一陸技|無線工学B|過去問
令和3年7月期 第1回 A-11
要点(wavelane の要約): nビットのデジタル移相器が一周をいくつに刻むかから、励振位相に残る量子化誤差の最大値を出し、その誤差が開口上で周期的に並ぶと何が持ち上がるか、抑えるにはビット数をどうするかを組合せで答えさせる問題。FB807 A-11 と同じ題材で、移相器の種類を問う空欄が無くなっている。
原文(公式問題文)
A-11 次の記述は、図に示す位相走査のフェーズドアレーアンテナについて述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 (1) 平面上に複数の放射素子を並べて固定し、それぞれにデジタル移相器を設けて給電電流の位相を変化させて電波を放射し、放射された電波を合成した主ビームが空間のある範囲内の任意の方向に向くように制御されたアンテナである。デジタル移相器は、0 から 2π までの位相角を 2^n (n = 1, 2, ・・・) 分の 1 に等分割しているので、最小設定可能な位相角は 2π/2^n〔rad〕となり、励振位相は、最大[ A ]〔rad〕の量子化位相誤差を生ずることになる。 (2) この量子化位相誤差がアンテナの開口分布に周期的に生ずると、比較的高いレベルの[ B ]が生じ、これを低減するには、デジタル移相器のビット数をできるだけ[ C ]する。
〔図省略〕の位置 — wavelane による再現図(公式図版ではありません)。図の説明は引用の下にあります。
A B C 1 π/2^n バックローブ 少なく 2 π/2^n サイドローブ 多く 3 π/2^(n+1) サイドローブ 多く 4 π/2^(n+1) バックローブ 少なく 5 π/2^(n+1) バックローブ 多く
〔図省略〕は Wavelane による編集注で、公式図版があった位置を示します。その位置には Wavelane が描いた再現図を差し込んでいます(公式図版ではありません)。図の説明は下の図カードにあります。
Wavelane が原図をもとに描いた模式図(公式図版ではありません)
出典: 令和3年7月期 第1回 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB307)A-11(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
解かずに正答と解説を見る
正答: 2
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
nビットの移相器は 2π/2ⁿ 刻みでしか位相を選べないので、必要な位相との差は最大でその半分の π/2ⁿ になる。この誤差が周期的に並ぶとサイドローブが高くなり、ビット数を増やして刻みを細かくすれば抑えられる。
- 空欄 A: π/2^n
- 最も近い設定値へ丸めるので、ずれは刻み幅 2π/2ⁿ の半分までに収まる。半分は π/2ⁿ である。
- 空欄 B: サイドローブ
- 開口上に周期的な位相の乱れがあると、その周期に応じた方向へ不要な放射のピークが立つ。主ビームの脇に出るのでサイドローブである。
- 空欄 C: 多く
- ビット数を1増やすごとに刻み幅は半分になり、量子化誤差も半分になる。
この組合せになっているのは選択肢 2 である。
つまずきやすい点
- A で 2π/2ⁿ を2で割るときに分母の指数を n+1 にしてしまうと π/2^(n+1) を選ぶ。2π/2ⁿ÷2 = π/2ⁿ で、指数は変わらない。
- バックローブは主ビームの真後ろの放射で、移相器の量子化とは結びつかない。
理由から確かめる
- アンテナ方式図鑑デジタル移相器・フェーズドアレーアンテナ・サイドローブ
- アンテナの指向性パターンデジタル移相器・フェーズドアレーアンテナ・サイドローブ
- 実用アンテナの構造フェーズドアレーアンテナ