一陸技|無線工学B|過去問
令和4年1月期 第1回 A-5
要点(wavelane の要約): パラボラ2面を背中合わせにした中継点を挟む回線で、区間ごとの受信電力と区間損失、中継点で受けた電力と出す電力の関係、全体の損失を区間損失で表す形、送受のアンテナ利得を除いた伝搬損失の形を組合せで答えさせる問題。
原文(公式問題文)
A-5 次の記述は、図に示すように、パラボラアンテナを用いてマイクロ波無給電中継を行う場合の送受信点間の伝搬損失について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、各アンテナにおける給電系の損失は無視できるものとする。なお、同じ記号の[ ]内には、同じ字句が入るものとする。 (1) 送信アンテナの絶対利得を Gt(真数)、送信電力を Pt〔W〕、無給電中継点におけるパラボラアンテナ 1 の絶対利得を G1(真数)、送信点と無給電中継点間の自由空間伝搬損失を Γ1 とすれば、パラボラアンテナ 1 の最大受信有能電力 P1〔W〕は、次式となる。 P1 = [ A ] × Pt〔W〕 したがって、送信点と無給電中継点間の区間損失 L1 は、[ A ] の逆数で表せる。 同様にして、絶対利得 G2(真数)のパラボラアンテナ 2 から再放射された電力を P2〔W〕、無給電中継点と受信点間の自由空間伝搬損失を Γ2 とすれば、絶対利得 Gr(真数)の受信アンテナの最大受信有能電力 Pr〔W〕及び無給電中継点と受信点間の区間損失 L2 を求めることができる。 (2) 無給電中継の送受信点間の区間損失 Ltr は、Pt/Pr であり、P2 = [ B ]〔W〕であるから、Ltr は、次式で表される。 Ltr = [ C ] (3) (1)及び(2)より、送受信点間の伝搬損失 Γ は、Gt 及び Gr を含めずに[ D ]と表すことができる。 A B C D 1 GtG1/Γ1 P1 √(L1L2) Γ1Γ2/(G1G2) 2 GtG1/Γ1 P1 L1L2 Γ1Γ2/(G1G2) 3 GtG1/Γ1 G2P1/G1 √(L1L2) G1G2/(Γ1Γ2) 4 Γ1/(GtG1) G2P1/G1 √(L1L2) G1G2/(Γ1Γ2) 5 Γ1/(GtG1) P1 L1L2 G1G2/(Γ1Γ2)
〔図省略〕の位置 — wavelane による再現図(公式図版ではありません)。図の説明は引用の下にあります。
〔図省略〕は Wavelane による編集注で、公式図版があった位置を示します。その位置には Wavelane が描いた再現図を差し込んでいます(公式図版ではありません)。図の説明は下の図カードにあります。
Wavelane が原図をもとに描いた模式図(公式図版ではありません)
出典: 令和4年1月期 第1回 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB401)A-5(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
解かずに正答と解説を見る
正答: 2
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
無給電中継では、中継点が受けた電力をそのまま出し直す。区間ごとの受信電力をフリスの形で書けば、全体の損失は2区間の損失の積になり、送受のアンテナ利得を除いた伝搬損失も組み立てられる。
- 空欄 A: GtG1/Γ1
- 受信電力は、送信電力に送受2つのアンテナの絶対利得を掛け、自由空間伝搬損失で割った値である。区間損失はその比の逆数になる。逆数のほうを選ぶと、損失と利得の向きが入れ替わる。
- 空欄 B: P1
- 無給電中継点には増幅器も給電線の損失も無いので、パラボラ1が受けた電力がそのままパラボラ2から放射される。G2/G1 を掛ける理由は無い。
- 空欄 C: L1L2
- Pt/Pr を P1 と P2 を通して分けると、Pt/P1 と P2/Pr の積になる。P1=P2 なので、全体の損失は2区間の損失の積である。デシベルでいえば和になる。
- 空欄 D: Γ1Γ2/(G1G2)
- L1L2 を書き下すと Γ1Γ2/(GtG1G2Gr) になる。送受のアンテナ利得 Gt・Gr を除くと、自由空間損失の積を中継点の2面の利得で割った形が残る。中継アンテナの利得が大きいほど損失は小さくなる。
この組合せになっているのは選択肢 2 である。
つまずきやすい点
- 区間損失を幾何平均 √(L1L2) にする理由は無い。損失は直列に掛かるので積(dBなら和)である。
- 中継アンテナの利得は損失を減らす向きに効く。G1G2 が分子にある形は向きが逆である。