電波の基礎|深掘り編
電磁界の続論とマイクロ波回路 — TEM波・表皮効果・遮へい・導波管素子
電波が自由空間を進むときの姿は、マクスウェルの方程式から出てくる1種類しかない——進行方向に電界も磁界も持たないTEM波である。ところが導体を1枚置いた瞬間に話は変わる。導体の中へは表皮の薄い層までしか入れず、導体で囲めば内側に電界が届かなくなり、中空の金属管の中ではTEM波そのものが存在できなくなって、代わりにTE波とTM波という別の姿が現れる。この講座は「境界条件が電磁界の形を決め、その形がそのまま部品の性質になる」という一本の筋で、TEM波・表皮効果・遮へい・導波管の一般モード・マジックT・方向性結合器・空洞共振器までを並べ直す。マイクロ波回路の部品が丸暗記の名前ではなく、管の中の電磁界の形から説明できるようになることが目標である。
第1章 TEM波 — 自由空間を進む電磁波の素の姿
自由空間を進む電磁波は、進行方向に電界成分も磁界成分も持たない。振動しているのは進行方向と直角な面の中だけで、こういう波を横波と呼び、電磁波の場合はTEM波(Transverse ElectroMagnetic wave、横電磁波)という。マクスウェルの方程式の解説では平面波として扱った波が、名前を付ければこれである。
TEM波で押さえるべき性質は3つある。第一に、電界E、磁界H、進行方向の3つが互いに直角であること。第二に、EとHは時間的に同じ位相で振動すること——一方が最大のとき他方も最大で、逆位相にはならない。第三に、EとHの比が媒質だけで決まる定数になることである。自由空間ではこの比が120π、つまり約377Ωになる。
自由空間の固有インピーダンス(波動インピーダンス)。電界[V/m]を磁界[A/m]で割るので単位はΩになる。比誘電率εrの非磁性媒質の中では、この値が√εrで割った分だけ小さくなる。120πを120と書き違えた選択肢が定番の誤答で、πを落とすと約3.14分の1になってしまう。
位相速度も媒質だけで決まる。真空中ではv = 1/√(ε₀μ₀) = c ≈ 3×10⁸ m/s、比誘電率εrの媒質ならc/√εrになる。ここで大切なのは、TEM波の位相速度が周波数に依存しないことである。どの周波数でも同じ速さで進むので波形が崩れない。第4章で扱う導波管はこの点が根本的に違い、周波数によって位相速度が変わる分散性の伝送路になる。
TEM波の位相速度。誘電率と透磁率だけで決まり、周波数を含まない。同軸ケーブルの短縮率(ポリエチレン絶縁でεr≈2.3なら約0.66)はこの式そのもので、電気的な長さが自由空間より短くなる理由もここにある。
TEM波が伝わる線路と伝わらない構造の切り分けは、試験で正面から問われる。平行二線式給電線と同軸給電線はTEM波を伝えられる。どちらも「行き」と「帰り」の2本の導体を持ち、その間に電界が張られ、導体を流れる電流のまわりに磁界ができるからである。一方、方形導波管や円形導波管のような中空の金属管ではTEM波は伝わらない。
もうひとつ、TEM波と結びつけて問われるのが遠方界(放射界)の条件である。アンテナのすぐ近くには電界と磁界の比が120πにならない領域があり、ここでは電界と磁界が同相にもならず、距離に対する減衰も1/r²や1/r³の項が効く。しかし十分離れると、球面波の一部が局所的に平面波とみなせるようになり、電界と磁界は同相・比は120π・振幅は1/rで減衰する——つまりTEM波として扱えるようになる。この境目の目安が、最大寸法Dのアンテナに対する距離d ≥ 2D²/λである。
試験での問われ方・識別ポイント・典型的な誤答
- 問われ方: TEM波の性質を5つ並べて個別に正誤判定させる形式(記述の組合せ)が定番。計算は出ず、言葉の正確さだけで決まる
- 識別ポイント: 「進行方向に成分を持たない」「電界と磁界は同相」「2導体の線路を伝わる」「自由空間の固有インピーダンスは120π」の4点をこの順で確認する
- 典型的な誤答: 「電界と磁界が常に逆相で振動する」——同相が正しい。位相が90°ずれるのは近傍界のリアクタンス成分の話で、TEM波の定義とは別物
- 典型的な誤答: 「導波管中を伝搬できる」——中空の管では伝搬できない。伝わるのはTE波(H波)とTM波(E波)である
- 典型的な誤答: 「真空中の固有インピーダンスは約120Ω」——120πΩ、すなわち約377Ωが正しい。πを落とす引っかけが繰り返し出る
- 隣接論点: 120πの導出そのものは電磁界の基礎(/basics/maxwell)、遠方界条件2D²/λの使い方は測定の講座(/basics/measurement)が扱う
第2章 導体中の電磁界と表皮効果 — 電波はどこまで入るか
自由空間では減衰しなかった電磁波も、導体の中へ入ると急速に弱まる。導体の中では電界が自由電子を動かして導電流σEを流し、その電流がジュール熱としてエネルギーを奪うからである。マイクロ波帯の良導体では導電流が変位電流ε∂E/∂tより桁違いに大きく、伝搬というより「しみ込みながら消えていく」振る舞いになる。
導体内部での振幅は、表面からの深さに対して指数関数で減る。減衰の速さを表す減衰定数をα[Np/m]とすると、振幅は e^(−αx) で減っていく。振幅が表面の1/e、つまり約36.8%まで落ちる深さを表皮厚さ(表皮深さ)δと定義する。定義からδ = 1/αであり、表皮厚さと減衰定数は互いに逆数の関係にある。
表皮厚さδと減衰定数α。ω=2πfなので、2つの表し方は同じものである。δはf、μ、σのいずれの平方根にも反比例する。周波数を100倍にすればδは1/10になり、導電率が4倍の材料に替えればδは半分になる。増減の向きを問う出題は、この式の分母に何が入っているかを見るだけで決着する。
表皮厚さの増減関係(式の分母を見れば決まる)
- 周波数fが高いほど、δは薄く(浅く)なる — 分母の平方根の中にfがある
- 導電率σが大きいほど、δは薄く(浅く)なる — 銅よりさらに導電率の高い材料ほど表面に張り付く
- 透磁率μが大きいほど、δは薄く(浅く)なる — 鉄のような強磁性体は同じ周波数でも極端に薄い
- 減衰定数αが小さいほど、δは厚く(深く)なる — δ=1/αなので必ず逆向きに動く
数値で感覚をつかんでおく。銅は導電率σ = 5.8×10⁷ S/m、透磁率は真空とほぼ同じμ₀ = 4π×10⁻⁷ H/mである。1MHzを代入するとδ ≈ 6.6×10⁻⁵ m = 約66µm、つまり0.07mmにも満たない。δはfの平方根に反比例するので、1GHzでは√1000 ≈ 31.6分の1になり、δ ≈ 2.1µmまで下がる。マイクロ波帯では、電流が流れているのは実質的に表面の数µmだけである。
