一陸技|無線工学B|過去問
令和7年1月期 B-5
要点(wavelane の要約): 線路上の電圧と電流の式から任意の点のインピーダンスを書き、定在波の谷の電圧と山の電流を入射波と反射係数で表し、その点のインピーダンスが定在波比で決まることを経て、給電点の値を定在波比と最小点の位置から求めさせる問題。
原文(公式問題文)
B-5 次の記述は、無損失給電線上の定在波の測定により、アンテナの給電点インピーダンスを求める過程について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句を下の番号から選べ。ただし、給電線の特性インピーダンスを Z0〔Ω〕とする。 (1) 給電点から l〔m〕だけ離れた給電線上の点の電圧 V 及び電流 I は、給電点の電圧を VL〔V〕、電流を IL〔A〕、位相定数を β〔rad/m〕とすれば、次式で表される。 V = VLcosβl+jZ0ILsinβl〔V〕 ・・・・・・① I = ILcosβl+j(VL/Z0)sinβl〔A〕 ・・・・・・② したがって、給電点インピーダンスを ZL〔Ω〕とすると、給電点から l〔m〕だけ離れた給電線上の点のインピーダンス Z は、式①と②から次式で表される。 Z = V/I = [ ア ]〔Ω〕 ・・・・・・③ (2) 電圧定在波の最小値を Vmin、電流定在波の最大値を Imax、入射波電圧を Vf〔V〕、反射波電圧を Vr〔V〕及び反射係数を Γ とすれば、Vmin と Imax は、次式で表される。 Vmin = [ イ ]〔V〕 ・・・・・・④ Imax = [ ウ ]〔A〕 ・・・・・・⑤ (3) 給電点からの電圧定在波の最小点までの距離 lmin の点は、電流定在波の最大になる点でもあるから、この点のインピーダンス Zmin〔Ω〕は、Z0 と|Γ|を用いて、次式で表される。 Zmin = ([ エ ]) × Z0 = Z0/S ・・・・・・⑥ ここで、S は電圧定在波比である。 (4) 式③の l に lmin を代入した式と式⑥が等しくなるので、ZL は、次式で表される。 ZL = [ オ ]〔Ω〕 上式から、S と lmin が分かれば、ZL を求めることができる。 1 Z0((ZL + jZ0 tanβl)/(Z0 + jZL tanβl)) 2 |Vf|(1 + |Γ|) 3 |Vf|(1−|Γ|)/Z0 4 (1−|Γ|)/(1+|Γ|) 5 Z0((S − j tanβlmin)/(1 − jS tanβlmin)) 6 Z0((Z0 + jZL tanβl)/(ZL + jZ0 tanβl)) 7 |Vf|(1 − |Γ|) 8 |Vf|(1+|Γ|)/Z0 9 (1+|Γ|)/(1−|Γ|) 10 Z0((1 − jS tanβlmin)/(S − j tanβlmin))
出典: 令和7年1月期 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB701)B-5(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
解かずに正答と解説を見る
正答: ア 1/イ 7/ウ 8/エ 4/オ 10
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
線路上の電圧と電流の式から任意の点のインピーダンスを作り、電圧が最小になる点の値が定在波比だけで決まることを使って、給電点の値を逆算する。
- ア: 解答 1(Z0((ZL + jZ0 tanβl)/(Z0 + jZL tanβl)))
- 式①を式②で割り、分子と分母を余弦で割ると正接だけが残る。分子と分母を入れ替えた候補は、距離が零のときに給電点の値ではなく特性インピーダンスの2乗を給電点の値で割った量を与えるので、そもそも出発点で合わない。
- イ: 解答 7(|Vf|(1 − |Γ|))
- 定在波の谷は、入射波と反射波が逆位相で重なる点である。だから電圧の大きさは 2 つの差になる。反射波の大きさは入射波に反射係数の大きさを掛けたものなので、括弧の中は引き算になる。
- ウ: 解答 8(|Vf|(1 + |Γ|)/Z0)
- 電流では、反射波の符号が電圧と逆になる。だから電圧が谷になる点で電流は山になり、大きさは 2 つの和を特性インピーダンスで割った値になる。電圧と電流で足し引きが入れ替わることが、この問題の山場である。
- エ: 解答 4((1 − |Γ|)/(1 + |Γ|))
- ④を⑤で割ると、入射波の大きさが約分されて、特性インピーダンスに引き算と足し算の比が掛かった形が残る。この比は電圧定在波比の逆数そのものなので、⑥の右側の形と一致する。線路上でインピーダンスが最も小さくなる点であり、しかも純抵抗になる。
- オ: 解答 10(Z0((1 − jS tanβlmin)/(S − j tanβlmin)))
- 式③の距離に最小点までの距離を入れたものが Z0/S に等しい、と置いて給電点の値について解き直す。整理すると、分子に 1 と定在波比を掛けた正接、分母に定在波比と正接が並ぶ形になる。分子と分母を入れ替えた候補は、この解き直しをせずに③の形をそのまま使ったときに出るもので、定在波比が 1(整合)のときに給電点の値が特性インピーダンスへ戻らない。
ア〜オの解答は 1・7・8・4・10 である。
つまずきやすい点
- 電圧の谷と電流の山は同じ場所にある。その点のインピーダンスは線路上で最小の純抵抗で、特性インピーダンスを定在波比で割った値になる。最大の点はその逆で、掛けた値になる。
- 反射係数の大きさは、電圧では引き算、電流では足し算に現れる。ここを入れ替えると最小点のインピーダンスが定在波比倍になり、⑥の右側と合わなくなる。
- 最後の式は、③の分子と分母を入れ替えただけでは出てこない。⑥と等しいと置いて、給電点の値について解き直す必要がある。
理由から確かめる
- VSWR・反射係数特性インピーダンス・入力インピーダンス・反射係数・定在波・電圧定在波比(VSWR)
- アンテナ・電波測定の基礎特性インピーダンス・入力インピーダンス・反射係数・定在波・電圧定在波比(VSWR)
- 給電線と整合回路特性インピーダンス・入力インピーダンス・反射係数・電圧定在波比(VSWR)