一陸技|無線工学B|過去問
平成31年1月期 B-2
要点(wavelane の要約): 物体が電波を散らす強さを面積で表す量について、誘電体の中で二次波源になるもの、定義式の電力束密度の比の向き、仮想の散乱体の放射のしかた、入射方向へ戻る場合の呼び名、波長より十分大きい金属球での値を語群から選ばせる問題。
原文(公式問題文)
B-2 次の記述は、散乱断面積について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句を下の番号から選べ。 (1) 均質な媒質中に置かれた媒質定数の異なる物体に平面波が入射すると、その物体が導体の場合には導電電流が生じ、また、誘電体の場合には[ ア ]が生じ、これらの電流が二次的な波源になり、電磁波が再放射される。 (2) 図に示すように、自由空間中の物体へ入射する平面波の電力束密度が pi〔W/m²〕で、物体から距離 d〔m〕の受信点 R における散乱波の電力束密度が ps〔W/m²〕であったとき、物体の散乱断面積 σ は、次式で定義される。 σ = lim(d→∞) {4πd²([ イ ])}〔m²〕 上式は、受信点における散乱電力が、入射平面波の到来方向に垂直な断面積 σ 内に含まれる入射電力を[ ウ ]で散乱する仮想的な等方性散乱体の散乱電力に等しいことを意味している。 (3) 散乱方向が入射波の方向と一致するときの σ をレーダー断面積又は[ エ ]散乱断面積という。金属球のレーダー断面積 σ は、球の半径 r が波長に比べて十分大きい場合、[ オ ]にほぼ等しい。
〔図省略〕の位置 — wavelane による再現図(公式図版ではありません)。図の説明は引用の下にあります。
1 分極 2 pi/ps 3 受信点方向に対して単一指向性 4 後方 5 4πr² 6 磁化 7 ps/pi 8 全方向に無指向性 9 前方 10 πr²
〔図省略〕は Wavelane による編集注で、公式図版があった位置を示します。その位置には Wavelane が描いた再現図を差し込んでいます(公式図版ではありません)。図の説明は下の図カードにあります。
Wavelane が原図をもとに描いた模式図(公式図版ではありません)
出典: 平成31年1月期 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB101)B-2(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
解かずに正答と解説を見る
正答: ア 1/イ 7/ウ 8/エ 4/オ 10
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
物体が電波をどれだけ散らすかを面積で表す散乱断面積について、再放射の源、定義式の比の向き、仮想の散乱体の性質、入射方向へ戻る散乱の呼び名、大きな金属球での値を語群から選ぶ。
- ア: 解答 1(分極)
- 誘電体では自由に動ける電子が無く、束縛された電荷が電界に引かれてわずかにずれる分極が起きる。そのずれが時間とともに変化して二次的な波源になる。
- イ: 解答 7(ps/pi)
- 散乱断面積は、受信点での散乱波の電力束密度を入射波の電力束密度で割り、半径 d の球面積 4πd² を掛けて遠方の極限をとったものである。分子が散乱、分母が入射の順になる。
- ウ: 解答 8(全方向に無指向性)
- 面積 σ の中を通る入射電力をすべて受け取り、それを全方向へ一様にまき散らす仮想の散乱体に置き換えたとき、受信点で同じ電力になる、というのが定義の意味である。4πd² で割る形がその一様さを表している。
- エ: 解答 4(後方)
- 入射してきた方向へ戻る散乱を後方散乱と呼び、その散乱断面積がレーダー断面積である。送受信を同じ場所で行うレーダで受けるのはこの成分である。
- オ: 解答 10(πr²)
- 半径が波長より十分大きい金属球では、レーダー断面積は球の断面積 πr² にほぼ等しくなる。表面積の 4πr² ではない。
ア〜オの解答は 1・7・8・4・10 である。
つまずきやすい点
- イの比を逆にすると、散乱が強いほど σ が小さくなってしまう。強く散らす物体ほど断面積が大きくなる向きで確かめる。
- オは断面積と表面積の取り違えが定番である。正面から見たときの円の面積と覚える。