表皮効果の実務上の帰結が高周波抵抗である。半径aの丸い導線でa ≫ δなら、電流が流れているのは外周に沿った厚さδのリングだけとみなせる。実効的な断面積は2πaδなので、高周波抵抗はこの断面積で決まる。δが1/√fで減るということは、高周波抵抗は√fに比例して増えるということである。直流抵抗との比はa/(2δ)になり、太い導線ほど、また周波数が高いほど、直流の値から離れていく。
半径a・長さℓの導線の高周波抵抗と、直流抵抗との比。直流抵抗Rdc = ℓ/(σπa²)は断面全体を使うが、高周波では厚さδの表層だけを使う。断面積がπa²から2πaδへ縮むぶん抵抗が上がる。導体損を減らしたければ、断面積を増やすより表面積を増やすほうが効く(より線・平編組線が使われる理由)。
電流が表面しか流れないという事実は、部品の作り方をそのまま決める。導波管や空洞共振器の内壁に銀めっきを施すのは、銀が銅よりさらに導電率が高く、しかも表層の数µmだけを置き換えれば全体を銀で作ったのと同じ効果が得られるからである。逆に、内壁に傷や酸化があると電流の通り道が実際に長くなって損失が増える。中実の棒と中空のパイプで高周波抵抗がほとんど変わらないのも同じ理由である。
試験での問われ方・識別ポイント・典型的な誤答
- 問われ方: 表皮厚さの一般的な特徴を5つ並べ、誤っているものを1つ選ばせる形式。数値計算ではなく増減の向きだけを問う
- 識別ポイント: δ = 1/√(πfμσ) を思い出し、選択肢の量が分母にあるかどうかで判断する。分母にある量(f・μ・σ)が増えればδは減る
- 典型的な誤答: 「導電率が小さいほど薄くなる」——逆である。導電率が小さいほど電磁界は深く入り、δは厚くなる
- 典型的な誤答: 「減衰定数が大きくなるほど厚くなる」——δ=1/αなので、減衰定数が大きくなればδは薄くなる
- 正しい記述として出る形: 「振幅が表面の1/eに減る深さ」「透磁率が小さいほど厚くなる」「周波数が高くなるほど薄くなる」の3つはそのまま正しい
- 隣接論点: 第3章の電磁遮へい(遮へい材の必要な厚さ)、第6章の空洞共振器のQ(内壁の導体損)は、どちらもこの章の帰結として読める
第3章 電磁遮へい — 静電・磁気・電磁の3つを取り違えない
遮へい(シールド)は一語だが、中身は3つに分かれる。静電界を止める静電遮へい、静磁界を止める磁気遮へい、高周波の電磁波を止める電磁遮へいで、原理も材料も別物である。試験はこの3つを混ぜて出題し、材料と原理の組合せを1か所だけ入れ替えた選択肢を混ぜてくる。まず「何を止めたいのか」で3つを分けて覚えるのが唯一の対策になる。
静電遮へいは静電界を止める。導体で完全に囲まれた領域の内部に電荷が無ければ、その領域内には電界が生じない——導体の表面に誘導された電荷が、外部電界をちょうど打ち消す向きに並ぶからである。これを使うのが静電遮へいで、囲む材料は導体でありさえすればよく、厚さもほとんど要らない。実際には囲んだ導体を接地して電位を固定し、外部の電位変動が容量結合で内部へ回り込むのも同時に断つ。回路の入力段を金属ケースで覆うシールドケースがこれにあたる。
磁気遮へいは主に静磁界(直流や低周波の磁界)を止める。ここで導体は役に立たない。磁力線は導体を素通りするからである。代わりに使うのが透磁率の大きな材料——パーマロイやけい素鋼板など——で、これらで囲むと磁力線は透磁率の大きい材料の中へ集中して通り、内側の空間を通らなくなる。磁力線が「通りやすい道」を選ぶ性質をそのまま利用する方式なので、囲む材料には十分な厚さが要る。ブラウン管や磁気センサの周りをパーマロイで囲むのはこれである。
電磁遮へいは主に高周波の電磁波を止める。原理は第2章の表皮効果と一続きである。電磁波が遮へい材に当たると、材料の中に高周波電流(渦電流)が流れる。この電流が作る電磁界が入射波を打ち消す向きに働き、同時に表皮効果によって電磁界は材料の内部へほとんど入り込めない。したがって遮へい材には導電率の大きな材料——銅やアルミニウムの板——を使う。フッ素樹脂のような絶縁体は電流が流れないので遮へいにならない。
電磁遮へいは板でなくても、網(金網・パンチングメタル)でよい場合がある。ただし条件が付く。網目が大きいと、その隙間そのものがスロットアンテナのように働いて電磁波を通してしまう。したがって網目の大きさは、遮へいしたい電磁波の波長に比べて十分小さくしなければならない。電子レンジの扉に付いている金網が、2.45GHz(λ ≈ 12.2cm)に対して数mmの穴で足りているのはこの条件を満たしているからである。
周波数による使い分け(何を止めたいかで材料が決まる)
- 静電界・低周波の電界: 導体で囲んで接地する。薄い金属箔でも効く。原理は誘導電荷による打ち消し
- 静磁界・商用周波の磁界: 透磁率の大きな材料(パーマロイ、けい素鋼)で囲む。厚みが要る。原理は磁力線の迂回
- 高周波の電磁波: 導電率の大きな材料(銅、アルミニウム)の板または細かい網。原理は高周波電流(渦電流)による打ち消しと表皮効果
- 厚さの目安: 電磁遮へいでは表皮厚さδの数倍あれば実用上十分になる。周波数が高いほどδは薄いので、高周波ほど薄い材料で足りる
試験での問われ方・識別ポイント・典型的な誤答
- 問われ方: 3種の遮へいを1問にまとめ、語群から材料・原理・条件を選ばせる穴埋め形式が定番。1か所でも取り違えると連鎖して落とす
- 識別ポイント: 「静電=導体+接地」「磁気=透磁率の大きな材料」「電磁=導電率の大きな材料+高周波電流」の3対1組で覚え、材料と原理をセットで確認する
- 典型的な誤答: 静電遮へいの説明に「透磁率」を、磁気遮へいの説明に「透過率」を入れる差し替え。透磁率と透過率は別の量である
- 典型的な誤答: 電磁遮へいの主役を「変位電流」とするもの。遮へい材の中を流れて遮へい作用をするのは高周波電流(伝導電流)である
- 典型的な誤答: 網目の大きさを「波長に比べて十分大きく」とするもの。逆で、十分小さくしなければ網がアンテナとして働いてしまう
- 典型的な誤答: 遮へい材にフッ素樹脂などの絶縁体を挙げるもの。電流が流れない材料では電磁遮へいにならない
第4章 導波管の一般モード — TEmn・TMmnと遮断波長
第1章で見たとおり、中空の金属管ではTEM波は存在できない。代わりに現れるのが、進行方向に電界成分を持たないTE波(H波)と、進行方向に磁界成分を持たないTM波(E波)である。どちらも管の壁で「導体表面に平行な電界はゼロ」という境界条件を満たさなければならず、その結果、管の断面に定在波が立つ形の解だけが許される。この解のひとつひとつをモードと呼ぶ。
添字の意味を最初に固定しておく。TEmnのmは広辺a方向に並ぶ半波長の数、nは狭辺b方向に並ぶ半波長の数である。TE₁₀なら広辺方向に半波長が1つ、狭辺方向には変化なし。この数え方さえ決まれば、遮断波長は幾何学だけで書ける。断面のa方向にm個、b方向にn個の半波長を詰め込む条件から、次の一般式が出る。
