一陸技|無線工学B|過去問
令和2年11月臨時 第1回 A-18
要点(wavelane の要約): アンテナが1基しか無いとき、垂直に立てた反射板から返る電波を同じアンテナで受け、往復の距離での受信電力の式と、定在波比から読む反射の強さを等しく置いて利得を出す手順を、3つの空欄の組合せで答えさせる問題。
原文(公式問題文)
A-18 次の記述は、反射板を用いるアンテナ利得の測定法について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。なお、同じ記号の[ ]内には、同じ字句が入るものとする。 アンテナが一基のみの場合は、図に示す構成により以下のようにアンテナ利得を測定することができる。ただし、波長を λ〔m〕、被測定アンテナの開口径を D〔m〕、絶対利得を G(真数)、アンテナと垂直に立てられた反射板との距離を d〔m〕とし、d は、測定誤差が問題とならない適切な距離とする。 (1) アンテナから送信電力 Pt〔W〕の電波を送信し、反射して戻ってきた電波を同じアンテナで受信したときの受信電力 Pr〔W〕は、次式で与えられる。 Pr = [ A ] × PtG/(16πd²) ・・・・・・① (2) アンテナには定在波測定器が接続されているものとし、反射波を受信したときの電圧定在波比を S とすれば、S と Pt 及び Pr との間には、次の関係がある。 Pr/Pt = ([ B ])² ・・・・・・② (3) 式①及び②より絶対利得 G は、次式によって求められる。 G = [ C ] × [ B ]
〔図省略〕の位置 — wavelane による再現図(公式図版ではありません)。図の説明は引用の下にあります。
A B C 1 Gλ²/(8π) (S+1)/(S-1) 16πd/λ 2 Gλ²/(8π) (S-1)/(S+1) 16πd/λ 3 Gλ²/(4π) (S-1)/(S+1) 16πd/λ 4 Gλ²/(4π) (S+1)/(S-1) 8πd/λ 5 Gλ²/(4π) (S-1)/(S+1) 8πd/λ
〔図省略〕は Wavelane による編集注で、公式図版があった位置を示します。その位置には Wavelane が描いた再現図を差し込んでいます(公式図版ではありません)。図の説明は下の図カードにあります。
Wavelane が原図をもとに描いた模式図(公式図版ではありません)
出典: 令和2年11月臨時 第1回 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB211)A-18(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
解かずに正答と解説を見る
正答: 5
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
反射板で返ってきた電波は、距離 2d に置いた影像アンテナから届いたとみなせる。フリスの伝達公式で受信電力を書き、定在波比から読む反射の強さと等しく置いて利得を出す。
- 空欄 A: Gλ²/(4π)
- 反射板の向こう側の距離 d の位置に同じアンテナの影像があると考えると、送受の間隔は 2d である。受信電力は、到来する電力密度 PtG/(4π(2d)²)=PtG/(16πd²) に、受信側の実効面積 Gλ²/(4π) を掛けたものになる。
- 空欄 B: (S-1)/(S+1)
- 戻ってきた電波は給電線上では反射波として振る舞い、受信電力と送信電力の比は反射係数の大きさの2乗になる。反射係数の大きさは定在波比から (S−1)/(S+1) と表せる。
- 空欄 C: 8πd/λ
- 式①から Pr/Pt=G²λ²/(64π²d²) なので、両辺の平方根を取ると Gλ/(8πd) が反射係数に等しい。G について解くと、8πd/λ に反射係数を掛けた形になる。
この組合せになっているのは選択肢 5 である。
つまずきやすい点
- 反射板までの距離は d だが、電波が進むのは往復の 2d である。d のまま入れると 16πd/λ のような係数になる。
- 定在波比から反射係数を出す式の分子は S−1 である。S+1 を分子にすると1より大きくなり、電力比として成り立たない。
理由から確かめる
- アンテナ・電波測定の基礎実効面積・フリスの伝達公式・アンテナ利得の測定・イメージ(影像)効果・反射係数・電圧定在波比(VSWR)
- アンテナ方式図鑑実効面積・フリスの伝達公式・イメージ(影像)効果
- アンテナの基礎実効面積・イメージ(影像)効果