一陸技|無線工学B|過去問
平成29年7月期 A-19
要点(wavelane の要約): アンテナが1基しかないとき、正面に立てた金属板で送信波を跳ね返して同じアンテナで受け、戻った電力と定在波比から利得を求める方法について、受信電力の式・電力比と定在波比の関係・利得の式を組合せで答えさせる問題。板の向こうの像までの距離が2倍になることが鍵になる。
原文(公式問題文)
A-19 次の記述は、反射板を用いるアンテナ利得の測定法について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。なお、同じ記号の[ ]内には、同じ字句が入るものとする。 アンテナが一基のみの場合は、図に示す構成により以下のようにアンテナ利得を測定することができる。ただし、波長を λ〔m〕、被測定アンテナの開口径を D〔m〕、絶対利得を G(真数)、アンテナと垂直に立てられた反射板との距離を d〔m〕とし、d は、測定誤差が問題とならない適切な距離とする。 (1) アンテナから送信電力 Pt〔W〕の電波を送信し、反射して戻ってきた電波を同じアンテナで受信したときの受信電力 Pr〔W〕は、次式で与えられる。 Pr = (Gλ²/(4π)) × [ A ] ・・・・・・① (2) アンテナには定在波測定器が接続されているものとし、反射波を受信したときの電圧定在波比を S とすれば、S と Pt 及び Pr との間には、次の関係がある。 Pr/Pt = ([ B ])² ・・・・・・② (3) 式①及び②より絶対利得 G は、次式によって求められる。 G = [ C ] × [ B ]
〔図省略〕の位置 — wavelane による再現図(公式図版ではありません)。図の説明は引用の下にあります。
A B C 1 PtG/(8πd²) (S+1)/(S-1) 16πd/λ 2 PtG/(8πd²) (S-1)/(S+1) 16πd/λ 3 PtG/(16πd²) (S-1)/(S+1) 8πd/λ 4 PtG/(16πd²) (S-1)/(S+1) 16πd/λ 5 PtG/(16πd²) (S+1)/(S-1) 8πd/λ
〔図省略〕は Wavelane による編集注で、公式図版があった位置を示します。その位置には Wavelane が描いた再現図を差し込んでいます(公式図版ではありません)。図の説明は下の図カードにあります。
Wavelane が原図をもとに描いた模式図(公式図版ではありません)
出典: 平成29年7月期 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB907)A-19(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
解かずに正答と解説を見る
正答: 3
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
反射板の向こうに同じアンテナの像ができ、距離 2d の2アンテナ法とみなせる。戻ってきた電力の比は反射係数の2乗で、反射係数は定在波比から (S−1)/(S+1) と出せる。
- 空欄 A: PtG/(16πd²)
- 反射板を鏡とみると、像のアンテナまでの距離は 2d になる。そこでの電力束密度は PtG/(4π(2d)²) = PtG/(16πd²) で、これに実効面積 Gλ²/(4π) を掛けると受信電力になる。
- 空欄 B: (S−1)/(S+1)
- 戻ってきた波は給電線から見れば反射波なので、受信電力と送信電力の比は反射係数の2乗になる。反射係数の大きさは定在波比から (S−1)/(S+1) で、1より小さい。逆数の形は1を超えてしまう。
- 空欄 C: 8πd/λ
- ①と②を等しいと置くと G²λ²/(64π²d²) = ((S−1)/(S+1))² になる。両辺の平方根を取って G について解くと、8πd/λ に反射係数を掛けた形になる。
この組合せになっているのは選択肢 3 である。
つまずきやすい点
- 像までの距離を d のままにすると、A の分母が 4πd² になり、C も 4πd/λ になって選択肢に無い形になる。
- B は2乗される前の量である。② の右辺がすでに2乗されているので、反射係数そのものを入れる。
理由から確かめる
- アンテナ・電波測定の基礎フリスの伝達公式・アンテナ利得の測定・イメージ(影像)効果・反射係数・電圧定在波比(VSWR)
- アンテナ方式図鑑フリスの伝達公式・イメージ(影像)効果
- 給電線と整合回路反射係数・電圧定在波比(VSWR)