方形導波管のTEmn・TMmnモードの遮断波長。2つの書き方は同じ式で、試験ではどちらの形でも現れる。m=1・n=0を入れるとλc = 2aとなり、TE₁₀の遮断波長は広辺の2倍という既知の結果に戻る。分母のaとb、mとnを入れ替えた式が誤答として並べられるので、必ず「mは広辺a、nは狭辺b」の対応で検算する。
この式を眺めると、TE₁₀が基本モード(主モード)である理由が読める。遮断波長を長くしたければ分母を小さくしたい。分母を小さくするにはmとnを小さくしたいが、両方0では電磁界が消えてしまうので、どちらか一方だけを1にするのが限界である。そしてa > bなので、1/aを使うm=1・n=0のほうが1/bを使うm=0・n=1より分母が小さい。したがってTE₁₀の遮断波長λc = 2aがすべてのモードの中で最長になり、言い換えれば遮断周波数が最も低い。最も低い周波数から伝わり始めるモードだから、基本モードと呼ぶ。
代表寸法での遮断波長・遮断周波数(a = 22.86mm、b = 10.16mm)
- TE₁₀: λc = 2a = 45.72mm、fc ≈ 6.56GHz — 基本モード。遮断波長が最も長い
- TE₂₀: λc = a = 22.86mm、fc ≈ 13.12GHz — TE₁₀の次に現れる。単一モード帯域の上限を決める
- TE₀₁: λc = 2b = 20.32mm、fc ≈ 14.76GHz — 狭辺方向に半波長が1つ。a > bなのでTE₂₀より高い
- TE₁₁・TM₁₁: λc = 2ab/√(a²+b²) ≈ 18.57mm、fc ≈ 16.16GHz — TMで最も遮断周波数が低いモード
- 単一モード動作の帯域: 6.56GHz < f < 13.12GHz。標準導波管がb ≈ a/2の寸法比を採るのは、この帯域を最も広く取れるからである
TE波とTM波では、許される添字の組合せが違う。TE波はmとnのどちらか一方が0でもよい(ただし両方0は不可)ので、TE₁₀やTE₀₁が存在する。TM波は両方とも1以上でなければ電磁界が消えてしまうため、TM₁₀やTM₀₁は存在せず、最も低いのはTM₁₁である。「TM₀₁がある」とする選択肢は方形導波管では誤りになる。
遮断の使い分けも押さえておく。使用波長λが遮断波長λcより短い(周波数がfcより高い)ときだけ、そのモードは伝搬する。λがλcより長ければ遮断領域で、電磁界は管内を進まず、入口から指数関数的に減衰して消える。「弱くなるが伝わる」のではなく、伝搬しない。伝搬できるモードでは管内波長λgと位相速度vp、群速度vgが次の形になり、群速度は必ず位相速度より遅い。
管内波長・位相速度・群速度。最も遮断波長の長いモード、すなわちTE₁₀ではλc = 2aなので、λg = λ/√(1−(λ/2a)²)となる。λgは必ず自由空間波長λより長く、位相速度はcより速く、群速度はcより遅い。エネルギーが伝わる速さは群速度なので、位相速度がcを超えても相対性理論に反しない。3つの量はλcを介して連動し、周波数によって値が変わる——これがTEM波との決定的な違いで、導波管が分散性の伝送路である理由である。
円形導波管にも同じ考え方が通る。ただし断面が円なので境界条件はベッセル関数で書かれ、遮断波長は円の直径と、対応するベッセル関数の根で決まる。基本モードはTE₁₁で、方形導波管のTE₁₀を丸めたような電界分布になる。TM₀₁は電磁界が軸のまわりで回転対称になるため、管を軸のまわりに回しても特性が変わらず、回転する空中線への給電に使う回転継手に用いられる。TE₀₁は周波数が高くなるほど減衰が小さくなるという珍しい性質を持ち、長距離伝送用として研究された経緯がある。
試験での問われ方・識別ポイント・典型的な誤答
- 問われ方: 一般式λcの形、最も遮断波長の長いモードでの遮断波長と管内波長、群速度と位相速度の大小を1問にまとめた組合せ選択が定番
- 識別ポイント: まずmが広辺a・nが狭辺bに対応することを確認し、m=1・n=0を代入してλc = 2aに戻るかで式の形を検算する
- 典型的な誤答: 一般式の分母でaとbを入れ替えた形(m/2bとn/2a)。TE₁₀を代入すると2bになってしまい、基本モードの既知の結果と矛盾する
- 典型的な誤答: 最も遮断波長の長いモードの遮断波長を2bとするもの。a > bなので2aが正しい
- 典型的な誤答: 管内波長の分母をλ/(2b)で書くもの。最長遮断波長のモードはTE₁₀なので、λc = 2aを使う
- 典型的な誤答: 「群速度は位相速度より速い」——逆である。vp·vg = c²で、位相速度がcより速いぶん群速度はcより遅い
- 典型的な誤答: 「方形導波管にはTM₀₁モードがある」——TM波はm・nがともに1以上でなければ存在しない
第5章 分岐・結合素子 — T分岐からマジックT・方向性結合器へ
導波管を分岐させたり、2本を隣り合わせて一部の電力だけ取り出したりする部品を、マイクロ波回路素子と呼ぶ。ここから先は「管の中の電界と磁界がどう並んでいるか」を思い浮かべられるかどうかで難易度が変わる。TE₁₀モードでは、電界が狭辺と平行に立ち、広辺の中央で最大・両側の側壁でゼロになる。磁界は広辺と平行な面の中で輪を描く。この絵を基準に、分岐面をどちらへ切るかで性質が変わる。
E面T分岐は、電界を含む面の中で枝が分かれる形である。等価回路で書くと直列接続になるので直列分岐とも呼ぶ。側管(分岐した枝)から電力を入れると、左右の主管へ等しい大きさで出るが、位相は互いに逆になる。H面T分岐は磁界を含む面の中で枝が分かれる形で、等価回路は並列接続になるため並列分岐と呼ぶ。側管から入れた電力は左右の主管へ等しい大きさ・同じ位相で出る。逆位相か同位相かがE面とH面を見分ける決め手である。
この2つを同じ位置に直交させて組み合わせたものがマジックT(ハイブリッドT)である。開口は4つあり、一直線に並ぶ2本の主管の口が2つ、それに直交するE面分岐の口とH面分岐の口が1つずつ。マジックと呼ばれるのは、4つの口の間に次の性質が同時に成り立つからである。
マジックTの4つの性質(整合がとれているとき)
- E面分岐の口から入れた電力は、2本の主管の口へ等分され、その2つは互いに逆位相になる
- H面分岐の口から入れた電力は、2本の主管の口へ等分され、その2つは互いに同位相になる
- E面分岐の口とH面分岐の口は互いに絶縁(アイソレーション)されており、一方から入れた電力は他方へ出ない
- 2本の主管の口どうしも互いに絶縁されており、片方から入れた電力はもう片方へ出ず、E面分岐とH面分岐へ等分される
