一陸技|無線工学B|過去問
令和4年1月期 第1回 B-4
要点(wavelane の要約): 整合した信号源から線路を通してアンテナへ送る電力を、アンテナ側のインピーダンスが最大になる点で式に立て、定在波比で書き直し、整合時の電力との比から反射による目減りを求めて動作利得へつなぐ過程を語群から選ばせる問題。FB601 B-5 と同じ設問である。
原文(公式問題文)
B-4 次の記述は、図に示すようにアンテナに接続された給電線上の電圧定在波比(VSWR)を測定することにより、アンテナの動作利得を求める過程について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句を下の番号から選べ。ただし、アンテナの利得を G(真数)、入力インピーダンスを ZL〔Ω〕とする。また、信号源と給電線は整合がとれているものとし、給電線は無損失とする。 (1) 給電線上の任意の点から信号源側を見たインピーダンスは常に Z0〔Ω〕である。アンテナ側を見たインピーダンスが最大値 Zmax〔Ω〕となる点では、アンテナに伝送される電力 Pt は、次式で表される。 Pt = [ ア ]〔W〕 ・・・・・・・・・① (2) VSWR を S とすると、Zmax = [ イ ] であるから、式①は、S、V0 及び Z0 で表すと次式となる。 Pt = [ ウ ]〔W〕 ・・・・・・・・・② アンテナと給電線が整合しているときの Pt を P0 とすれば、式②から P0 は、次式で表される。 P0 = [ エ ]〔W〕 ・・・・・・・・③ (3) アンテナと給電線が整合していないために生ずる反射損 M は、式②と③から次式となる。 M = P0/Pt = [ オ ] ・・・・・・④ (4) アンテナの動作利得 Gw(真数)の定義と式④から、Gw は次式で与えられる。 Gw = 4SG/(1 + S)² したがって、VSWR を測定することにより、Gw を求めることができる。
〔図省略〕の位置 — wavelane による再現図(公式図版ではありません)。図の説明は引用の下にあります。
1 (V0/(2Z0))² Zmax 2 S²Z0 3 S²V0²/(Z0(1 + S²)²) 4 V0²/(2Z0) 5 (1 + S²)²/(4S²) 6 (V0/(Z0 + Zmax))² Zmax 7 SZ0 8 SV0²/(Z0(1 + S)²) 9 V0²/(4Z0) 10 (1 + S)²/(4S)
〔図省略〕は Wavelane による編集注で、公式図版があった位置を示します。その位置には Wavelane が描いた再現図を差し込んでいます(公式図版ではありません)。図の説明は下の図カードにあります。
Wavelane が原図をもとに描いた模式図(公式図版ではありません)
出典: 令和4年1月期 第1回 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB401)B-4(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
解かずに正答と解説を見る
正答: ア 6/イ 7/ウ 8/エ 9/オ 10
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
整合した信号源から線路を通してアンテナへ送る電力を、インピーダンスが最大になる点で式にし、定在波比で書き直して整合時と比べ、反射損から動作利得を導く過程を語群から選ぶ。
- ア: 解答 6((V0/(Z0 + Zmax))² Zmax)
- インピーダンスが最大になる点ではアンテナ側が純抵抗 Zmax に見える。信号源の内部インピーダンス Z0 と直列の回路として電流を出し、それを Zmax で消費する電力が線路へ入る電力で、無損失なのでそのままアンテナへ届く。
- イ: 解答 7(SZ0)
- 電圧が最大になる点で負荷側を見たインピーダンスは、特性インピーダンスの S 倍の純抵抗である。電圧最小点の Z0/S と対になる。
- ウ: 解答 8(SV0²/(Z0(1 + S)²))
- アの式の Zmax に SZ0 を入れると、分母は Z0 の2乗と (1+S) の2乗の積、分子は V0 の2乗と SZ0 の積になる。Z0 を1つ約分するとこの形になる。
- エ: 解答 9(V0²/(4Z0))
- 整合していれば S=1 なので、ウの式に代入すると V0 の2乗を 4Z0 で割った値になる。信号源から取り出せる最大の電力(有能電力)である。
- オ: 解答 10((1 + S)²/(4S))
- エをウで割ると、Z0 と V0 が消えて S だけの式が残る。S=1 で1になり、S が大きいほど大きくなるので、反射で目減りする割合を表す量として筋が通る。
ア〜オの解答は 6・7・8・9・10 である。
つまずきやすい点
- 電圧最大点の SZ0 と最小点の Z0/S を取り違えない。S²Z0 という候補もあるが、2乗にはならない。
- 反射損 M は1以上の量である。動作利得は G を M で割った 4SG/(1+S)² になり、必ず G 以下になる。
理由から確かめる
- アンテナ・電波測定の基礎アンテナ利得・インピーダンス整合・定在波・電圧定在波比(VSWR)
- 給電線と整合回路アンテナ利得・インピーダンス整合・アンテナの動作利得・電圧定在波比(VSWR)
- VSWR・反射係数アンテナ利得・インピーダンス整合・定在波・電圧定在波比(VSWR)