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wavelane

一陸技|無線工学B|過去問

令和3年1月期 第1回 B-5

要点(wavelane の要約): 大きな開口の中心と縁から小さなアンテナまでの距離の差を近似し、それが生む位相差、同位相と位相差ありの2つの電界の合成の大きさを順に立て、誤差が約2%に収まる最小の測定距離を導く過程を語群から選ばせる問題。縁までの距離に半径を使うことと、ベクトル図で余弦の符号を正しく取ることが要になる。

FB301 B-55点(ア〜オ 各1点)

原文(公式問題文)

B-5 次の記述は、アンテナ利得などの測定において、送信又は受信アンテナの一方の開口の大きさが波長に比べて大きいときの測定距離について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句を下の番号から選べ。ただし、任意の角度を α とすれば、cos²(α/2) = (1 + cos α)/2 である。なお、同じ記号の[ ]内には、同じ字句が入るものとする。 (1) 図 1 に示すように、アンテナ間の測定距離を L〔m〕、寸法が大きい方の円形開口面アンテナ 1 の直径を D〔m〕、その縁 P から小さい方のアンテナ 2 までの距離を L′〔m〕とすれば、L と L′ の距離の差 ΔL は、次式で表される。ただし、L > D とし、アンテナ 2 の大きさは無視できるものとする。  ΔL = L′ - L = [ ア ] - L   ≒ L{1 + (1/2)(D/(2L))²} - L = D²/(8L)〔m〕 ・・・・・・①  波長を λ〔m〕とすれば、ΔL による電波の位相差 Δθ は、次式となる。  Δθ = [ イ ]〔rad〕 ・・・・・・② (2) アンテナ 1 の中心からの電波の電界強度 Ė0〔V/m〕とその縁からの電波の電界強度 Ė0′〔V/m〕は、アンテナ 2 の点において、その大きさが等しく位相のみが異なるものとし、その大きさをいずれも E0〔V/m〕とすれば、Ė0 と Ė0′ との間に位相差がないときの受信点での合成電界強度の大きさ E〔V/m〕は、[ ウ ]〔V/m〕である。また、位相差が Δθ のときの合成電界強度 Ė′ の大きさ E′ は、図 2 のベクトル図から、次式で表される。  E′ = [ エ ] = [ ウ ] × cos(Δθ/2)〔V/m〕 ・・・・・・③  したがって、次式が得られる。  E′/E = cos(Δθ/2) ・・・・・・④ (3) 式④へ Δθ = π/8〔rad〕を代入すると、E′/E ≒ 0.98 となり、誤差は約 2〔%〕となる。したがって、誤差が約 2〔%〕以下となる最小の測定距離 Lmin は、式②から次式となる。  Lmin = [ オ ]〔m〕

〔図省略〕の位置 — wavelane による再現図(公式図版ではありません)。図の説明は引用の下にあります。

1 √(L² + D²)    2 πD²/(8λL)  3 √2E0  4 √2E0√(1 + cos Δθ)  5 2D²/λ 6 √(L² + (D/2)²)  7 πD²/(4λL)  8 2E0   9 √2E0√(1 - cos Δθ)  10 D²/λ

〔図省略〕は Wavelane による編集注で、公式図版があった位置を示します。その位置には Wavelane が描いた再現図を差し込んでいます(公式図版ではありません)。図の説明は下の図カードにあります。

Wavelane が原図をもとに描いた模式図(公式図版ではありません)

図の説明(Wavelane 独自・原文には含まれません): 図1は測定配置。左に直径 D の円形開口面のアンテナ1が縦に立ち、その中心から一点鎖線の軸上を右へ距離 L の位置に小さなアンテナ2がある。開口の上の縁 P からアンテナ2までの距離が L′ で、縁 P の近くに L′ と L の差 ΔL が記入されている。図2はベクトル図で、大きさの等しい Ė₀ と Ė₀′ が同じ点から角 Δθ をなして伸び、両者を2辺とする平行四辺形(破線)の対角線が合成電界 Ė′ である。

出典: 令和3年1月期 第1回 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB301)B-5(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会

ア〜オそれぞれに入る語を、上の原文の語群番号から選ぶ
ア
イ
ウ
エ
オ
解かずに正答と解説を見る

正答: ア 6/イ 7/ウ 8/エ 4/オ 5

要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。

wavelane の解説(公式の解説ではありません)

大きな開口の中心と縁からの距離の差が位相差を生み、それが2つの電界の合成を目減りさせる。誤差を約2%に抑える位相差から最小の測定距離が決まる。

ア: 解答 6(√(L² + (D/2)²))
縁 P は中心から半径 D/2 だけ離れているので、P からアンテナ2までの距離は、L と D/2 を2辺とする直角三角形の斜辺になる。直径 D をそのまま使うと、次の行の近似式の (D/(2L))² と合わない。
イ: 解答 7(πD²/(4λL))
距離の差を位相差へ直すには 2π/λ を掛ける。①の D²/(8L) に掛けると 2π が 8 と約分されて分母に 4 が残る。8 のままの候補は 2π ではなく π を掛けた形である。
ウ: 解答 8(2E0)
大きさの等しい2つの電界が同じ位相で重なれば、単純な和で2倍になる。√2 倍は位相が90度ずれたとき(電力の和)の値である。
エ: 解答 4(√2E0√(1 + cos Δθ))
図2のベクトル図で2辺の長さが E0、なす角が Δθ なので、余弦定理から合成の大きさの2乗は 2E0²(1 + cosΔθ) になる。与えられた半角の公式で書き直すと 2E0cos(Δθ/2) になり、③の右辺とつながる。引き算の候補は差のベクトルの大きさである。
オ: 解答 5(2D²/λ)
②の位相差を π/8 と置くと πD²/(4λL) = π/8 で、L について解くと 2D²/λ になる。これが遠方界測定でよく使われる最小距離の目安である。

ア〜オの解答は 6・7・8・4・5 である。

つまずきやすい点

  • 縁までの距離に効くのは半径である。直径を使うと距離の差が4倍に見積もられる。
  • 合成の大きさは余弦定理で出す。なす角が小さいほど大きくなる(足し算の側になる)ことを確かめれば、符号を取り違えない。
  • 最小距離 2D²/λ の D は開口の直径(最大寸法)であって、送受間の距離ではない。