一陸技|無線工学B|過去問
令和3年7月期 第1回 A-10
要点(wavelane の要約): 誘電体レンズで、中心を通る電波と凸面上の別の点を通る電波が出口の平面に同時に着くという条件から、誘電体内を進む時間の項、屈折率と速さの比、凸面までの距離を角度で表す式を組合せで答えさせる問題。FB508 A-13 と同じ導出で、選択肢の並びが違う。
原文(公式問題文)
A-10 次の記述は、図に示す誘電体レンズアンテナの波源 O から誘電体の凸面上の点 P までの距離を求める式の算出について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、中心線 CA の延長線上の O から凸面上の点 A 及び点 P までの距離を、それぞれ l〔m〕及び r〔m〕とし、OA と OP のなす角を θ〔rad〕とする。 (1) 自由空間の電波の速度を v0〔m/s〕、誘電体中の電波の速度を vd〔m/s〕とすれば、O から発射された電波が点 B と点 C に到達する時間は等しくなければならないので、次式が成り立つ。 l/v0 + [ A ] = r/v0〔s〕 ・・・① (2) 誘電体の屈折率を n とすれば、次式の関係がある。 n = [ B ] ・・・② したがって、式②を式①に代入すれば、r は次式となる。 r = [ C ]〔m〕
〔図省略〕の位置 — wavelane による再現図(公式図版ではありません)。図の説明は引用の下にあります。
A B C 1 r cos θ/vd v0/vd (n + 1)l/(n cos θ) 2 (r cos θ - l)/vd v0/vd (n - 1)l/(n cos θ - 1) 3 (r cos θ - l)/vd vd/v0 (n + 1)l/(n cos θ - 1) 4 (r cos θ + l)/vd vd/v0 (n - 1)l/(n cos θ - 1) 5 (r cos θ + l)/vd v0/vd (n + 1)l/(n cos θ - 1)
〔図省略〕は Wavelane による編集注で、公式図版があった位置を示します。その位置には Wavelane が描いた再現図を差し込んでいます(公式図版ではありません)。図の説明は下の図カードにあります。
Wavelane が原図をもとに描いた模式図(公式図版ではありません)
出典: 令和3年7月期 第1回 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB307)A-10(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
解かずに正答と解説を見る
正答: 2
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
中心を通る電波と点 P を通る電波が出口の平面に同時に着く条件を立てる。誘電体内を進む距離は r cosθ − l、屈折率は v0/vd で、整理すると r = (n−1)l/(n cosθ − 1) になる。
- 空欄 A: (r cos θ - l)/vd
- 中心線上の電波は点 A から誘電体に入り、P を通る電波が平面に着く位置と同じ深さ(O から r cosθ)まで進む。誘電体中の距離は r cosθ − l で、それを誘電体中の速さで割る。
- 空欄 B: v0/vd
- 屈折率は真空中の速さが媒質中の速さの何倍かを表す。誘電体中では遅くなるので n は1より大きい。
- 空欄 C: (n - 1)l/(n cos θ - 1)
- ①の両辺に v0 を掛けると l + n(r cosθ − l) = r。r についてまとめると r(n cosθ − 1) = (n − 1)l になる。
この組合せになっているのは選択肢 2 である。
つまずきやすい点
- B を vd/v0 にすると n が1より小さくなり、誘電体で遅らせて波面をそろえるという原理と合わない。
- C の分子を (n+1)l とする候補が多い。θ=0 を入れて r=l に戻るかで確かめると、(n−1)l/(n−1)=l となる側が正しい。
理由から確かめる
- アンテナ方式図鑑誘電体レンズアンテナ・通路差・屈折率
- マクスウェルの方程式 徹底解説屈折率
- アンテナ・電波測定の基礎通路差