一陸技|無線工学B|過去問
令和4年1月期 第1回 A-20
要点(wavelane の要約): 向かい合う2つの大きな開口の縁どうしと中心どうしの距離の差を近似し、許される通路差の上限から送受信間の最小距離を導く過程を組合せで答えさせる問題。FB707 A-20 と同じ設問である。
原文(公式問題文)
A-20 次の記述は、自由空間において開口面の直径が波長に比べて十分大きなアンテナの利得を測定する場合に考慮しなければならない送受信アンテナ間の最小距離について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 (1) 図に示すように、アンテナ 1 及びアンテナ 2 を距離 R1〔m〕離して対向させたとき、アンテナ 1 の開口面上の任意の点とアンテナ 2 の開口面上の任意の点の間の距離が一定でないため、両アンテナ開口面上の任意の点の間を伝搬する電波の相互間に位相差が生じ、測定誤差の原因となる。 (2) 最大の誤差は、両アンテナの開口面上の 2 点間の最長距離 R2〔m〕と最短距離 R1〔m〕との差によって決まり、その差 ΔR は、次式によって表される。ただし、アンテナ 1 及びアンテナ 2 の開口面の直径をそれぞれ D1〔m〕及び D2〔m〕とし、D1 + D2 ≪ R1 とする。 ΔR = R2 - R1 = √(R1² + (D1/2 + D2/2)²) - R1 ≒ [ A ]〔m〕 (3) 通路差による測定利得の誤差を 2〔%〕以内にするには、波長を λ〔m〕とすれば、通路差 ΔR が[ B ]以下であればよいことが知られているので、両アンテナ間の最小距離 Rmin は、次式で表される。 Rmin = [ C ]〔m〕
〔図省略〕の位置 — wavelane による再現図(公式図版ではありません)。図の説明は引用の下にあります。
A B C 1 (D1 + D2)²/(8R1) λ/16 2(D1 + D2)²/λ 2 (D1 + D2)²/(8R1) λ/4 (D1 + D2)²/(2λ) 3 (D1 + D2)²/(8R1) λ/16 (D1 + D2)²/(2λ) 4 (D1 + D2)²/(4R1) λ/16 2(D1 + D2)²/λ 5 (D1 + D2)²/(4R1) λ/4 (D1 + D2)²/(4λ)
〔図省略〕は Wavelane による編集注で、公式図版があった位置を示します。その位置には Wavelane が描いた再現図を差し込んでいます(公式図版ではありません)。図の説明は下の図カードにあります。
Wavelane が原図をもとに描いた模式図(公式図版ではありません)
出典: 令和4年1月期 第1回 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB401)A-20(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
解かずに正答と解説を見る
正答: 1
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
2つの開口の縁どうしを結ぶ最長の経路と中心どうしの最短の経路の差を近似し、その差を波長の16分の1以下に抑える条件から、送受信間に必要な最小距離を導く。
- 空欄 A: (D1 + D2)²/(8R1)
- 横のずれは2つの半径の和 (D1+D2)/2 である。√(R1²+x²) を x が小さいとして近似すると R1+x²/(2R1) になるので、差は x²/(2R1)=(D1+D2)²/(8R1) である。
- 空欄 B: λ/16
- 通路差が λ/16 なら位相差は 22.5 度にとどまり、利得の誤差が約2%以内に収まることが知られている。λ/4 では位相差が 90 度にもなる。
- 空欄 C: 2(D1 + D2)²/λ
- (D1+D2)²/(8R1) ≦ λ/16 を R1 について解くと、R1 ≧ 2(D1+D2)²/λ になる。同じ大きさの開口なら和を直径 D の2倍と考えて 2D²/λ の形に戻る。
この組合せになっているのは選択肢 1 である。
つまずきやすい点
- 片方が小さいアンテナなら、和の代わりに大きいほうの直径だけを入れて 2D²/λ になる。式の形を覚えるより、導出の流れを押さえる。
- 近似の係数は 1/(2R1) で、ずれの量が半径の和であることから 8 が出る。直径の和をそのままずれとすると 4 になる。
理由から確かめる
- アンテナ・電波測定の基礎アンテナ利得の測定・最小測定距離 Rmin = 2D²/λ・近傍界・遠方界の領域・通路差
- アンテナ方式図鑑近傍界・遠方界の領域・通路差
- 電磁界の続論とマイクロ波回路通路差