一陸技|無線工学B|過去問
令和5年1月期 第2回 A-18
要点(wavelane の要約): 向かい合う2つの開口の縁どうしを結ぶ最長の経路と中心どうしの最短の経路の差を、平方根を1次で近似して簡単な形に直し、許せる通路差の大きさから必要な最小距離を組合せで答えさせる問題。FB707 A-20 と同じ問題である。
原文(公式問題文)
A-18 次の記述は、自由空間において開口面の直径が波長に比べて十分大きなアンテナの利得を測定する場合に考慮しなければならない送受信アンテナ間の最小距離について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 (1) 図に示すように、アンテナ 1 及びアンテナ 2 を距離 R1〔m〕離して対向させたとき、アンテナ 1 の開口面上の任意の点とアンテナ 2 の開口面上の任意の点の間の距離が一定でないため、両アンテナ開口面上の任意の点の間を伝搬する電波の相互間に位相差が生じ、測定誤差の原因となる。 (2) 最大の誤差は、両アンテナの開口面上の 2 点間の最長距離 R2〔m〕と最短距離 R1〔m〕との差によって決まり、その差 ΔR は、次式によって表される。ただし、アンテナ 1 及びアンテナ 2 の開口面の直径をそれぞれ D1〔m〕及び D2〔m〕とし、D1 + D2 ≪ R1 とする。 ΔR = R2 - R1 = √(R1² + (D1/2 + D2/2)²) - R1 ≒ [ A ]〔m〕 (3) 通路差による測定利得の誤差を 2〔%〕以内にするには、波長を λ〔m〕とすれば、通路差 ΔR が[ B ]以下であればよいことが知られているので、両アンテナ間の最小距離 Rmin は、次式で表される。 Rmin = [ C ]〔m〕
〔図省略〕の位置 — wavelane による再現図(公式図版ではありません)。図の説明は引用の下にあります。
A B C 1 (D1 + D2)²/(4R1) λ/16 (D1 + D2)²/(2λ) 2 (D1 + D2)²/(8R1) λ/4 (D1 + D2)²/(4λ) 3 (D1 + D2)²/(8R1) λ/16 2(D1 + D2)²/λ 4 (D1 + D2)²/(4R1) λ/16 2(D1 + D2)²/λ 5 (D1 + D2)²/(4R1) λ/4 (D1 + D2)²/(2λ)
〔図省略〕は Wavelane による編集注で、公式図版があった位置を示します。その位置には Wavelane が描いた再現図を差し込んでいます(公式図版ではありません)。図の説明は下の図カードにあります。
Wavelane が原図をもとに描いた模式図(公式図版ではありません)
出典: 令和5年1月期 第2回 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB502)A-18(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
解かずに正答と解説を見る
正答: 3
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
向かい合う開口の縁どうしの距離と中心どうしの距離の差は、平方根を1次で近似すると開口の和の2乗を8R1で割った値になる。これを波長の1/16以下に抑えると、最小距離は開口の和の2乗の2倍を波長で割った値になる。
- 空欄 A: (D1 + D2)²/(8R1)
- x を開口の半径の和とすると、√(R1² + x²) − R1 ≒ x²/(2R1) である。x = (D1 + D2)/2 を入れると分母は 8R1 になる。
- 空欄 B: λ/16
- 通路差が波長の1/16、位相にして22.5度以内なら、利得の誤差は約2%以内に収まる。
- 空欄 C: 2(D1 + D2)²/λ
- A を λ/16 以下として R1 について解くと、16(D1 + D2)²/(8λ) となり、約分して 2(D1 + D2)²/λ になる。
この組合せになっているのは選択肢 3 である。
つまずきやすい点
- x に直径の和をそのまま入れると分母が 2R1 になる。半径の和であることに注意する。
- 開口が1つのときの遠方界の目安 2D²/λ と同じ形で、D を2つの開口の和に置き換えたものと見れば覚えやすい。
理由から確かめる
- アンテナ・電波測定の基礎アンテナ利得の測定・最小測定距離 Rmin = 2D²/λ・近傍界・遠方界の領域・通路差
- アンテナ方式図鑑近傍界・遠方界の領域・通路差
- 電磁界の続論とマイクロ波回路通路差