一陸技|無線工学B|過去問
令和元年7月期 A-18
要点(wavelane の要約): 向かい合わせた2つの開口面の間で、最長経路と最短経路の差を平方根の近似で簡単な形に直し、その差を許せる大きさで抑えたときに必要な距離を組合せで答えさせる問題。分母の係数と、許容量が波長の何分の1かが分かれ目になる。
原文(公式問題文)
A-18 次の記述は、自由空間において開口面の直径が波長に比べて十分大きなアンテナの利得を測定する場合に考慮しなければならない送受信アンテナ間の最小距離について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 (1) 図に示すように、アンテナ 1 及びアンテナ 2 を距離 R1〔m〕離して対向させたとき、アンテナ 1 の開口面上の任意の点とアンテナ 2 の開口面上の任意の点の間の距離が一定でないため、両アンテナ開口面上の任意の点の間を伝搬する電波の相互間に位相差が生じ、測定誤差の原因となる。 (2) 最大の誤差は、両アンテナの開口面上の 2 点間の最長距離 R2〔m〕と最短距離 R1〔m〕との差によって決まり、その差 ΔR は、次式によって表される。ただし、アンテナ 1 及びアンテナ 2 の開口面の直径をそれぞれ D1〔m〕及び D2〔m〕とし、D1 + D2 ≪ R1 とする。 ΔR = R2 - R1 = √(R1² + (D1/2 + D2/2)²) - R1 ≒ [ A ]〔m〕 (3) 通路差による測定利得の誤差を 2〔%〕以内にするには、波長を λ〔m〕とすれば、通路差 ΔR が[ B ]以下であればよいことが知られているので、両アンテナ間の最小距離 Rmin は、次式で表される。 Rmin = [ C ]〔m〕
〔図省略〕の位置 — wavelane による再現図(公式図版ではありません)。図の説明は引用の下にあります。
A B C 1 (D1 + D2)²/(8R1) λ/16 (D1 + D2)²/(2λ) 2 (D1 + D2)²/(8R1) λ/4 (D1 + D2)²/(4λ) 3 (D1 + D2)²/(8R1) λ/16 2(D1 + D2)²/λ 4 (D1 + D2)²/(4R1) λ/16 2(D1 + D2)²/λ 5 (D1 + D2)²/(4R1) λ/4 (D1 + D2)²/(2λ)
〔図省略〕は Wavelane による編集注で、公式図版があった位置を示します。その位置には Wavelane が描いた再現図を差し込んでいます(公式図版ではありません)。図の説明は下の図カードにあります。
Wavelane が原図をもとに描いた模式図(公式図版ではありません)
出典: 令和元年7月期 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB107)A-18(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
解かずに正答と解説を見る
正答: 3
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
向かい合わせた2つの開口の間で、最長経路と最短経路の差を平方根の近似で簡単な形に直し、その差を許せる大きさで抑えたときに必要な距離を出す。
- 空欄 A: (D1 + D2)²/(8R1)
- 平方根の中身は、距離の2乗に開口の半径の和の2乗を足した形である。後者が十分小さいので、平方根を1次まで展開すると、差は小さいほうの量を距離の2倍で割った値になる。半径の和は直径の和の半分だから、2乗すると4分の1になり、展開で出る2と合わせて分母に8が現れる。
- 空欄 B: λ/16
- 波長の16分の1は、位相にすると22.5度にあたる。この程度に収めておけば、測った利得の誤差が目安の範囲に収まることが知られている。4分の1では位相差が90度にもなる。
- 空欄 C: 2(D1 + D2)²/λ
- A で得た形を B の値以下に抑える不等式を、距離について解く。分母の8と右辺の16が掛かって係数は2になる。
この組合せになっているのは選択肢 3 である。
つまずきやすい点
- 式に現れるのは2つの直径の和である。半径の和はその半分なので、2乗した時点で4分の1になる。分母が4の候補はこれを落とした形である。
- 周波数を上げるほど必要な距離は長くなる。波長が分母にあるためで、逆に覚えると条件を緩く見積もってしまう。
理由から確かめる
- アンテナ・電波測定の基礎アンテナ利得の測定・最小測定距離 Rmin = 2D²/λ・近傍界・遠方界の領域・通路差
- アンテナ方式図鑑近傍界・遠方界の領域・通路差
- 電磁界の続論とマイクロ波回路通路差