一陸技|無線工学B|過去問
令和元年7月期 A-16
要点(wavelane の要約): 固定・海事・航空・陸上移動の各衛星通信で起こる伝搬変動について、電離圏での偏波面の回転、対流圏のゆらぎの大きさと周期、海面反射によるフェージング、遮へいや樹木による減衰を5つ並べ、低い仰角での変動の大小を逆に書いた記述を選ばせる問題。
原文(公式問題文)
A-16 次の記述は、通常用いられている周波数における衛星通信の伝搬変動について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。 1 4GHz 帯及び 6GHz 帯の固定衛星通信において、直線偏波で直交偏波共用通信を行う場合、電離圏でのファラデー回転による偏波の回転が原因で、両偏波間に許容限度以上の干渉を生じさせるおそれがある。 2 固定衛星通信の対流圏におけるシンチレーションは、低仰角の場合は変動幅が小さく、また、その周期は電離圏シンチレーションの周期に比べると短い。 3 海事衛星通信において、船舶に搭載する小型アンテナでは、ビーム幅が広くなり、直接波の他に海面反射波をメインビームで受信することがあるため、フェージングの影響が大きい。 4 航空衛星通信において、航空機の飛行高度が高くなるにつれて海面反射波が球面拡散で小さくなり、フェージングの深さも小さくなる。 5 陸上移動体衛星通信における伝搬変動の原因には、ビルディングやトンネルなどによる遮へい、樹木による減衰及びビルディングの反射などによるフェージングなどがある。
出典: 令和元年7月期 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB107)A-16(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
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正答: 2
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
衛星回線の伝搬変動を、電離圏・対流圏・海面反射・遮へいの順に並べた問題。仰角が低いほど大気の中を長く通る、という一点で誤りが見つかる。
選択肢 1— 答えではない
4 GHz 帯・6 GHz 帯でも電離圏で偏波面がわずかに回る。直交する2つの直線偏波を共用していると、その回転が両者の間の漏れになり、干渉の原因になりうる。正しい。
選択肢 2◎ これが答え
対流圏のシンチレーションは、屈折率のゆらぎの中を通る距離が長いほど大きくなる。仰角が低いと大気の中を斜めに長く通るので、変動幅は小さくなるのではなく大きくなる。周期が電離圏のものより短いという部分は正しく、変動幅の向きが誤り。
選択肢 3— 答えではない
船の小型アンテナはビームが広く、直接波と一緒に海面からの反射波も主ビームの中で受けてしまう。両者が干渉するのでフェージングが大きい。正しい。
選択肢 4— 答えではない
機体が高く飛ぶほど海面反射波は長い経路を通って球面状に広がり、弱くなる。直接波との差が開くので、フェージングは浅くなる。正しい。
選択肢 5— 答えではない
陸上の移動体では、建物やトンネルによる遮へい、樹木による減衰、建物からの反射による多重波が主な変動の原因になる。正しい。
正答は選択肢 2 である。
つまずきやすい点
- 低仰角ほど大気の通過距離が長いので、減衰もシンチレーションも大きくなる。仰角と変動の大きさは逆の向きに動く。
- ファラデー回転は周波数の2乗に反比例して小さくなるが、GHz 帯でも直交偏波共用では無視できない場合がある。
理由から確かめる
- 伝搬の特論交差偏波識別度・大地反射・地上・衛星間回線・シンチレーション
- マクスウェルの方程式 徹底解説大地反射
- アンテナ・電波測定の基礎大地反射