H面分岐の口を和の口、E面分岐の口を差の口と呼ぶ理由もここにある。2本の主管へ大きさの等しい波を入れると、それらが同位相ならH面分岐の口に出て(和)、逆位相ならE面分岐の口に出る(差)。この和差の性質が、平衡変調器、周波数混合、インピーダンス測定のブリッジ、レーダのモノパルス測角といった用途を生む。試験では、開口に1から4の番号を振った図が示され、番号ごとの出力の有無と位相を判定させる。番号は問題ごとに違うので、番号を覚えるのではなく「どの口がE面分岐か」を図から読み取ってから、上の4性質を当てはめる。
方向性結合器は、主導波管を一方向に進む波の一部だけを、副導波管の決まった一方向へ取り出す素子である。送信電力の監視、反射電力の測定、標準信号の分配など、マイクロ波の測定系の中核を担う。性能は2つの量で表す。取り出す割合を表す結合度と、逆向きの波をどれだけ拒めるかを表す方向性である。
結合度Cと方向性D。P₁は主導波管への入力、P₃は副導波管の順方向側に取り出される電力、P₄は副導波管の逆方向側に漏れる電力である。Cは「何dB落として取り出すか」なので20dB結合なら1/100を取り出す。Dは大きいほど良い素子で、30dB以上が目安。両者を足したI = C + Dがアイソレーションになる。CとDのどちらが大きいほど良いかを取り違える出題がある。
方向性がどこから出てくるかを、2孔形で見るとわかりやすい。主管と副管の共通壁に、管内波長の1/4だけ離して2つの結合孔を開ける。副管の順方向側では、手前の孔を通った波と奥の孔を通った波の道のりが等しくなるので同位相で加わり、電力が取り出される。逆方向側では、奥の孔を通る波が主管側で1/4波長、副管側でさらに1/4波長を余分に進むため半波長ぶんの差ができ、互いに打ち消し合う。「行きは足し算、帰りは引き算」を距離で作るのが方向性の正体である。
ベーテ孔形は、これを1個の孔で実現する形式である。主導波管と副導波管を広壁どうしで重ね、交差角θを付けたうえで共通壁に孔を1つ開ける。この孔では2種類の結合が同時に起きる。孔を垂直に貫く電界による電界結合と、孔の面内にある磁界による磁界結合である。電界結合で生じた波は副管内を両方向へ対称に進み、大きさは交差角θによらない。磁界結合で生じた波は進む向きによって符号が反転し、大きさは磁界の向きの投影で決まるためθに依存する。そこでθを適切な値にすると、一方向では2つの結合が打ち消し合い、他方向では加わり合う——これで方向性が生まれる。
最後に非可逆素子を押さえる。フェライトは高い抵抗率を持つ磁性材料で、直流磁界を加えた状態では、電波の進む向きによって振る舞いが変わる。この性質から作られるのがアイソレータとサーキュレータである。アイソレータは2端子で、順方向は低損失で通し、逆方向には大きな減衰を与える。送信機とアンテナの間に入れておけば、負荷側の不整合で生じた反射波が送信機へ戻るのを防ぎ、発振周波数の引き込みや出力段の破損を避けられる。
サーキュレータは3端子以上を持ち、①から入れた電力は②へ、②から入れた電力は③へ、③から入れた電力は①へ——というように、決まった一方向の順番でだけ電力を渡す。送受信で同じアンテナを使う装置では、送信機を①、アンテナを②、受信機を③につなぐと、送信電力はアンテナへ行き受信機へは回らず、アンテナが受けた信号は受信機へ入り送信機へは戻らない。1本のアンテナで送信と受信を分ける役目を、機械式の切替器なしで果たせる。
試験での問われ方・識別ポイント・典型的な誤答
- 問われ方: マジックTと方向性結合器はどちらも構造図つきで出題され、記述5つから誤りを1つ(または正しいものを1つ)選ばせる形式が定番
- 識別ポイント(マジックT): 図の中でどの口がE面分岐かを先に決める。E面分岐からの出力は逆位相、H面分岐からの出力は同位相、この2つが混同の中心である
- 典型的な誤答: 「H面分岐の口から入れた電力は左右へ逆位相で出る」——同位相が正しい。E面分岐の性質と入れ替えた選択肢
- 識別ポイント(ベーテ孔形): 重ねるのは広壁、すなわちH面である。E面を重ね合わせるとする選択肢は誤り
- 典型的な誤答: 電界結合と磁界結合の役割を入れ替えたもの。副管内を両方向へ対称に進むのは電界結合で、θに依存して向きの符号が変わるのは磁界結合である
- 典型的な誤答: 「磁界結合の大きさはθに無関係」「電界結合の大きさはcosθにほぼ比例する」——依存関係が逆で、どちらも誤り
- 識別ポイント(非可逆素子): アイソレータは向きによる減衰差、サーキュレータは端子を巡る一方通行。どちらもフェライトと直流磁界が前提である
第6章 共振器・終端・減衰器 — 管を閉じる/終わらせる/絞る
最後に、導波管の端をどう扱うかで決まる3種類の部品を並べる。両端を塞いで閉じ込めれば共振器、反射させずに全部吸わせれば無反射終端、途中で狙った量だけ減らせば減衰器である。どれも第2章の表皮効果と第4章のモードの話がそのまま効いてくる。
空洞共振器は、導波管の一部を両端で短絡し、内部に定在波を閉じ込めた構造である。集中定数のLC共振回路のマイクロ波版にあたり、共振周波数は空洞の寸法だけで決まる。モードには3つの添字が付き、たとえばTE₁₀₁は断面のTE₁₀分布のまま管軸方向に半波長が1つ入った状態を指す。寸法が波長を決めるので、可動短絡板で長さを変えれば周波数を調整できる。
共振の鋭さを表すQ。共振周波数f₀を、電力が半分になる帯域幅B(半値幅)で割った値に等しい。空洞共振器のQは10⁴のオーダーに達し、集中定数のLC共振回路(せいぜい10²程度)を桁で上回る。理由は2つで、放射損失が閉じた空洞の外へ出ないことと、損失が内壁の導体損だけに絞られることである。
Qが高くなる仕組みは第2章と直結している。損失の主役が内壁の導体損である以上、内壁の導電率を上げればQは上がる。しかし電流が流れているのは表皮厚さぶんの表層だけなので、空洞全体を高価な金属で作る必要はなく、内壁に銀めっきを施せば足りる。内壁に傷や酸化があるとQが落ちるのも、電流の通り道が実際に伸びるからである。なお、外部回路と結合させると、そこからエネルギーが持ち出されるぶんQは下がる。結合のない状態の無負荷Qと、負荷をつないだ状態の負荷Qは区別して扱う。
無反射終端(整合終端)は、導波管を進んできた電力を反射なしに吸収して終わらせる部品である。電波を吸収する材料をただ詰めるだけでは、材料の入口でインピーダンスが急変して反射が起きてしまう。そこで、抵抗材やフェライトをくさび形(テーパ状)に成形し、管軸に沿って徐々に厚くなるように入れる。断面の変化を緩やかにすることで反射を抑え、VSWRを1に近づける。方向性結合器の使わない側の口や、電力計の擬似負荷(ダミーロード)として使う。
