一陸技|無線工学B|過去問
令和5年7月期 第1回 A-13
要点(wavelane の要約): 移相器のビット数で位相を飛び飛びにしか選べないことから生じる誤差について、移相器に使う回路素子、誤差の最大値、それが開口に周期的に現れたときに高くなる放射の部分、低減のためのビット数の向きを組合せで答えさせる問題。FB807 A-11 と同じ図・同じ設問である。
原文(公式問題文)
A-13 次の記述は、図に示す位相走査のフェーズドアレーアンテナと量子化位相誤差について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 (1) フェーズドアレーアンテナとは、平面上に複数の放射素子を並べて固定し、それぞれにデジタル移相器を設けて給電電流の位相を変化させて電波を放射し、放射された電波を合成した主ビームが空間のある範囲内の任意の方向に向くように制御されたアンテナである。デジタル移相器には、[ A ]が用いられ、0 から 2π までの位相角を 2^n (n = 1,2,・・・) 分の 1 に等分割しているので、最小設定可能な位相角は 2π/2^n〔rad〕となり、励振位相は、最大[ B ]〔rad〕の量子化位相誤差を生ずることになる。 (2) この量子化位相誤差がアンテナの開口分布に周期的に生ずると、比較的高いレベルの[ C ]が生じ、これを低減するには、デジタル移相器のビット数をできるだけ[ D ]する。
〔図省略〕の位置 — wavelane による再現図(公式図版ではありません)。図の説明は引用の下にあります。
A B C D 1 スタブ π/2^n サイドローブ 多く 2 バラン π/2^n バックローブ 少なく 3 バラン π/2^(n+1) サイドローブ 多く 4 スタブ π/2^(n+1) バックローブ 少なく 5 バラン π/2^(n+1) バックローブ 多く
〔図省略〕は Wavelane による編集注で、公式図版があった位置を示します。その位置には Wavelane が描いた再現図を差し込んでいます(公式図版ではありません)。図の説明は下の図カードにあります。
Wavelane が原図をもとに描いた模式図(公式図版ではありません)
出典: 令和5年7月期 第1回 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB507)A-13(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
解かずに正答と解説を見る
正答: 1
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
デジタル移相器はスタブなどの線路を切り換えて位相を 2π/2ⁿ 刻みで選ぶ。刻みの半分が最大の量子化誤差で、開口に周期的に現れると高いサイドローブを生むので、ビット数を増やして抑える。
- 空欄 A: スタブ
- デジタル移相器は、スタブや線路の長さをダイオードで切り換えて、決まった位相差を足し引きする。バランは平衡・不平衡の変換器で、移相には使わない。
- 空欄 B: π/2^n
- 設定できる位相は 2π/2ⁿ 刻みなので、欲しい位相との差は最大でその半分の π/2ⁿ になる。
- 空欄 C: サイドローブ
- 誤差が開口上に周期的に並ぶと、その周期に対応する方向へ不要な放射のピークが立つ。これが量子化サイドローブである。
- 空欄 D: 多く
- ビット数 n を増やすほど刻みが細かくなり、誤差もサイドローブも小さくなる。
この組合せになっているのは選択肢 1 である。
つまずきやすい点
- 最大誤差は刻み 2π/2ⁿ の半分の π/2ⁿ。さらに半分の π/2ⁿ⁺¹ とした選択肢に引っかからない。
- 後ろへの放射(バックローブ)ではなく、主ビーム以外の方向へ周期的に立つサイドローブである。
理由から確かめる
- アンテナ方式図鑑デジタル移相器・フェーズドアレーアンテナ・サイドローブ
- アンテナの指向性パターンデジタル移相器・フェーズドアレーアンテナ・サイドローブ
- 実用アンテナの構造フェーズドアレーアンテナ