一陸技|無線工学B|過去問
平成30年7月期 A-4
要点(wavelane の要約): 放射される電力を電流の2乗で割った仮想の抵抗の定義、短い電流素子を囲む球面で電力束密度を積分した結果、そこから出る抵抗値の式を、導出の順に組合せで選ばせる問題。FB707 A-2 と同じ設問である。
原文(公式問題文)
A-4 次の記述は、微小ダイポールの放射抵抗について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 (1) アンテナから電波が放射される現象は、給電点に電流 I〔A〕が流れ、アンテナからの放射によって電力 Pr〔W〕が消費されることである。これは、アンテナの代わりに負荷として抵抗 Rr を接続したことと等価である。したがって、次式が成り立つ。 Rr = [ A ]〔Ω〕 上式で表される仮想の抵抗 Rr〔Ω〕を放射抵抗と呼び、Pr〔W〕を放射電力と呼ぶ。 (2) 図に示すように、微小ダイポールから数波長以上離れた半径 r〔m〕の球面 S を考えたとき、Pr〔W〕は球面上の電力束密度の面積分として次式で求められる。ただし、微小ダイポールの長さを l〔m〕、波長を λ〔m〕、微小ダイポールの中心 O から任意の方向と微小ダイポールの軸とのなす角を θ〔rad〕とし、θ 方向における電界強度を Eθ〔V/m〕とする。 Pr = 2∫[0→π/2] (|Eθ|²/(120π))・2πr sinθ・r dθ = [ B ]〔W〕 (3) (1)及び(2)から、微小ダイポールの放射抵抗 Rr は [ C ]〔Ω〕となる。 A B C 1 Pr/|I|² π²|I|²l²/λ² π²l²/λ² 2 Pr/|I|² 80π²|I|²l²/λ² 80π²l²/λ² 3 Pr/(120π|I|²) π²|I|²l²/λ² π²l²/λ² 4 Pr/(120π|I|²) 160π²|I|²l²/λ² 160π²l²/λ² 5 Pr/(120π|I|²) 80π²|I|²l²/λ² 80π²l²/λ²
〔図省略〕の位置 — wavelane による再現図(公式図版ではありません)。図の説明は引用の下にあります。
〔図省略〕は Wavelane による編集注で、公式図版があった位置を示します。その位置には Wavelane が描いた再現図を差し込んでいます(公式図版ではありません)。図の説明は下の図カードにあります。
Wavelane が原図をもとに描いた模式図(公式図版ではありません)
出典: 平成30年7月期 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB007)A-4(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
解かずに正答と解説を見る
正答: 2
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
放射抵抗は放射電力を電流の2乗で割った仮想の抵抗である。微小ダイポールでは球面で電力束密度を積分すると 80π²|I|²l²/λ² になり、放射抵抗は 80π²l²/λ² になる。
- 空欄 A: Pr/|I|²
- 抵抗 R に電流 I を流したときの消費電力は R|I|² なので、放射電力 Pr を |I|² で割ったものが放射抵抗になる。120π で割る形は電界から電力束密度を出す式と混同している。
- 空欄 B: 80π²|I|²l²/λ²
- 微小ダイポールの電界 |Eθ| = 60π|I|l sinθ/(λr) を入れると、被積分関数は sin³θ に比例する。∫₀^{π/2} sin³θ dθ = 2/3 を使ってまとめると 80π²|I|²l²/λ² になる。
- 空欄 C: 80π²l²/λ²
- B を |I|² で割ると 80π²(l/λ)² になる。微小ダイポールの放射抵抗として知られる値である。
この組合せになっているのは選択肢 2 である。
つまずきやすい点
- 積分の前の係数2(上半球を2倍)を落とすと 40π² になり、どの選択肢とも合わない。2倍を入れて全球で考えていることを確かめる。
- FB707 A-2 と同じ設問である。160π² の選択肢は係数2を二重に掛けたときの値である。
理由から確かめる
- アンテナ方式図鑑電界強度・微小ダイポール・電力束密度・放射抵抗
- アンテナ・電波測定の基礎電界強度・微小ダイポール・電力束密度・放射抵抗
- アンテナの基礎電界強度・電力束密度・放射抵抗