減衰器は2系統ある。1つは抵抗板形(吸収形)の可変減衰器で、抵抗皮膜を塗った板を管内へ差し込む。TE₁₀モードの電界は広辺の中央で最大、両側の側壁でゼロなので、板を中央へ寄せるほど電界の強いところで電流が流れて損失が大きくなり、側壁側へ寄せるほど減衰は小さくなる。差し込む位置と深さで連続的に減衰量を変えられるが、量そのものは校正しないと正確にわからない。
もう1つが遮断形(カットオフ形)減衰器である。使用周波数に対して遮断領域にある導波管(通常は円形)を意図的に使い、その中で指数関数的に減衰する電磁界を、長さを変えて取り出す。減衰量を決めるのは管の寸法と挿入長という幾何学的な量と、減衰定数αであり、材料の抵抗値には依存しない。
遮断領域(f<fc)での減衰定数αと、挿入長l[m]に対する減衰量A。kは自由空間の位相定数2π/λ、kcは遮断波長λcで決まる2π/λcである。αはfを含むので周波数に依存し、fをfcへ近づけるとαは0へ向かって減衰が急に浅くなる。逆にf≪fcまで深く入るとα≒2π/λcに落ち着き、周波数が多少動いても減衰量がほとんど変わらない領域になる。
したがって「周波数に依存しない減衰器」と丸暗記すると誤る。正しくは、所定の使用周波数で、かつ十分深い遮断領域(f≪fc)で使うかぎり、減衰量を寸法と挿入長から再現性よく定められる、という条件付きの性質である。この条件のもとでは計算値をそのまま信頼できるので、標準減衰器として測定の基準に使われる。第4章の「遮断領域では伝搬しない」という性質を、欠点ではなく道具として使っている例である。
最後に導波管窓(アイリス)にも触れておく。管内に金属板を張り出させると、その位置に集中定数のリアクタンスがぶら下がったのと同じ効果が生まれ、不整合を打ち消す整合素子として使える。側壁(狭壁)から張り出す窓は誘導性窓と呼ばれ、並列インダクタンスとして働く。広壁から張り出す窓は容量性窓と呼ばれ、並列キャパシタンスとして働く。両方を組み合わせた共振窓は、共振周波数で並列共振して帯域フィルタの役目を果たす。どちらの壁から出ているかで性質が決まる点だけ、確実に覚えておきたい。
試験での問われ方・識別ポイント・典型的な誤答
- 問われ方: 空洞共振器のQ、終端・減衰器・窓の性質を並べて誤りを選ばせる形式。構造と原理の対応が問われ、計算はほとんど出ない
- 識別ポイント: 「閉じる=共振器」「終わらせる=無反射終端」「絞る=減衰器」「整合をとる=窓」と、目的で4つに仕分けてから細部を思い出す
- 典型的な誤答: 「空洞共振器のQはLC共振回路より低い」——桁で高いのが正しい。放射損が無く、損失が内壁の導体損に絞られるためである
- 典型的な誤答: 無反射終端の吸収体を「管の断面と同じ形に切って詰める」とするもの。急に断面が変わると反射するので、くさび形にテーパを付ける
- 典型的な誤答: 抵抗板形減衰器で「側壁に寄せるほど減衰が大きい」とするもの。TE₁₀の電界は側壁でゼロなので、中央へ寄せるほど減衰が大きい
- 典型的な誤答: 誘導性窓と容量性窓の入れ替え。側壁から張り出せば誘導性、広壁から張り出せば容量性である
本試験での問われ方
以下は公益財団法人日本無線協会が公表した本試験問題です(英語の科目を除き、国家試験の受験など試験制度の意義に反しない範囲での利用は許諾を求める必要がないと公表されています)。原文は改変せずそのまま掲載し、独自の要約と「この講座で学べる範囲」を添えています。
令和6年1月期 一陸技「無線工学B」(FB601) A-8(本試験問題)
この講座が土台を作る範囲同軸で常用する伝送のかたち、円形導波管のある特殊モードで周波数を上げたときの減衰の向き、方形導波管で単一モードに保てる波長の上限という3点を組合せで答えさせる問題。
A-8 次の記述は、同軸線路と導波管の伝送モードについて述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 (1) 同軸線路は、通常、[ A ]モードで用いられ、広帯域で良好な伝送特性を示す。 (2) 円形導波管の TE01 モードは、周波数が高くなるほど減衰定数の値が[ B ]なる性質があるが、導波管の曲った所で他のモードが発生し、伝送損の増加や伝送波形にひずみを生ずることがある。 (3) 方形導波管は、通常、TE10 モードのみを伝送するため、a = 2b に選び、a <λ<[ C ]を満足する波長範囲で用いる。ただし、導波管の断面内壁の長辺を a〔m〕、短辺を b〔m〕、波長を λ〔m〕とする。 A B C 1 TE 小さく 2a 2 TE 大きく 2a 3 TE 小さく 3a 4 TEM 小さく 2a 5 TEM 大きく 3a
出典: 令和6年1月期 一陸技「無線工学B」(FB601) A-8(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - この講座で学べる範囲
- 導波管の伝送モード、TEM波、同軸線路、減衰定数、遮断波長・遮断周波数
令和6年1月期 一陸技「無線工学B」(FB601) A-9(本試験問題)
この講座が土台を作る範囲2本の導波管を角度をつけて重ね、結合孔で結合させる素子について、2種類の結合が副導波管内をどちら向きに進むか、交差角がどちらの結合の大きさを左右するかを問い、誤りを選ばせる問題。
A-9 次の記述は、図に示す主導波管と副導波管を交差角 θ を持たせて重ね合わせて結合孔を設けたベーテ孔方向性結合器について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。ただし、導波管内の伝送モードは、TE10 とし、θ は 90 度より小さいものとする。 〔図省略〕 1 主導波管と副導波管は、H 面を重ね合わせる。 2 電界結合した電磁波が副導波管内を対称に両方向に進み、また、磁界結合した電磁波が副導波管を一方向に進む性質を利用する。 3 θ をある一定値にすることで、磁界結合して左右に進む一方の電磁波を電界結合した電磁波で打ち消すと同時に他方向の電磁波に相加わるようにする。 4 磁界結合した電磁波の大きさは、cosθ にほぼ比例して変わる。 5 電界結合した電磁波の大きさは、θ に無関係である。
出典: 令和6年1月期 一陸技「無線工学B」(FB601) A-9(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - この講座で学べる範囲
- 方向性結合器、導波管の伝送モード
令和6年7月期 一陸技「無線工学B」(FB607) A-8(本試験問題)
同じ問われ方まで練習できる範囲管の中へ差し込む金属片やねじについて、等価回路で線路へどうつながる素子とみなすか、差し込む辺の向きによって誘導性と容量性のどちらになるか、ねじが向きを変える長さの境目を組合せで答えさせる問題。
