本文へ移動
wavelane

一陸技|無線工学B|過去問

令和5年1月期 第1回 B-5

要点(wavelane の要約): 小さなアンテナに金属の箱をかぶせて放射を止め、かぶせたときとかぶせないときを比べて放射効率を出す方法について、測るインピーダンスの成分、箱が無いときにその値が表す抵抗の和、2つの測定値で書いた効率、送信機の出力が等しいときの式の分母、反射係数で書いた効率を語群から選ばせる問題。

FB501 B-55点(ア〜オ 各1点)

原文(公式問題文)

B-5 次の記述は、図に示す Wheeler cap(ウィーラー・キャップ)法による小形アンテナの放射効率の測定について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句を下の番号から選べ。ただし、金属の箱及び地板の大きさ及び材質は測定条件を満たしており、アンテナの位置は箱の中央部に置いて測定するものとする。なお、同じ記号の[ ]内には、同じ字句が入るものとする。 (1) 入力インピーダンスから放射効率を求める方法  地板の上に置いた被測定アンテナに、アンテナ電流の分布を乱さないよう適当な形及び大きさの金属の箱をかぶせて隙間がないように密閉し、被測定アンテナの入力インピーダンスの[ ア ]を測定する。このときの値は、アンテナの放射抵抗が無視できるので損失抵抗 Rl〔Ω〕とみなすことができる。  次に、箱を取り除いて、同様に、入力インピーダンスの[ ア ]を測定する。このときの値は、被測定アンテナの放射抵抗を Rr〔Ω〕とすると[ イ ]〔Ω〕となる。  金属の箱をかぶせないときの入力インピーダンスの[ ア ]の測定値を Rin〔Ω〕、かぶせたときの入力インピーダンスの[ ア ]の測定値を R′in〔Ω〕とすると、放射効率 η は、η = [ ウ ]で求められる。ただし、金属の箱の有無にかかわらず、アンテナ電流を一定とし、被測定アンテナは直列共振形とする。また、給電線の損失はないものとする。 (2) 電圧反射係数から放射効率を求める方法  金属の箱をかぶせないときの送信機の出力電力を Po〔W〕、被測定アンテナの入力端子からの反射電力を Pref〔W〕、(1)と同じように被測定アンテナに金属の箱をかぶせたときの送信機の出力電力を P′o〔W〕、被測定アンテナの入力端子からの反射電力を P′ref〔W〕とすると、放射効率 η は、次式で求められる。ただし、送信機と被測定アンテナ間の給電線の損失はないものとする。  η = {Po − Pref − (P′o − P′ref)}/(Po − Pref) ・・・・・・①  Po = P′o のとき、η は、式①より次式のようになる。  η = {(P′ref/P′o) − (Pref/Po)}/[ エ ] ・・・・・・②  金属の箱をかぶせないときの電圧反射係数を |Γ|、かぶせたときの電圧反射係数を |Γ′| とすると、η は、式②より、η = [ オ ]となり電圧反射係数から求められる。ただし、|Γ′| ≧ |Γ| が成り立つ範囲で求められる。

〔図省略〕の位置 — wavelane による再現図(公式図版ではありません)。図の説明は引用の下にあります。

1 虚数部  2 Rr − Rl  3 1 − (Rin/R′in)  4 1 − (Pref/Po)  5 (|Γ′|² − |Γ|²)/(1 − |Γ|²) 6 実数部  7 Rr + Rl  8 1 − (R′in/Rin)  9 1 − (Po/Pref)  10 (|Γ′| − |Γ|)/(1 − |Γ|)

〔図省略〕は Wavelane による編集注で、公式図版があった位置を示します。その位置には Wavelane が描いた再現図を差し込んでいます(公式図版ではありません)。図の説明は下の図カードにあります。

Wavelane が原図をもとに描いた模式図(公式図版ではありません)

図の説明(Wavelane 独自・原文には含まれません): Wheeler cap 法の構成。平らな地板の中央に小形の被測定アンテナが置かれ、地板の下から同軸給電線で給電されている。その上方に金属の箱があり、矢印で示すように上からかぶせて、アンテナを地板ごと隙間なく覆う。

出典: 令和5年1月期 第1回 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB501)B-5(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会

ア〜オそれぞれに入る語を、上の原文の語群番号から選ぶ
ア
イ
ウ
エ
オ
解かずに正答と解説を見る

正答: ア 6/イ 7/ウ 8/エ 4/オ 5

要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。

wavelane の解説(公式の解説ではありません)

金属の箱で覆うと放射が止まり、入力インピーダンスの抵抗分には損失抵抗だけが残る。覆わないときの抵抗分は放射抵抗と損失抵抗の和なので、2つの比から放射効率が出る。反射電力で測る方法も、整理すれば反射係数の2乗の差で書ける。

ア: 解答 6(実数部)
電力を消費するのは抵抗分なので、入力インピーダンスの実数部を測る。直列共振させてあるので虚数部は効率に関係しない。
イ: 解答 7(Rr + Rl)
箱が無ければ、放射で出ていく分(放射抵抗)と熱になる分(損失抵抗)が直列に入るので、抵抗分は両者の和になる。
ウ: 解答 8(1 − (R′in/Rin))
放射効率は Rr/(Rr + Rl) である。Rin = Rr + Rl、R′in = Rl を入れると (Rin − R′in)/Rin となり、1 − R′in/Rin に整理できる。
エ: 解答 4(1 − (Pref/Po))
式①の分子と分母を Po(= P′o)で割ると、分子の 1 どうしが打ち消し合い、分母には 1 − Pref/Po が残る。
オ: 解答 5((|Γ′|² − |Γ|²)/(1 − |Γ|²))
反射電力と出力電力の比は電圧反射係数の2乗なので、式②の各項を |Γ|² と |Γ′|² に置き換える。

ア〜オの解答は 6・7・8・4・5 である。

つまずきやすい点

  • ウで比を逆に取ると1を超えてしまう。箱をかぶせたときの値(損失だけ)のほうが小さいので、分子に置くのは R′in である。
  • オで反射係数を2乗し忘れると語群10になる。電力の比は電圧の比の2乗である。