一陸技|無線工学B|過去問
令和5年7月期 第2回 A-20
要点(wavelane の要約): 標準の雑音源を切り換えて出力の比を2回取る方法で、受信機の雑音温度とアンテナ系の雑音温度を順に求める式を組合せで答えさせる問題。出力が雑音温度の和に比例することから比の式を立てる。
原文(公式問題文)
A-20 次の記述は、図に示す構成により、アンテナ系雑音温度を測定する方法(Y 係数法)について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、アンテナ系雑音温度を TA〔K〕、受信機の等価入力雑音温度を TR〔K〕、標準雑音源を動作させないときの標準雑音源の雑音温度を T0〔K〕、標準雑音源を動作させたときの標準雑音源の雑音温度を TN〔K〕とし、T0 及び TN の値は既知とする。 (1) スイッチ SW を b 側に入れ、標準雑音源を動作させないとき、T0〔K〕の雑音が受信機に入る。このときの出力計の読みを N0〔W〕とする。 SW を b 側に入れたまま、標準雑音源を動作させたとき、TN〔K〕の雑音が受信機に入るので、このときの出力計の読みを NN〔W〕とすると、N0 と NN の比 Y1 は、次式で表される。 Y1 = N0/NN = [ A ] ・・・・・・・① 式①より、次式のように TR が求まる。 TR = [ B ] ・・・・・・・・・② (2) 次に、SW を a 側に入れたときの出力計の読みを NA〔W〕とすると、NN と NA の比 Y2 は次式で表される。 Y2 = NN/NA = (TN + TR)/(TA + TR) ・・・・・・③ (3) 式③より、TA は、次式で表される。 TA = [ C ] ・・・・・・・・・④ 式④に式②の TR を代入すれば、TA を求めることができる。
〔図省略〕の位置 — wavelane による再現図(公式図版ではありません)。図の説明は引用の下にあります。
A B C 1 (T0 - TR)/(TN - TR) (T0 - Y1TN)/(Y1 + 1) (TN - TR)/Y2 + TR 2 (T0 - TR)/(TN - TR) (T0 - Y1TN)/(1 - Y1) (TN + TR)/Y2 - TR 3 (T0 - TR)/(TN - TR) (T0 - Y1TN)/(Y1 - 1) (TN - TR)/Y2 - TR 4 (T0 + TR)/(TN + TR) (T0 - Y1TN)/(Y1 + 1) (TN + TR)/Y2 - TR 5 (T0 + TR)/(TN + TR) (T0 - Y1TN)/(Y1 - 1) (TN + TR)/Y2 - TR
〔図省略〕は Wavelane による編集注で、公式図版があった位置を示します。その位置には Wavelane が描いた再現図を差し込んでいます(公式図版ではありません)。図の説明は下の図カードにあります。
Wavelane が原図をもとに描いた模式図(公式図版ではありません)
出典: 令和5年7月期 第2回 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB508)A-20(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
解かずに正答と解説を見る
正答: 5
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
出力計の読みは、受信機に入る雑音温度と受信機自身の雑音温度の和に比例する。この比例を使って比の式を2回立て、受信機の雑音温度、続いてアンテナ系の雑音温度を求める。
- 空欄 A: (T0 + TR)/(TN + TR)
- 雑音源の温度に受信機の雑音温度が足された値に、出力計の読みが比例する。動作させないときは T0、させたときは TN が入るので、比はそれぞれに TR を足した値の比になる。差を取った候補は、受信機の雑音が上乗せされることを逆に扱っている。
- 空欄 B: (T0 − Y1TN)/(Y1 − 1)
- A の式の両辺に (TN + TR) を掛け、TR を含む項を左に集めると TR(Y1 − 1) = T0 − Y1TN になる。両辺を (Y1 − 1) で割るとこの形になる。分母を (1 − Y1) にした候補は符号が反対である。
- 空欄 C: (TN + TR)/Y2 − TR
- ③の両辺に (TA + TR) を掛けて Y2 で割ると TA + TR = (TN + TR)/Y2 になり、TR を移項するとこの形になる。②で出した TR を代入すれば、既知の量だけで TA が決まる。
この組合せになっているのは選択肢 5 である。
つまずきやすい点
- 出力は「入ってくる雑音の温度 + 受信機の雑音温度」に比例する。和を取ることが Y 係数法の出発点である。
- 標準雑音源を動作させると温度が上がるので、N0 < NN、つまり Y1 は 1 より小さい。分母の符号の検算に使える。
理由から確かめる
- 受信系の雑音(NF・雑音温度)等価雑音温度・熱雑音電力kTB
- アンテナの基礎熱雑音電力kTB