A-8 次の記述は、図1、図2及び図3に示す TE10 波が伝搬している方形導波管の管内に挿入されたリアクタンス素子について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、導波管の内壁の短辺と長辺の比は 1 対 2 とし、管内波長を λg〔m〕とする。 (1) 導波管の管内に挿入された薄い金属片又は金属棒は、平行二線式給電線にリアクタンス素子を [ A ] に接続したときのリアクタンス素子と等価な働きをするので、整合をとるときに用いられる。 (2) 図1に示すように、導波管内壁の短辺の左右両側又は片側に管軸と直角に挿入された薄い金属片は、[ B ] の働きをする。 (3) 図2に示すように、導波管内壁の長辺の上下両側又は片側に管軸と直角に挿入された薄い金属片は、[ C ] の働きをする。 (4) 図3に示すように、導波管に細い金属棒(ねじ)が電界と平行に挿入されたとき、金属棒の挿入長 l〔m〕が [ D ]〔m〕より長いとインダクタンスとして働き、短いとキャパシタンスとして働く。 〔図省略〕 A B C D 1 直列 インダクタンス キャパシタンス λg/2 2 並列 キャパシタンス インダクタンス λg/2 3 並列 キャパシタンス インダクタンス λg/4 4 並列 インダクタンス キャパシタンス λg/4 5 直列 キャパシタンス インダクタンス λg/4
出典: 令和6年7月期 一陸技「無線工学B」(FB607) A-8(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - この講座で学べる範囲
- 導波管内のリアクタンス素子(アイリス・ねじ)、導波管の伝送モード、管内波長、インピーダンス整合
令和6年7月期 一陸技「無線工学B」(FB607) B-2(本試験問題)
この講座が土台を作る範囲2本の導波管を角度をつけて重ねた結合器について、重ね合わせる面、2種類の結合が副導波管内をどちら向きに進むか、交差角がどちらの結合の大きさを左右するかを、記述ごとに正誤で答えさせる問題。
B-2 次の記述は、図に示す主導波管と副導波管を交差角 θ を持たせて重ね合わせて結合孔を設けたベーテ孔方向性結合器について述べたものである。このうち正しいものを1、誤っているものを2 として解答せよ。ただし、導波管内の伝送モードは、TE10 とし、θ は 90 度より小さいものとする。 〔図省略〕 ア 主導波管と副導波管は、E 面を重ね合わせる。 イ 電界結合した電磁波が副導波管内を一方向に進み、また、磁界結合した電磁波が副導波管内を対称に両方向に進む性質を利用する。 ウ θ をある一定値にすることで、電界結合して左右に進む一方の電磁波を磁界結合した電磁波で打ち消すと同時に他方向の電磁波に相加わるようにする。 エ 電界結合した電磁波の大きさは、θ に無関係である。 オ 磁界結合した電磁波の大きさは、θ に無関係である。
出典: 令和6年7月期 一陸技「無線工学B」(FB607) B-2(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - 対応する記述
- ア〜オの5記述のうち5記述
- この講座で学べる範囲
- 方向性結合器、導波管の伝送モード
令和6年7月期 一陸技「無線工学B」(FB607) B-5(本試験問題)
この講座が土台を作る範囲3種類の遮へいについて、導体で囲まれた中に何が存在しないことを使うのか、磁力線を集める材料の性質、高周波で遮へいの働きをする流れ、遮へい材の金属、網目に求める大きさを語群から選ばせる問題。
B-5 次の記述は、電界や磁界などの遮へい(シールド)について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句を下の番号から選べ。 (1) 静電遮へいは、静電界を遮へいすることであり、導体によって完全に囲まれた領域内に電荷がなければ、その領域内には [ ア ] が存在しないことを用いている。 (2) 磁気遮へいは、主として静磁界を遮へいすることであり、[ イ ] の大きな材料の中を磁力線が集中して通り、その材料で囲まれた領域内では、外部からの磁界の影響が小さくなることを用いている。 (3) 電磁遮へいは、主として高周波の電磁波を遮へいすることであり、電磁波により遮へい材料に流れる [ ウ ] が遮へいの作用をする。遮へい材は、銅や [ エ ] などの板や網などであり、網の場合には、網目の大きさによっては、網がアンテナの働きをするので、その大きさを波長に比べて十分 [ オ ] しなければならない。 1 電界 2 透磁率 3 変位電流 4 アルミニウム 5 大きく 6 磁界 7 透過率 8 高周波電流 9 フッ素樹脂 10 小さく
出典: 令和6年7月期 一陸技「無線工学B」(FB607) B-5(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - 対応する記述
- ア〜オの5記述のうち5記述
- この講座で学べる範囲
- 静電遮へい、磁気遮へい、透磁率、高周波電流、導電率
令和7年1月期 一陸技「無線工学B」(FB701) B-2(本試験問題)
この講座が土台を作る範囲進む向きに電界と磁界の成分があるかどうか、それらの振動の位相関係、方形の管の中を伝われるか、真空での電界と磁界の比、そして進む速さを光と比べた結果を語群から選ばせる問題。
B-2 次の記述は、TEM 波について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句を下の番号から選べ。 (1) 電磁波の伝搬方向に電界及び磁界成分を [ ア ] 横波である。 (2) 電磁波の伝搬方向に直角な平面内では、電界と磁界が常に [ イ ] で振動する。 (3) 導波管中を伝搬 [ ウ ]。 (4) 真空の固有インピーダンスは、約 [ エ ]〔Ω〕である。 (5) 位相速度は、光の速度と [ オ ]。 1 異なる 2 逆相 3 120π 4 持たない 5 できる 6 等しい 7 同相 8 90π 9 できない 10 持つ
出典: 令和7年1月期 一陸技「無線工学B」(FB701) B-2(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - 対応する記述
- ア〜オの5記述のうち5記述
- この講座で学べる範囲
- TEM波、平面波、導波管の伝送モード、固有インピーダンス、位相速度
令和7年7月期 一陸技「無線工学B」(FB707) A-7(本試験問題)
