一陸技|無線工学B|過去問
令和4年7月期 第1回 A-17
要点(wavelane の要約): 太陽の爆発で昼側の下部電離層が急に濃くなる現象について、続く時間と影響の強い場所、短波が減衰する仕組み、超長波の位相と受信強度の変わり方、短波のうちどの周波数が強く効くかを5つ並べ、超長波の強度変化の向きを誤った記述を選ばせる問題。
原文(公式問題文)
A-17 次の記述は、デリンジャ現象(SID)について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。 1 SID の継続時間は、10 数分から数 10 分の場合が多く、日照半球の太陽直下で最も影響が大きい。 2 SID による D 層と E 層の電子密度の急激な増加は、短波(HF)帯の電波を異常に減衰させて通信不能な状態にすることがある。 3 SID が起こる原因は、太陽フレアにより、D 層の電子密度が急上昇し、ここで電波が吸収されるためである。 4 SID による D 層の実効反射高度の低下に伴い、超長波(VLF)帯の電波の位相進み及び受信電界強度の減少が引き起こされる。 5 SID による電波の減衰は、短波(HF)帯では比較的低い方の周波数が最も影響を受ける。
出典: 令和4年7月期 第1回 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB407)A-17(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
解かずに正答と解説を見る
正答: 4
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
デリンジャ現象は、フレアの X 線で昼側の D 層が急に濃くなり、短波が吸収される現象である。超長波にとっては反射面が下がることになり、位相が進んで受信強度はむしろ強まる。
選択肢 1— 答えではない
正しい。X 線は光の速さで届き、照らされた昼側の半球だけに効く。太陽高度が高いほど電離が強いので、太陽直下で影響が最も大きく、多くは数十分以内に収まる。
選択肢 2— 答えではない
正しい。下部電離層の電子密度が急に増えると、そこを通る短波の吸収が跳ね上がり、通信が途絶することがある。
選択肢 3— 答えではない
正しい。フレアの X 線・紫外線が D 層を強く電離し、そこで電波のエネルギーが吸収されることが原因である。
選択肢 4◎ これが答え
誤っている。超長波は D 層の下面で反射されて地表との間を進む。反射の高さが下がると経路が短くなって位相が進み、受信電界強度は減少ではなく増加する。
選択肢 5— 答えではない
正しい。電離層での吸収はおおむね周波数の2乗に反比例するので、短波帯の中でも低い周波数ほど大きく減衰する。
正答は選択肢 4 である。
つまずきやすい点
- 短波にとっては吸収層、超長波にとっては反射面、と D 層の役割が帯域で入れ替わる。同じ電子密度の増加が、短波は弱め、超長波は強める。
- 減衰を強く受けるのは短波帯の低いほうである。「高い周波数ほど影響が大きい」と逆にした記述も出る。
理由から確かめる
- 伝搬の特論電子密度・電離圏による減衰・太陽フレアと黒点活動
- 電離層伝搬(MUF・跳躍距離)電子密度