一陸技|無線工学B|過去問
令和3年1月期 第1回 A-16
要点(wavelane の要約): 固定・海事・航空・陸上移動の各衛星回線で起きる受信レベルの変動について、低仰角の対流圏の揺らぎ、直線偏波の偏波面の回転、海面で反射した波、飛行高度と反射波の広がり、建物や樹木による遮へいの5記述を並べ、小型の船上アンテナのビームの広さと反射波の影響を逆に述べた記述を選ばせる問題。
原文(公式問題文)
A-16 次の記述は、通常用いられている周波数における衛星通信の伝搬変動について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。 1 固定衛星通信の対流圏におけるシンチレーションは、低仰角の場合は変動幅が大きく、また、その周期は電離圏シンチレーションの周期に比べると長い。 2 4GHz 帯及び 6GHz 帯の固定衛星通信において、直線偏波で直交偏波共用通信を行う場合、電離圏でのファラデー回転による偏波の回転が原因で、両偏波間に許容限度以上の干渉を生じさせるおそれがある。 3 海事衛星通信において、船舶に搭載する小型アンテナでは、ビーム幅が狭くなり、直接波の他に海面反射波をメインビームで受信することがあるため、フェージングの影響が小さい。 4 航空衛星通信において、航空機の飛行高度が高くなるにつれて海面反射波が球面拡散で小さくなり、フェージングの深さも小さくなる。 5 陸上移動体衛星通信における伝搬変動の原因には、ビルディングやトンネルなどによる遮へい、樹木による減衰及びビルディングの反射などによるフェージングなどがある。
出典: 令和3年1月期 第1回 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB301)A-16(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
解かずに正答と解説を見る
正答: 3
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
衛星回線の種類ごとに受信レベルが揺れる原因を確かめる正誤問題。小型アンテナはビームが広く、海面で反射した波まで拾ってしまうことが分かれ目になる。
選択肢 1— 答えではない
対流圏の屈折率のゆらぎによるシンチレーションは、大気を斜めに長く通る低仰角ほど変動幅が大きい。その周期は電離圏シンチレーションより長い。正しい。
選択肢 2— 答えではない
ファラデー回転は周波数の2乗に反比例して小さくなるが、4 GHz 帯・6 GHz 帯でも消えてはいない。直交する2つの直線偏波で別々の信号を送っていると、偏波面の回転がそのまま両者の間の漏れになり、干渉の原因になりうる。正しい。
選択肢 3◎ これが答え
誤っている。開口の小さいアンテナはビーム幅が広い。そのため直接波だけでなく海面からの反射波も主ビームの中で受けてしまい、両者の干渉でフェージングが大きくなる。ビーム幅が狭いとした点も、影響が小さいとした点も逆である。
選択肢 4— 答えではない
高く飛ぶほど海面で反射して届く波の経路が長くなり、球面状に広がって弱まる。直接波との差が開くので、フェージングは浅くなる。正しい。
選択肢 5— 答えではない
地上を移動する端末では、建物やトンネルで直接波が遮られること、街路樹で減衰すること、建物で反射した波との干渉で揺れることが主な原因になる。正しい。
正答は選択肢 3 である。
つまずきやすい点
- アンテナが小さいほどビームは広い。小型だから狭い、と大きさとビーム幅の関係を逆にしない。
- ファラデー回転は周波数が高いほど小さいが、直交偏波共用のように偏波で信号を分ける方式では、わずかな回転でも問題になる。
理由から確かめる
- 伝搬の特論大地反射・レイリー分布則の瞬時変動・地上・衛星間回線・シンチレーション
- マクスウェルの方程式 徹底解説大地反射
- アンテナ・電波測定の基礎大地反射