一陸技|無線工学B|過去問
令和3年1月期 第1回 A-19
要点(wavelane の要約): 受信アンテナを上下させて電界強度の縞を測る測定について、直接波と反射波の通路差、合成電界の大きさに掛かる三角関数、極大どうしの高さの間隔を組合せで答えさせる問題。反射係数が−1なので正弦になることと、間隔の分母に円周率が入らないことが分かれ目になる。
原文(公式問題文)
A-19 次の記述は、ハイトパターンの測定について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、波長を λ〔m〕とし、大地は完全導体平面でその反射係数を -1 とする。 (1) 超短波(VHF)の電波伝搬において、送信アンテナの地上高、送信周波数、送信電力及び送受信点間距離を一定にしておいて、受信アンテナの高さを上下に移動させて電界強度を測定すると、直接波と大地反射波との干渉により、図に示すようなハイトパターンが得られる。 (2) 直接波と大地反射波との通路差 Δl は、送信及び受信アンテナの高さをそれぞれ h1〔m〕、h2〔m〕及び送受信点間の距離を d〔m〕とし、d ≫ (h1+h2) とすると、次式で表される。 Δl ≒ [ A ]〔m〕 受信電界強度 |E|〔V/m〕は、自由空間電界強度を E0〔V/m〕とすると、次式で表される。 |E| ≒ 2E0 × |[ B ]|〔V/m〕 (3) ハイトパターンの受信電界強度 |E|〔V/m〕が極大になる受信アンテナの高さ hm2 と hm1 との差 Δh は、[ C ]〔m〕である。
〔図省略〕の位置 — wavelane による再現図(公式図版ではありません)。図の説明は引用の下にあります。
A B C 1 2h1h2/d sin(2πh1h2/(λd)) λd/(2h1) 2 2h1h2/d sin(2πh1h2/(λd)) λd/(2πh1) 3 2h1h2/d cos(2πh1h2/(λd)) λd/(2πh1) 4 4h1h2/d sin(2πh1h2/(λd)) λd/(2πh1) 5 4h1h2/d cos(2πh1h2/(λd)) λd/(2h1)
〔図省略〕は Wavelane による編集注で、公式図版があった位置を示します。その位置には Wavelane が描いた再現図を差し込んでいます(公式図版ではありません)。図の説明は下の図カードにあります。
Wavelane が原図をもとに描いた模式図(公式図版ではありません)
出典: 令和3年1月期 第1回 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB301)A-19(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
解かずに正答と解説を見る
正答: 1
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
ハイトパターンの測定を3つの空欄で問う。行路差の近似式、反射係数 −1 のときの合成電界に掛かる三角関数、極大の間隔を順に確かめる。
- 空欄 A: 2h1h2/d
- 直接波と反射波の経路長をそれぞれ二項近似で展開して差を取ると、高さの積の2倍を距離で割った形が残る。係数が4になる候補は、展開のときに2乗の項を2回数えている。
- 空欄 B: sin(2πh1h2/(λd))
- 行路差による位相差は 2π/λ × 2h1h2/d である。反射係数が −1 なので反射波は位相がさらに π ずれ、合成は 2E0 × |sin(位相差/2)| になる。余弦になるのは反射係数が +1 の場合である。
- 空欄 C: λd/(2h1)
- 極大は行路差が波長の半整数倍ごとに現れるので、隣の極大までに行路差が波長1つぶん増える。2h1Δh/d = λ を Δh について解くとこの形になり、π は入らない。
この組合せになっているのは選択肢 1 である。
つまずきやすい点
- 行路差の係数は2である。位相差にするときに掛ける 2π/λ の 2π と混同しない。
- 極大の間隔に π は入らない。λd/(2πh1) としている選択肢は、位相の式から係数を持ち込んだ誤り。
- 反射係数 −1 のときは正弦、+1 のときは余弦になる。地上高 0 で受信電界が零になる(正弦)ことで確かめられる。
理由から確かめる
- アンテナ・電波測定の基礎大地反射・ハイトパターン・通路差・直接波と大地反射波の2波モデル
- 2波モデル(大地反射)大地反射・ハイトパターン・通路差・直接波と大地反射波の2波モデル
- ナイフエッジ回折損失大地反射・通路差・直接波と大地反射波の2波モデル