一陸技|無線工学B|過去問
令和5年1月期 第1回 A-20
要点(wavelane の要約): 1基のアンテナの正面に反射板を立て、戻ってきた波を同じアンテナで受けて利得を測る方法について、受信電力の式の後半、定在波比で書いた受信電力と送信電力の比の平方根、両者から利得を取り出す係数を組合せで答えさせる問題。
原文(公式問題文)
A-20 次の記述は、反射板を用いるアンテナ利得の測定法について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。なお、同じ記号の[ ]内には、同じ字句が入るものとする。 アンテナが一基のみの場合は、図に示す構成により以下のようにアンテナ利得を測定することができる。ただし、波長を λ〔m〕、被測定アンテナの開口径を D〔m〕、絶対利得を G (真数)、アンテナと垂直に立てられた反射板との距離を d〔m〕とし、d は、測定誤差が問題とならない適切な距離とする。 (1) アンテナから送信電力 Pt〔W〕の電波を送信し、反射して戻ってきた電波を同じアンテナで受信したときの受信電力 Pr〔W〕は、次式で与えられる。 Pr = (Gλ²/(4π)) × [ A ] ・・・・・・① (2) アンテナには定在波測定器が接続されているものとし、反射波を受信したときの電圧定在波比を S とすれば、S と Pt 及び Pr との間には、次の関係がある。 Pr/Pt = ([ B ])² ・・・・・・② (3) 式①及び②より絶対利得 G は、次式によって求められる。 G = [ C ] × [ B ]
〔図省略〕の位置 — wavelane による再現図(公式図版ではありません)。図の説明は引用の下にあります。
A B C 1 PtG/(8πd²) (S+1)/(S−1) 16πd/λ 2 PtG/(8πd²) (S−1)/(S+1) 16πd/λ 3 PtG/(16πd²) (S−1)/(S+1) 8πd/λ 4 PtG/(16πd²) (S−1)/(S+1) 16πd/λ 5 PtG/(16πd²) (S+1)/(S−1) 8πd/λ
〔図省略〕は Wavelane による編集注で、公式図版があった位置を示します。その位置には Wavelane が描いた再現図を差し込んでいます(公式図版ではありません)。図の説明は下の図カードにあります。
Wavelane が原図をもとに描いた模式図(公式図版ではありません)
出典: 令和5年1月期 第1回 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB501)A-20(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
解かずに正答と解説を見る
正答: 3
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
反射板の向こうに距離 2d の影像アンテナがあると考えると、受信電力は実効面積に電力密度 PtG/(16πd²) を掛けたものになる。一方、反射して戻る電力の比は電圧反射係数の2乗で、定在波比で書ける。両者を等しくおけば G = (8πd/λ)(S−1)/(S+1) が得られる。
- 空欄 A: PtG/(16πd²)
- 反射板で折り返した電波は、往復 2d の距離を進んだのと同じである。距離 2d での電力束密度は PtG/(4π(2d)²) = PtG/(16πd²) で、Gλ²/(4π) はアンテナの実効面積である。
- 空欄 B: (S−1)/(S+1)
- 戻ってきた電力と送った電力の比は反射係数の2乗で、反射係数の大きさは定在波比を使って (S−1)/(S+1) と書ける。
- 空欄 C: 8πd/λ
- 式①から Pr/Pt = (Gλ/(8πd))² となるので、平方根を取って式②と比べると G は 8πd/λ と (S−1)/(S+1) の積になる。
この組合せになっているのは選択肢 3 である。
つまずきやすい点
- 影像までの距離を d のまま使うと、電力密度の分母が 4πd² になり、係数も 4πd/λ になって選択肢に合わない。往復の 2d を使う。
- B を逆数の (S+1)/(S−1) にすると、比が1を超えて戻る電力が送った電力より大きくなってしまう。
理由から確かめる
- アンテナ・電波測定の基礎フリスの伝達公式・アンテナ利得の測定・イメージ(影像)効果・反射係数・電圧定在波比(VSWR)
- アンテナ方式図鑑フリスの伝達公式・イメージ(影像)効果
- 給電線と整合回路反射係数・電圧定在波比(VSWR)