この講座が土台を作る範囲中空の管について、モード番号と2辺の寸法で書いた遮断波長の一般形、最も低次のモードでの遮断波長、自由空間波長から伸びる管内波長、そして管内を進むエネルギーの速さと位相の速さの大小を組合せで答えさせる問題。幅と高さのどちらが分母に来るかが分かれ目になる。
A-7 次の記述は、図に示す方形導波管について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、自由空間波長を λ〔m〕とする。 (1) TE mn モードの遮断波長は、[ A ]〔m〕である。 (2) TE10 モードにおける遮断波長は、[ B ]〔m〕、管内波長は、[ C ]〔m〕である。 (3) 管内を伝搬する電波の群速度は、位相速度より [ D ]。 〔図省略〕 A B C D 1 1/√((m/(2a))² + (n/(2b))²) 2a λ/√(1 - (λ/(2a))²) 遅い 2 1/√((m/(2a))² + (n/(2b))²) 2b λ/√(1 - (λ/(2a))²) 速い 3 1/√((m/(2a))² + (n/(2b))²) 2a λ/√(1 - (λ/(2b))²) 速い 4 1/√((n/(2a))² + (m/(2b))²) 2b λ/√(1 - (λ/(2b))²) 速い 5 1/√((n/(2a))² + (m/(2b))²) 2b λ/√(1 - (λ/(2a))²) 遅い
出典: 令和7年7月期 一陸技「無線工学B」(FB707) A-7(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - この講座で学べる範囲
- 遮断波長・遮断周波数、導波管の伝送モード、管内波長、群速度、位相速度
令和7年7月期 一陸技「無線工学B」(FB707) B-2(本試験問題)
この講座が土台を作る範囲進む向きに電界と磁界の成分を持たない波について、振動の位相関係、中空の管の中を伝われるか、2本の導体で挟まれた線路を伝われるか、真空での電界と磁界の比を、記述ごとに正誤で答えさせる問題。
B-2 次の記述は、TEM 波について述べたものである。このうち正しいものを 1、誤っているものを 2 として解答せよ。 ア 電磁波の伝搬方向に電界及び磁界成分が存在しない横波である。 イ 電磁波の伝搬方向に直角な平面内では、電界と磁界が常に同相で振動する。 ウ 導波管中を伝搬できない。 エ 平行二線式給電線を伝搬できない。 オ 真空の固有インピーダンスは、約 120π〔Ω〕である。
出典: 令和7年7月期 一陸技「無線工学B」(FB707) B-2(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - 対応する記述
- ア〜オの5記述のうち5記述
- この講座で学べる範囲
- TEM波、平面波、導波管の伝送モード、給電線・伝送線路、固有インピーダンス
令和8年1月期 一陸技「無線工学B」(FB801) A-9(本試験問題)
同じ問われ方まで練習できる範囲電波が導体の内部へどれだけ入り込むかを表す量について、周波数・導電率・透磁率・減衰定数との増減関係を5つ並べ、誤りを1つ選ばせる問題。
A-9 次の記述は、有限な導電率の導体中へ平面波が浸透する深さを表す表皮厚さ(深さ)の一般的な特徴について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。ただし、平面波はマイクロ波(SHF)帯とし、e は自然対数の底で、e = 2.718 とする。 1 導体内の電界、磁界及び電流の振幅が導体表面の振幅の 1/e に減少する導体表面からの距離をいう。 2 導体の透磁率が小さいほど、厚く(深く)なる。 3 導体の導電率が小さいほど、薄く(浅く)なる。 4 導体内の減衰定数が小さくなるほど、厚く(深く)なる。 5 周波数が高くなるほど、薄く(浅く)なる。
出典: 令和8年1月期 一陸技「無線工学B」(FB801) A-9(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - この講座で学べる範囲
- 表皮厚さ(表皮深さ)、導電率、透磁率、減衰定数
令和8年1月期 一陸技「無線工学B」(FB801) B-2(本試験問題)
同じ問われ方まで練習できる範囲進行方向に電界も磁界も持たない波について、成分の有無、電界と磁界の位相関係、伝わる線路の種類、真空中の固有インピーダンスを個別に正誤判定させる問題。
B-2 次の記述は、TEM波について述べたものである。このうち正しいものを1、誤っているものを2 として解答せよ。 ア 電磁波の伝搬方向に電界及び磁界成分が存在しない横波である。 イ 電磁波の伝搬方向に直角な平面内では、電界と磁界が常に逆相で振動する。 ウ 導波管中を伝搬できる。 エ 平行二線式給電線を伝搬できる。 オ 真空中を伝搬する場合の固有インピーダンスは、約120〔Ω〕である。
出典: 令和8年1月期 一陸技「無線工学B」(FB801) B-2(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - 対応する記述
- ア〜オの5記述のうち5記述
- この講座で学べる範囲
- TEM波、導波管の伝送モード、給電線・伝送線路、固有インピーダンス
令和8年1月期 一陸技「無線工学B」(FB801) B-5(本試験問題)
同じ問われ方まで練習できる範囲静電・静磁・高周波の3種類の遮へいについて、それぞれ何を打ち消しているのか、どんな材料が要るのか、網目の大きさをどう決めるのかを語群から選ばせる問題。
B-5 次の記述は、電界や磁界などの遮へい(シールド)について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句を下の番号から選べ。 (1) 静電遮へいは、静電界を遮へいすることであり、導体によって完全に囲まれた領域内に電荷がなければ、その領域内には[ ア ]が存在しないことを用いている。 (2) 磁気遮へいは、主として静磁界を遮へいすることであり、[ イ ]の大きな材料の中を磁力線が集中して通り、その材料で囲まれた領域内では、外部からの磁界の影響が小さくなることを用いている。 (3) 電磁遮へいは、主として高周波の電磁波を遮へいすることであり、電磁波により遮へい材料に流れる[ ウ ]が遮へいの作用をする。遮へい材は、銅や[ エ ]などの板や網などであり、網の場合には、網目の大きさによっては、網がアンテナの働きをするので、その大きさを波長に比べて十分[ オ ]しなければならない。 1 磁界 2 透過率 3 変位電流 4 アルミニウム 5 小さく 6 電界 7 透磁率 8 高周波電流 9 フッ素樹脂 10 大きく
