一陸技|無線工学B|過去問
令和6年7月期 B-3
要点(wavelane の要約): 薄い基板の上に金属板を載せた平面アンテナについて、同軸の芯線と外導体をどこへつなぐか、周縁部の等価的な波源のうち放射に効く組、最大放射の向きの軸、そして基板の厚みと板の幅が帯域へ与える向きを語群から選ばせる問題。
原文(公式問題文)
B-3 次の記述は、図に示す方形のマイクロストリップアンテナについて述べたものである。[ ]内に入れるべき字句を下の番号から選べ。ただし、給電は、同軸給電とする。 (1) 図1に示すように、地板上に波長に比べて十分に薄い誘電体を置き、その上に放射板を平行に密着して置いた構造であり、放射板の中央から少しずらした位置で放射板と [ ア ] の間に給電する。 (2) 放射板と地板間にある誘電体に生ずる電界は、電波の放射には寄与しないが、放射板の周縁部に生ずる漏れ電界は電波の放射に寄与する。放射板の長さ l〔m〕を誘電体内での電波の波長 λe〔m〕の 1/2 にすると共振する。 図2に示すように磁流 M1〜M6〔V〕で表すと、磁流 [ イ ] は相加されて放射に寄与するが、他は互いに相殺されて放射には寄与しない。 アンテナの指向性は、放射板から [ ウ ] 軸の正の方向に最大放射方向がある単一指向性である。 (3) アンテナの入力インピーダンスは、放射板上の給電点の位置により変化する。また、その周波数特性は、厚さ h〔m〕が [ エ ] ほど、幅 w〔m〕が [ オ ] 広帯域となる。
〔図省略〕の位置 — wavelane による再現図(公式図版ではありません)。図の説明は引用の下にあります。
1 誘電体 2 M2 と M6 3 Z 4 厚い 5 狭いほど 6 地板 7 M1 と M4 8 X 9 薄い 10 広いほど
〔図省略〕は Wavelane による編集注で、公式図版があった位置を示します。その位置には Wavelane が描いた再現図を差し込んでいます(公式図版ではありません)。図の説明は下の図カードにあります。
Wavelane が原図をもとに描いた模式図(公式図版ではありません)
出典: 令和6年7月期 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB607)B-3(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
解かずに正答と解説を見る
正答: ア 6/イ 7/ウ 3/エ 4/オ 10
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
方形マイクロストリップアンテナの構造と特性。共振する向きの両端だけが放射に効くこと、厚くしても広くしても帯域が広がることが軸になる。
- ア: 解答 6(地板)
- 同軸給電では、内部導体を上の放射板へ、外部導体を裏側の広い導体へつなぐ。給電するのはこの2枚の導体の間である。誘電体は2枚に挟まれた絶縁物なので、給電の相手にはならない。
- イ: 解答 7(M1 と M4)
- 共振しているのは長さ l の向きで、その両端にあたる2辺の漏れ電界が放射に効く。図2でその2辺に置かれているのが M1 と M4 で、2つの磁流は同じ向きになるため足し合わされる。残りの4つは幅 w の側の2辺に2つずつ並び、向かい合う辺どうしで向きが逆になるので打ち消し合う。
- ウ: 解答 3(Z)
- 放射板の面に垂直な向きが最大放射方向になる。図1では放射板から上へ立っているのが Z 軸なので、その正の向きが答えである。X 軸と Y 軸は放射板の面内にあり、そちらへは強く出ない。
- エ: 解答 4(厚い)
- 誘電体が厚いほど共振の鋭さが下がり、入力インピーダンスの周波数変化がなだらかになるので帯域が広がる。薄くすれば薄型にできるが、代わりに狭帯域になる。
- オ: 解答 10(広いほど)
- 放射板の幅を広げると放射として出ていくぶんが増え、同じ理由で共振が緩やかになって帯域が広がる。厚さと幅はどちらも広帯域化の向きが同じである。
ア〜オの解答は 6・7・3・4・10 である。
つまずきやすい点
- 放射に効くのは、共振する長さの両端にあたる2辺である。幅の側の辺に並ぶ磁流は向かい合って打ち消し合うので、放射には出てこない。
- 厚くする・広くするはどちらも広帯域の向きである。薄型化と広帯域は同時には成り立たない。
- 共振条件に使う波長は、自由空間の波長ではなく誘電体の中での波長である。比誘電率のぶんだけ短くなる。