一陸技|無線工学B|過去問
令和4年1月期 第1回 B-1
要点(wavelane の要約): 物体に平面波が当たって二次的な波源になる仕組み、遠方の電力束密度の比で定める散乱の断面積の式、その式が想定する仮想的な散乱体の指向性、到来方向へ戻る場合の呼び名、大きな金属球での値を語群から選ばせる問題。FB807 B-2・FB607 B-1 と同じ設問である。
原文(公式問題文)
B-1 次の記述は、散乱断面積について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句を下の番号から選べ。 (1) 均質な媒質中に置かれた媒質定数の異なる物体に平面波が入射すると、その物体が導体の場合には導電電流が生じ、また、誘電体の場合には[ ア ]が生じ、これらが二次的な波源になり、電磁波が再放射される。 (2) 図に示すように、自由空間中の物体へ入射する平面波の電力束密度が pi〔W/m²〕で、物体から距離 d〔m〕の受信点 R における散乱波の電力束密度が ps〔W/m²〕であったとき、物体の散乱断面積 σ は、次式で定義される。 σ = lim[d→∞] {4πd²([ イ ])}〔m²〕 上式は、受信点における散乱電力が、入射平面波の到来方向に垂直な断面積 σ 内に含まれる入射電力を[ ウ ]で散乱する仮想的な等方性散乱体の散乱電力に等しいことを意味している。 (3) 散乱方向が入射波の方向と一致するときの σ をレーダー断面積又は[ エ ]散乱断面積という。金属球のレーダー断面積 σ は、球の半径 r〔m〕が波長に比べて十分大きい場合、[ オ ]〔m²〕にほぼ等しい。
〔図省略〕の位置 — wavelane による再現図(公式図版ではありません)。図の説明は引用の下にあります。
1 分極 2 ps/pi 3 全方向に無指向性 4 後方 5 4πr² 6 磁化 7 pi/ps 8 受信点方向に対して単一指向性 9 前方 10 πr²
〔図省略〕は Wavelane による編集注で、公式図版があった位置を示します。その位置には Wavelane が描いた再現図を差し込んでいます(公式図版ではありません)。図の説明は下の図カードにあります。
Wavelane が原図をもとに描いた模式図(公式図版ではありません)
出典: 令和4年1月期 第1回 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB401)B-1(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
解かずに正答と解説を見る
正答: ア 1/イ 2/ウ 3/エ 4/オ 10
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
物体に当たった平面波が二次的な波源を作って散乱される仕組みと、散乱断面積の定義、レーダー断面積の呼び名、大きな金属球での値を語群から選ぶ。
- ア: 解答 1(分極)
- 導体では自由電子が動いて電流が流れ、誘電体では束縛された電荷がわずかにずれて分極が起きる。振動する電荷が新しい波源となって電波を出し直す。磁化は磁性体で起きる現象である。
- イ: 解答 2(ps/pi)
- 受信点での散乱波の電力束密度を、入射波の電力束密度で割った比に、半径 d の球の表面積を掛ける。分母と分子を逆にした候補は次元こそ同じだが、物体が大きいほど小さくなってしまう。
- ウ: 解答 3(全方向に無指向性)
- 4πd² を掛けるのは、断面積 σ に入る電力をあらゆる方向へ均等にまき散らす仮想的な散乱体を考えるからである。その散乱体が受信点で作る電力束密度が実際の値と同じになるように σ を決める。
- エ: 解答 4(後方)
- 散乱した波が入射してきた方向へそのまま戻る場合が後方散乱で、送受信を同じ場所で行うレーダが受けるのはこの成分である。そのときの σ をレーダー断面積とも後方散乱断面積とも呼ぶ。
- オ: 解答 10(πr²)
- 半径が波長より十分大きい金属球では、レーダー断面積は球を正面から見た円の面積、つまり幾何学的な断面積 πr² にほぼ等しい。
ア〜オの解答は 1・2・3・4・10 である。
つまずきやすい点
- 金属球の値を表面積 4πr² と答えない。正面から見た円の面積 πr² である。
- 散乱断面積は物理的な大きさではなく、受信点の電力から逆算した等価的な面積である。形や向き、周波数で変わる。