「無線工学B」(FB801) A-17(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - この講座で学べる範囲
- レイリー分布則の瞬時変動、対数正規分布則の中央値変動、周波数選択性フェージング、伝搬遅延プロファイル
令和8年1月期 一陸技「無線工学B」(FB801) B-4(本試験問題)
同じ問われ方まで練習できる範囲球面大地を平面として扱うための補正量の定義と、その勾配を示す曲線の呼び名、勾配が逆転したときに起きる見通し外伝搬を語群から選ばせる問題。
B-4 次の記述は、マイクロ波(SHF)帯の電波の対流圏伝搬について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句を下の番号から選べ。なお、同じ記号の[ ]内には、同じ字句が入るものとする。 (1) 標準大気において、大気の屈折率 n は地表からの高さとともに減少するから、標準大気中の電波通路は、送受信点間を結ぶ直線に対して[ ア ]わん曲する。 (2) 実際の大地は球面であるが、これを平面大地上の伝搬として等価的に取り扱うために、m = n+(h/R) で与えられる修正屈折率 m が定義されている。ここで、h〔m〕は地表からの高さ、R〔m〕は地球の[ イ ]である。m は 1 に極めて近い値で不便なので、修正屈折示数 M を用いる。M は、M = [ ウ ]×10^6 で与えられ、標準大気では地表からの高さとともに増加する。 (3) 標準大気の M 曲線は、図1 に示すように勾配が一定の直線となる。この M 曲線の形を[ エ ]という。 (4) 大気中に温度などの[ オ ]層が生じるとラジオダクトが発生し、電波がラジオダクトの中に閉じ込められて見通し距離より遠方まで伝搬することがある。このときの M 曲線は、図2 に示すように、ある範囲の高さで[ エ ]とは逆の勾配を持つ部分を生じる。 〔図省略〕 1 均一 2 (m-1) 3 下方に凸に 4 (m+1) 5 標準形 6 接地形 7 逆転 8 上方に凸に 9 等価半径 10 半径
出典: 令和8年1月期 一陸技「無線工学B」(FB801) B-4(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - 対応する記述
- ア〜オの5記述のうち5記述
- この講座で学べる範囲
- 屈折率、修正屈折率・修正屈折示数M、等価地球半径係数k、ラジオダクト
令和8年7月期 一陸技「無線工学B」(FB807) A-16(本試験問題)
この講座が土台を作る範囲電子密度の変化で屈折率がどうなるか、隣り合う層の屈折の関係式、入射角と屈折角の大小を追い、電波が戻ってくる仕組みを説明させる問題。
A-16 次の記述は、電離層における電波の反射機構について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 (1) 電離層の電子密度 N の分布は、高さと共に徐々に増加し、ある高さで最大となり、それ以上の高さでは徐々に減少している。N が零のとき、電波の屈折率 n はほぼ1であり、N が最大のとき、n は[ A ]となる。 (2) N が高さと共に徐々に増加している電離層内の N が異なる隣接した二つの水平な層を考え、地上からの電波が層の境界へ入射するとき、下の層の屈折率を ni、上の層の屈折率を nr、入射角を i、屈折角を r とすれば、nr は、nr = ni ×[ B ]で表される。 (3) このときの r は i より[ C ]ので、N が十分大きいとき、電離層に入射した電波は、高さと共に徐々に下に向かって曲げられ、やがて地上に戻ってくることになる。 A B C 1 最大 sin r / sin i 大きい 2 最大 cos i / cos r 小さい 3 最小 sin i / sin r 大きい 4 最大 sin i / sin r 大きい 5 最小 sin r / sin i 小さい
出典: 令和8年7月期 一陸技「無線工学B」(FB807) A-16(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - この講座で学べる範囲
- 電離層内の屈折・反射、電子密度、スネルの法則(屈折の法則)、屈折率
令和8年7月期 一陸技「無線工学B」(FB807) A-17(本試験問題)
同じ問われ方まで練習できる範囲衛星との回線で効く大気と電離圏の影響について、仰角依存、周波数依存、屈折率の振る舞い、短周期変動の呼び名を並べ、誤りを1つ選ばせる問題。
A-17 次の記述は、地上と衛星間の電波伝搬における対流圏及び電離圏の影響について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。 1 大気の屈折率は、常時変動しているので電波の到来方向もそれに応じて変動し、シンチレーションの原因となる。 2 大気による減衰は、晴天時の水滴を含まない大気の場合には衛星の仰角が低いほど大きくなる。 3 電離圏による第1種減衰は、超短波(VHF)帯以上の周波数では、周波数が高くなるにつれて減少する。 4 電離圏の屈折率は、周波数が低くなると1に近づく。 5 電波が電離圏を通過する際、その振幅、位相などに短周期の不規則な変動を生じる場合があり、これを電離圏シンチレーションという。
出典: 令和8年7月期 一陸技「無線工学B」(FB807) A-17(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - この講座で学べる範囲
- 地上・衛星間回線、大気ガスによる吸収・減衰、電離圏による減衰、シンチレーション
令和8年7月期 一陸技「無線工学B」(FB807) B-1(本試験問題)
同じ問われ方まで練習できる範囲晴天時の共鳴吸収を起こす分子、霧や雨による減衰の周波数依存、偏波による差、交差偏波識別度が劣化する理由を語群から選ばせる問題。
B-1 次の記述は、マイクロ波(SHF)帯及びミリ波(EHF)帯の電波の伝搬について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句を下の番号から選べ。なお、同じ記号の[ ]内には、同じ字句が入るものとする。 (1) 晴天時の大気ガスによる電波の共鳴吸収は、主に[ ア ]及び水蒸気分子によるものであり、100〔GHz〕以下では、60〔GHz〕付近に[ ア ]分子の共鳴周波数がある。 (2) 霧や細かい雨などのように波長に比べて十分小さい直径の水滴による減衰は、主に吸収によるものであり、周波数が[ イ ]と増加する。 (3) 降雨による減衰は、雨滴による吸収と[ ウ ]で生じ、概ね 10〔GHz〕以上で顕著になり、ほぼ 200〔GHz〕までは周波数が高いほど、降雨強度が大きいほど、減衰量が大きくなる。 (4) 降雨による減衰は、雨滴の半径が大きいと、垂直偏波に比べ水平偏波のほうが若干[ エ ]なる。 (5) 降雨による交差偏波識別度の劣化は、形状が[ オ ]雨滴に進入する電波の減衰及び位相回転の大きさが偏波の方向によって異なることが原因で生じる。 1 酸素 2 高くなる 3 散乱 4 球状の 5 小さく 6 窒素 7 低くなる 8 回折 9 扁平な 10 大きく
出典: 令和8年7月期 一陸技「無線工学B」(FB807) B-1(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - 対応する記述
- ア〜オの5記述のうち5記述
- この講座で学べる範囲
- 大気ガスによる吸収・減衰、降雨減衰、散乱、交差偏波識別度
等価地球半径係数 k を使った見通し距離の計算は見通し距離、臨界周波数・MUF・跳躍距離の計算は電離層伝搬が正本です。この講座はその手前と外側にある「現象の原因と結果」を担当します。
原因と結果の向きを、数値の動きで確かめる
第2章の k の変動、第4章の臨界周波数と跳躍距離は、シミュレータでスライダーを動かせばそのまま目で追える。読んで押さえた向きが数値でも同じになるか、確かめてほしい。