一陸技|無線工学B|過去問
令和2年1月期 A-1
要点(wavelane の要約): 電界が1つの座標だけで変わるとしたときに残る2階微分の書き方、指数の符号が負の項がどちらへ進む波か、位相が一巡する条件から出る波長、等位相面の移動から出る速度の4段を組合せで答えさせる問題。
原文(公式問題文)
A-1 次の記述は、自由空間内の平面波を波動方程式から導出する過程について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、自由空間の誘電率を ε0〔F/m〕、透磁率を μ0〔H/m〕及び時間を t〔s〕として、電界 E〔V/m〕が角周波数 ω〔rad/s〕で正弦的に変化しているものとする。 (1) E については、以下の波動方程式が成立する。ここで、k² = ω²μ0ε0 とする。 ∇²E + k²E = 0 ・・・・・・① (2) 直角座標系(x,y,z)で、E が y だけの関数とすると、式①より、以下の式が得られる。 [ A ] + k²Ez = 0 ・・・・・・② (3) 式②の解は、M、N を境界条件によって定まる定数とすると、次式で表される。 Ez = Me^(-jky) + Ne^(+jky) ・・・・・・③ (4) 以下、式③の右辺の第 1 項で表される[ B ]のみを考える。ky が 2π の値をとるごとに同一の変化が繰り返されるから、ky = 2π を満たす y が波長 λ となる。すなわち、周波数を f〔Hz〕とすると、λ = [ C ]〔m〕となる。 (5) 式③の右辺の第 1 項に時間項 e^(jωt) を掛けると、Ez は、次式で表される。 Ez = Me^(j(ωt-ky)) ・・・・・・④ (6) 式④より、Ez の等位相面を表す式は、定数を K とおくと、次式で与えられる。 ωt - ky = K ・・・・・・⑤ (7) 式⑤の両辺を時間 t について微分すると、等位相面の進む速度、すなわち、電波の速度 v は以下のように表される。 v = dy/dt = [ D ] = 1/√(μ0ε0)〔m/s〕 A B C D 1 dEz/dy 前進波 1/(f√(μ0ε0)) ω/k 2 dEz/dy 後退波 √(μ0ε0)/f k/ω 3 d²Ez/dy² 前進波 1/(f√(μ0ε0)) ω/k 4 d²Ez/dy² 後退波 √(μ0ε0)/f k/ω 5 d²Ez/dy² 前進波 1/(f√(μ0ε0)) k/ω
出典: 令和2年1月期 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB201)A-1(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
解かずに正答と解説を見る
正答: 3
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
ヘルムホルツ形の波動方程式を1つの座標だけの関数に落とし、指数の符号で進む向きを読み、位相が 2π 回る長さから波長を、等位相面の動きから速度を出す。
- 空欄 A: d²Ez/dy²
- ∇² は各座標についての2階微分の和である。y だけの関数なら、y についての2階微分だけが残る。
- 空欄 B: 前進波
- e^{−jky} に時間項 e^{jωt} を掛けると e^{j(ωt−ky)} になり、時間が進むと同じ位相の点が +y 方向へ移る。+y 方向へ進む波を前進波と呼ぶ。
- 空欄 C: 1/(f√(μ0ε0))
- ky = 2π を y について解くと λ = 2π/k である。k = ω√(μ₀ε₀) = 2πf√(μ₀ε₀) を入れると、2π が消えて 1/(f√(μ₀ε₀)) が残る。
- 空欄 D: ω/k
- ωt − ky = 一定 を t で微分すると ω − k(dy/dt) = 0 なので、dy/dt = ω/k である。k を代入すれば 1/√(μ₀ε₀) と一致する。
この組合せになっているのは選択肢 3 である。
つまずきやすい点
- D で k/ω を選ぶと、速度の逆数になる。単位を確かめると、ω/k が m/s になる。
- e^{+jky} の項を前進波としない。符号が正の項は −y 方向へ進む後退波である。
理由から確かめる
- マクスウェルの方程式 徹底解説位相速度・平面波・波動方程式・波長と周波数の関係(λ=300/f)
- アンテナ方式図鑑位相速度・平面波・波長と周波数の関係(λ=300/f)
- 電磁界の続論とマイクロ波回路位相速度・平面波