出典: 令和8年1月期 一陸技「無線工学B」(FB801) B-5(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - 対応する記述
- ア〜オの5記述のうち5記述
- この講座で学べる範囲
- 静電遮へい、磁気遮へい、透磁率、高周波電流
令和8年7月期 一陸技「無線工学B」(FB807) A-7(本試験問題)
この講座が土台を作る範囲E分岐とH分岐を組み合わせた4開口の導波管回路について、図の開口番号ごとにどこへ出力が現れ、その位相がどうなるかを判定させる問題。
A-7 次の記述は、図に示すマジックTの基本的な動作について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。ただし、マジックTの各開口は整合がとれているものとし、また、導波管内の伝送モードは TE10 とする。 〔図省略〕 1 マジックTは、E分岐とH分岐を組み合わせた構造になっている。 2 開口1からの入力は、開口2には出力されない。 3 開口1からの入力は、開口3と 4へ出力され、このときの開口3と4の出力は逆相である。 4 開口2からの入力は、開口1には出力されない。 5 開口2からの入力は、開口3と 4へ出力され、このときの開口3と4の出力は逆相である。
出典: 令和8年7月期 一陸技「無線工学B」(FB807) A-7(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - この講座で学べる範囲
- マジックT、導波管の伝送モード
令和8年7月期 一陸技「無線工学B」(FB807) A-8(本試験問題)
同じ問われ方まで練習できる範囲2本の導波管を角度をつけて重ね、結合孔で結合させる素子について、電界結合と磁界結合の進む向きと交差角の効き方から正しい記述を選ばせる問題。
A-8 次の記述は、図に示す主導波管と副導波管を交差角 θ を持たせて重ね合わせて結合孔を設けたベーテ孔方向性結合器について述べたものである。このうち正しいものを下の番号から選べ。ただし、導波管内の伝送モードは TE10 とし、θ は 90 度より小さいものとする。 〔図省略〕 1 主導波管と副導波管は、E面を重ね合わせる。 2 磁界結合した電磁波の大きさは、θ に無関係である。 3 磁界結合した電磁波が副導波管内を対称に両方向に進み、また、電界結合した電磁波が副導波管を一方向に進む性質を利用する。 4 電界結合した電磁波の大きさは、cosθ にほぼ比例して変わる。 5 θ をある一定値にすることで、電界結合して左右に進む一方の電磁波を磁界結合した電磁波で打ち消すと同時に他方向の電磁波に相加わるようにする。
出典: 令和8年7月期 一陸技「無線工学B」(FB807) A-8(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - この講座で学べる範囲
- 方向性結合器、導波管の伝送モード
令和8年7月期 一陸技「無線工学B」(FB807) A-10(本試験問題)
この講座が土台を作る範囲方形導波管の一般モードの遮断波長の式、最も長い遮断波長を持つモードでの管内波長、群速度と位相速度の大小をまとめて選ばせる問題。
A-10 次の記述は、図に示す方形導波管について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、自由空間波長を λ〔m〕とする。 (1) TEmn モードの遮断波長は、[ A ]〔m〕である。 (2) 最も遮断波長の長いモードにおける遮断波長は、[ B ]〔m〕、管内波長は、[ C ]〔m〕である。 (3) 管内を伝搬する電波の群速度は、位相速度より[ D ]。 〔図省略〕 A B C D 1 1/√((m/(2a))² + (n/(2b))²) 2a λ/√(1 - (λ/(2b))²) 速い 2 1/√((m/(2a))² + (n/(2b))²) 2b λ/√(1 - (λ/(2a))²) 速い 3 1/√((m/(2a))² + (n/(2b))²) 2a λ/√(1 - (λ/(2a))²) 遅い 4 1/√((n/(2a))² + (m/(2b))²) 2b λ/√(1 - (λ/(2b))²) 速い 5 1/√((n/(2a))² + (m/(2b))²) 2b λ/√(1 - (λ/(2a))²) 遅い
出典: 令和8年7月期 一陸技「無線工学B」(FB807) A-10(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - この講座で学べる範囲
- 遮断波長・遮断周波数、管内波長、群速度、位相速度
令和8年7月期 一陸技「無線工学B」(FB807) B-3(本試験問題)
同じ問われ方まで練習できる範囲誘電体基板の上に細い導体を載せた平面線路について、平衡・不平衡の別、放射損を抑える基板の選び方、寸法比と特性インピーダンスの関係、伝送モードを語群から選ばせる問題。
B-3 次の記述は、図に示すマイクロストリップ線路について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句を下の番号から選べ。 (1) 接地導体基板の上にアルミナやフッ素樹脂などの厚さの薄い誘電体基板を密着させ、その上に幅が狭く厚さの極めて薄いストリップ導体を密着させた[ ア ]の線路である。 (2) 本線路は、開放線路の一種であり、外部雑音の影響や放射損がある。放射損を少なくするために、比誘電率[ イ ]誘電体基板を用いる。 (3) 特性インピーダンスは、ストリップ導体の幅を w、誘電体基板の厚さを d、誘電体基板の比誘電率を εr とすると、[ ウ ]が小さいほど、また εr が小さいほど、[ エ ]なる。 (4) 伝送モードは、通常、ほぼ[ オ ]モードとして扱うことができる。 〔図省略〕 1 不平衡形 2 の大きい 3 TE11 4 d / w 5 大きく 6 平衡形 7 の小さい 8 TEM 9 w / d 10 小さく
出典: 令和8年7月期 一陸技「無線工学B」(FB807) B-3(本試験問題) / 著作権: 公益財団法人日本無線協会 - 対応する記述
- ア〜オの5記述のうち1記述
- この講座で学べる範囲
- TEM波
E/H = 120π がどこから出てくるのか、平面波がなぜ現れるのかはマクスウェルの方程式 徹底解説が扱っています。この講座はその結論を出発点として使います。
遮断周波数と管内波長を、自分で動かして確かめる
第4章の一般式は TE₁₀ をモード次数の側へ広げたもの。広辺と周波数を動かすと、遮断周波数・管内波長・位相速度と群速度がどう連動するか、そして遮断域で計算が成立しなくなる境目がそのまま見える。