一陸技|無線工学B|過去問
令和6年1月期 A-14
要点(wavelane の要約): 位相差が小さいときに正弦を角度で置き換えてよい条件のもと、直接波と反射波の合成式を実用形へ書き直した候補が5つ並ぶ。係数と距離の次数の両方が合うものを選ばせる問題。
原文(公式問題文)
A-14 超短波(VHF)帯の地上波の見通し距離内における電界強度|E|〔V/m〕の近似式として、正しいものを下の番号から選べ。ただし、送信アンテナ及び受信アンテナの高さをそれぞれ h1〔m〕及び h2〔m〕、両アンテナ間の距離を d〔m〕、放射電力を Pt〔W〕、送信アンテナの半波長ダイポールアンテナに対する相対利得を G (真数)、波長を λ〔m〕、自由空間電界強度を E0〔V/m〕とすると、|E|は、次式で与えられる。また、伝搬路は平面大地で、かつ大地の反射係数は-1 とし、送受信アンテナは、互いに最大放射方向に向けられ、2πh1h2/(λd) < 0.5〔rad〕とする。なお、アンテナ及び給電回路の損失はないものとする。 |E| = 2E0 × |sin(2πh1h2/(λd))|〔V/m〕 1 |E| ≒ 44GPth1h2/(λd) 2 |E| ≒ 88GPth1h2/(λd²) 3 |E| ≒ 44√(GPt)h1h2/(λd²) 4 |E| ≒ 88GPth1h2/(λd) 5 |E| ≒ 88√(GPt)h1h2/(λd²)
出典: 令和6年1月期 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB601)A-14(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
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正答: 5
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wavelane の解説(公式の解説ではありません)
問題文で与えられた2波モデルの式を、位相が小さいときの近似と自由空間電界の式で書き直す。係数と分母の距離の次数の両方が合う形はひとつしかない。
選択肢 1— 答えではない
放射電力と利得が平方根の外にあり、係数も半分、分母の距離も1乗のままである。3か所とも外れている。
選択肢 2— 答えではない
係数と分母の次数は合っているが、放射電力と利得が平方根の外にある。この形だと放射電力を4倍にしたとき電界も4倍になってしまい、電界が電力の平方根に比例するという関係と矛盾する。
選択肢 3— 答えではない
平方根も分母の次数も合っているが、係数が半分である。14π ≒ 44 は、直接波と反射波の合成で付く2倍を落とした値になっている。
選択肢 4— 答えではない
係数は合っているが、平方根が無く、分母の距離も1乗のままである。近似前の式を1回の置き換えで済ませようとすると、この形になりやすい。
選択肢 5◎ これが答え
位相が 0.5 rad 未満と指定されているので、正弦をその角度そのもので置き換えてよい。すると電界は 2E0×2πh₁h₂/(λd) になる。ここへ半波長ダイポール基準の自由空間電界 E0 = 7√(GPt)/d を入れると、係数は 2×7×2π = 28π ≒ 88 になり、距離は E0 の分母と位相の分母から1つずつ出て2乗になる。この形が答え。
正答は選択肢 5 である。
つまずきやすい点
- 電界は電力の平方根に比例する。平方根の有無だけで候補は半分に絞れる。
- 距離は2か所から出てくる。1つは自由空間電界の分母、もう1つは正弦の中身である。片方だけを見て1乗のままにしない。
- 28π = 87.96 を 88、14π = 43.98 を 44 と丸めている。どちらの係数も同じ由来なので、2波の合成による2倍を落としたかどうかで見分ける。
理由から確かめる
- 2波モデル(大地反射)電界強度・大地反射・直接波と大地反射波の2波モデル
- ナイフエッジ回折損失電界強度・大地反射・直接波と大地反射波の2波モデル
- アンテナ・電波測定の基礎電界強度・大地反射・直接波と大地反射波の2波モデル