一陸技|無線工学B|過去問
平成30年1月期 A-1
要点(wavelane の要約): 電界が一つの座標だけに依存するとして波動方程式を2階の常微分方程式に落とし、解の指数関数の片方を取り出して、その項が進む向きの呼び名、波長を周波数と媒質定数で書いた式、等位相面の移動速さを角周波数と位相定数で書いた式を順に組合せで答えさせる問題。
原文(公式問題文)
A-1 次の記述は、自由空間内の平面波を波動方程式から導出する過程について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、自由空間の誘電率を ε0〔F/m〕、透磁率を μ0〔H/m〕として、電界 E〔V/m〕が角周波数 ω〔rad/s〕で正弦的に変化しているものとする。 (1) E については、以下の波動方程式が成立する。ここで、k² = ω²μ0ε0 とする。 ∇²E + k²E = 0 ・・・・・・① (2) 直角座標系(x,y,z)で、E が y だけの関数とすると、式①より、以下の式が得られる。 [ A ] + k²Ez = 0 ・・・・・・② (3) 式②の解は、M、N を境界条件によって定まる定数とすると、次式で表される。 Ez = Me^(−jky) + Ne^(+jky) ・・・・・・③ (4) 以下、式③の右辺の第 1 項で表される[ B ]のみを考える。ky が 2π の値をとるごとに同一の変化が繰り返されるから、ky = 2π を満たす y が波長 λ となる。すなわち、周波数を f〔Hz〕とすると、λ = [ C ]〔m〕となる。 (5) 式③の右辺の第 1 項に時間項 e^(jωt) を掛けると、Ez は、次式で表される。 Ez = Me^(j(ωt-ky)) ・・・・・・④ (6) 式④より、Ez の等位相面を表す式は、定数を K とおくと、次式で与えられる。 ωt - ky = K ・・・・・・⑤ (7) 式⑤の両辺を時間 t について微分すると、等位相面の進む速度、すなわち、電波の速度 c が以下のように求まる。 c = dy/dt = [ D ] = 1/√(μ0ε0)〔m/s〕 A B C D 1 dEz/dy 前進波 1/(f√(μ0ε0)) ω/k 2 dEz/dy 後退波 √(μ0ε0)/f k/ω 3 d²Ez/dy² 後退波 √(μ0ε0)/f k/ω 4 d²Ez/dy² 前進波 1/(f√(μ0ε0)) ω/k 5 d²Ez/dy² 前進波 1/(f√(μ0ε0)) k/ω
出典: 平成30年1月期 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB001)A-1(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
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正答: 4
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
波動方程式から平面波を導く問題。電界が1つの座標だけに依存すれば ∇² はその座標の2階微分になる。負の指数の項は正の向きへ進む波で、ky=2π から波長、等位相面の移動から速度 ω/k が出る。
- 空欄 A: d²Ez/dy²
- ラプラシアンは各座標の2階微分の和で、y 以外の微分は0になる。1階微分では k² の項と次元が合わない。
- 空欄 B: 前進波
- 時間項を掛けると ωt − ky になり、時間が進むと同じ位相の点は y の正の向きへ動く。正の向きへ進む波を前進波と呼ぶ。
- 空欄 C: 1/(f√(μ0ε0))
- λ = 2π/k で、k = ω√(μ₀ε₀) = 2πf√(μ₀ε₀) を入れると 2π が消える。周波数が高いほど波長は短くなるので、f は分母にくる。
- 空欄 D: ω/k
- ωt − ky を一定にしたまま t で微分すると ω − k dy/dt = 0 となり、dy/dt = ω/k が出る。これに k を入れると 1/√(μ₀ε₀) になる。
この組合せになっているのは選択肢 4 である。
つまずきやすい点
- D で k/ω を選ぶと、速度が √(μ₀ε₀) という光速の逆数になってしまう。最後の 1/√(μ₀ε₀) と合うかで確かめる。
- B は指数の符号だけで決まる。−jky の項に e^{jωt} を掛けて、位相を一定に保つ点が y の正負どちらへ動くかを見る。
理由から確かめる
- マクスウェルの方程式 徹底解説位相速度・平面波・波動方程式・波長と周波数の関係(λ=300/f)
- アンテナ方式図鑑位相速度・平面波・波長と周波数の関係(λ=300/f)
- 電磁界の続論とマイクロ波回路位相速度・平面波