一陸技|無線工学B|過去問
令和6年1月期 A-1
要点(wavelane の要約): 送受で特性が変わらないこと、受信電力を出す公式、複数素子を並べたときの指向性の作り方、そして2種類の基本アンテナの利得の値と基準の呼び分けを5つ並べ、誤りを1つ選ばせる問題。
原文(公式問題文)
A-1 次の記述は、アンテナの利得と指向性及び受信電力について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。 1 受信アンテナの利得や指向性は、可逆の定理により、送信アンテナとして用いた場合と同じである。 2 自由空間中で送信アンテナに受信アンテナを対向させて電波を受信するときの受信電力は、フリスの伝達公式により求めることができる。 3 一般に同じアンテナを複数個並べたアンテナの指向性は、アンテナ単体の指向性に配列指向係数を掛けたものに等しい。 4 半波長ダイポールアンテナの利得は、等方性アンテナの約 1.64 倍であり、絶対利得は約 2.15〔dB〕である。 5 微小ダイポールの利得は、等方性アンテナの約 1.5 倍であり、相対利得は約 1.76〔dB〕である。
出典: 令和6年1月期 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB601)A-1(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
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正答: 5
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
利得と指向性と受信電力の基本を5つ並べ、誤りを1つ選ぶ。倍率の値ではなく、その値がどちらの基準の利得かを見分ける問題。
選択肢 1— 答えではない
同じアンテナを送信に使っても受信に使っても、指向性も利得も変わらない。可逆の定理の帰結そのもので、正しい。
選択肢 2— 答えではない
自由空間で2つのアンテナを向かい合わせたときの受信電力は、送信電力・両アンテナの利得・波長・距離だけで書ける。フリスの伝達公式の適用場面として正しい。
選択肢 3— 答えではない
同一素子を並べた配列の指向性は、素子1本の指向性と、並べ方だけで決まる係数との積になる(パターン乗積の原理)。正しい。
選択肢 4— 答えではない
1.64 倍を電力比としてデシベルに直すと 10log10 1.64 = 2.15 dB。等方性アンテナを基準にした値なので絶対利得と呼ぶ。値も呼び名も正しい。
選択肢 5◎ これが答え
1.5 倍をデシベルに直した 1.76 dB は、等方性アンテナを基準にした値、すなわち絶対利得である。半波長ダイポールを基準にする相対利得は 1.5/1.64 = 0.915 倍、デシベルでは約 −0.39 dB になる。倍率は合っているが呼び名が誤り。
正答は選択肢 5 である。
つまずきやすい点
- 絶対利得は等方性アンテナ基準、相対利得は半波長ダイポール基準。両者は 2.15 dB の差で行き来できる(1.76 − 2.15 = −0.39)。
- 利得は電力比なのでデシベルへは 10log10 で直す。20log10 を使うと 1.5 倍が 3.52 dB になり、選択肢の値と合わなくなる。
理由から確かめる
- アンテナ方式図鑑アンテナ利得・配列指向係数(アレーファクタ)・フリスの伝達公式・半波長ダイポールアンテナ・微小ダイポール・アンテナの可逆性
- アンテナの指向性パターンアンテナ利得・配列指向係数(アレーファクタ)・半波長ダイポールアンテナ・微小ダイポール
- アンテナ・電波測定の基礎アンテナ利得・フリスの伝達公式・微小ダイポール・アンテナの可逆性