一陸技|無線工学B|過去問
令和6年7月期 B-4
要点(wavelane の要約): 波長が短い帯域の伝わり方について、酸素と水蒸気の共鳴が現れる周波数、細かい水滴による減衰の周波数依存、降水中での遅れ、ビームが交わる領域での散乱による干渉、降雨減衰の目安を、記述ごとに正誤で答えさせる問題。
原文(公式問題文)
B-4 次の記述は、マイクロ波(SHF)帯及びミリ波(EHF)帯の電波の伝搬について述べたものである。このうち正しいものを1、誤っているものを2 として解答せよ。 ア 晴天時の大気ガスによる電波の共鳴吸収は、主に酸素及び水蒸気分子によるものであり、100〔GHz〕以下では、22〔GHz〕付近に水蒸気分子の共鳴周波数が、60〔GHz〕付近に酸素分子の共鳴周波数がある。 イ 霧や細かい雨などのように波長に比べて十分小さい直径の水滴による減衰は、主に吸収によるものであり、周波数が高くなると減少する。 ウ 電波が降水中を伝搬するとき、降水粒子による吸収や散乱の影響を受け、距離とともに減衰すると同時に位相遅延を生ずる。 エ 二つの通信回線のアンテナビームが交差している領域に降雨があると、雨滴による散乱のために通信回線に干渉を起こすことがある。 オ 降雨による減衰は、雨滴による吸収と散乱で生じ、概ね 10〔GHz〕以上で顕著になり、200〔GHz〕付近までは周波数が高いほど、また、降雨強度が大きいほど、減衰量が大きくなる。
出典: 令和6年7月期 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB607)B-4(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
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正答: ア 1/イ 2/ウ 1/エ 1/オ 1
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
SHF帯・EHF帯の伝わり方を5つの記述で問う。共鳴吸収の周波数の対応と、小さい水滴による減衰が周波数とともにどちらへ動くかが分かれ目。
- ア: 解答 1(正しい)
- 正しい。100 GHz 以下に現れる共鳴は2つで、低いほうの 22 GHz 付近が水蒸気分子、高いほうの 60 GHz 付近が酸素分子である。分子と周波数の対応も、両方が晴天時にも効くという点も合っている。
- イ: 解答 2(誤っている)
- 誤り。波長に比べて十分小さい水滴による減衰は、周波数が高くなるほど大きくなる。周波数が上がると水滴が電気的に大きく見えるためで、増減の向きが逆である。
- ウ: 解答 1(正しい)
- 正しい。降水粒子は電力を吸収し散乱して減衰させるだけでなく、電波が通る媒質の性質も変えるので、進むにつれて位相の遅れも生じる。
- エ: 解答 1(正しい)
- 正しい。降雨域に入ったビームは雨滴によって四方へ散らばるので、本来向いていない別の回線のアンテナへ電力が回り込む。降雨散乱による結合として実際に問題になる干渉である。
- オ: 解答 1(正しい)
- 正しい。降雨減衰が目立ち始めるのは 10 GHz あたりからで、そこから 200 GHz 付近までは、周波数が高いほど、また雨が強いほど減衰量が増える。
ア〜オの解答は 1・2・1・1・1 である。
つまずきやすい点
- 共鳴の対応は「22 GHz が水蒸気、60 GHz が酸素」である。入れ替えた記述が誤りとして置かれやすい。
- 霧や細かい雨による減衰は、周波数が高いほど大きい。減ると書いてあれば向きが逆である。
- 吸収と散乱はどちらも減衰の原因になる。散乱は電力を失わせるだけでなく、別の回線へ回り込ませる原因にもなる。