一陸技|無線工学B|過去問
令和5年1月期 第2回 A-14
要点(wavelane の要約): 衛星回線の受信レベルの揺らぎを、固定・海事・航空・陸上移動の各業務ごとに5つ並べ、低い大気で起こる短周期の揺らぎの周期を電離圏で起こるものと比べた大小を逆に述べた記述を選ばせる問題。偏波面の回転による干渉、海面反射、遮へいも並ぶ。
原文(公式問題文)
A-14 次の記述は、通常用いられている周波数における衛星通信の伝搬変動について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。 1 固定衛星通信の対流圏におけるシンチレーションは、低仰角の場合は変動幅が大きく、また、その周期は電離圏シンチレーションの周期に比べると短い。 2 4GHz 帯及び 6GHz 帯の固定衛星通信において、直線偏波で直交偏波共用通信を行う場合、電離圏でのファラデー回転による偏波の回転が原因で、両偏波間に許容限度以上の干渉を生じさせるおそれがある。 3 海事衛星通信において、船舶に搭載する小型アンテナでは、ビーム幅が広くなり、直接波の他に海面反射波をメインビームで受信することがあるため、フェージングの影響が大きい。 4 航空衛星通信において、航空機の飛行高度が高くなるにつれて海面反射波が球面拡散で小さくなり、フェージングの深さも小さくなる。 5 陸上移動体衛星通信における伝搬変動の原因には、ビルディングやトンネルなどによる遮へい、樹木による減衰及びビルディングの反射などによるフェージングなどがある。
出典: 令和5年1月期 第2回 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB502)A-14(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
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正答: 1
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wavelane の解説(公式の解説ではありません)
対流圏シンチレーションは低仰角で大きくなるが、その周期は電離圏シンチレーションより長い。選択肢1は周期の長短を逆にしている。偏波の回転、海面反射、遮へいの記述は正しい。
選択肢 1◎ これが答え
誤り。低仰角で変動が大きいのは正しいが、対流圏の屈折率のゆらぎによる変動は、電離圏の電子密度のゆらぎによる変動よりゆっくりで、周期は長い。短いとした点が誤りである。
選択肢 2— 答えではない
正しい。低いマイクロ波帯では電離圏を通るときの偏波面の回転が無視できず、直線偏波で直交する2つの偏波を共用すると、互いへの漏れ込みが許容値を超えることがある。
選択肢 3— 答えではない
正しい。船の小型アンテナはビームが広いので、海面で反射した波も主ビームの中に入り、直接波と干渉してフェージングが深くなる。
選択肢 4— 答えではない
正しい。機体が高くなると海面で反射してから届くまでの距離が延び、球面状に広がる分だけ反射波が弱まるので、フェージングも浅くなる。
選択肢 5— 答えではない
正しい。陸上の移動体では建物やトンネルによる遮へい、樹木による減衰、建物での反射による多重波が変動の主な原因である。
正答は選択肢 1 である。
つまずきやすい点
- ファラデー回転は周波数の2乗に反比例するので、4・6 GHz 帯のような低いマイクロ波帯ほど効く。高い周波数ほど効くと覚えない。
- 海面反射の影響は、アンテナのビームが広いほど、反射点までの経路が短いほど大きい。
理由から確かめる
- 伝搬の特論交差偏波識別度・大地反射・地上・衛星間回線・シンチレーション
- マクスウェルの方程式 徹底解説大地反射
- アンテナ・電波測定の基礎大地反射