一陸技|無線工学B|過去問
令和7年1月期 A-9
要点(wavelane の要約): 内外導体で電波を導く線路について、使える周波数の下限と上限、損失の増え方、そして誘電体を詰めたときに特性インピーダンスと位相定数がそれぞれ比誘電率の何乗で変わるかを5つ並べ、誤りを1つ選ばせる問題。
原文(公式問題文)
A-9 次の記述は、同軸線路の特性について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。 1 通常、直流から TEM 波のみが伝搬する周波数帯まで用いられる。 2 抵抗損および誘電体損は、周波数が高くなるにつれてともに増加する。 3 比誘電率が εs の誘電体が充填されているときの特性インピーダンスは、比誘電率が 1 の誘電体が充填されているときの特性インピーダンスの 1/√εs 倍となる。 4 比誘電率が εs の誘電体が充填されているときの位相定数は、比誘電率が 1 の誘電体が充填されているときの位相定数の εs 倍となる。 5 通常、最も遮断波長が長い TE11 波が発生する周波数より高い周波数領域では用いられない。
出典: 令和7年1月期 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB701)A-9(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
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正答: 4
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
同軸線路の性質を5つ並べ、誤りを1つ選ぶ。誘電体を詰めたとき、特性インピーダンスと位相定数がそれぞれ比誘電率の何乗で変わるかが分かれ目になる。
選択肢 1— 答えではない
内部導体と外部導体という 2 本の導体があるので TEM 波が成り立ち、下限は直流まで下がる。上限は高次モードが立つ手前で、その範囲で使う。正しい。
選択肢 2— 答えではない
導体の抵抗損は表皮効果によって周波数の平方根に、誘電体損はおおむね周波数に比例して増える。どちらも高い周波数ほど大きくなるので、正しい。
選択肢 3— 答えではない
特性インピーダンスは (138/√εs)log10(D/d) の形で、比誘電率の平方根に反比例する。詰めると下がる向きと倍率が合っているので、正しい。
選択肢 4◎ これが答え
位相定数は ω√(με) なので、比誘電率の平方根に比例する。すなわち √εs 倍であって、εs 倍ではない。この記述どおりなら波長の短縮も位相速度の低下も過大になり、特性インピーダンスが 1/√εs 倍になる選択肢3と辻褄が合わなくなる。
選択肢 5— 答えではない
高次モードが立つと TEM 波だけの伝送ではなくなる。最初に現れるのは遮断波長が最も長いモードで、同軸ではそれが TE11 である。その周波数より上では通常使わないので、正しい。
正答は選択肢 4 である。
つまずきやすい点
- 誘電体を詰めたときの倍率は、位相定数が √εs 倍、波長・位相速度・特性インピーダンスが 1/√εs 倍である。指数が 1 になるのは、比誘電率が式へ直接入る容量のような量だけである。
- 遮断波長が最も長いモードが、最も低い周波数で立つモードである。波長と周波数で向きが逆になるので、読み替えを一度で済ませる。
理由から確かめる
- 給電線と整合回路同軸線路・比誘電率・TEM波・遮断波長・遮断周波数
- 電磁界の続論とマイクロ波回路同軸線路・TEM波・遮断波長・遮断周波数
- アンテナ方式図鑑比誘電率・遮断波長・遮断周波数