一陸技|無線工学B|過去問
平成31年1月期 A-8
要点(wavelane の要約): 複数の送信機を帯域フィルタで1本のアンテナへまとめる装置について、防ぎたい変調の呼び名、送信機どうしを切り離す量の呼び名、分岐点から各フィルタまでの線路を4分の1波長の何倍に選ぶかを組合せで答えさせる問題。短絡した線路が高いインピーダンスに見える長さが背景にある。
原文(公式問題文)
A-8 次の記述は、図に示す帯域フィルタ(BPF)を用いた送信アンテナ共用装置について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。なお、同じ記号の[ ]内には、同じ字句が入るものとする。 (1) 移動通信などの 1 つの基地局に多数の無線チャネルが用いられ多数の送信アンテナが設置される場合、送信電波の [ A ] 変調を防止するため、送信アンテナ相互間で所要の [ B ] を得る必要がある。この [ B ] は、アンテナを垂直又は水平に、一定の間隔をおいて配置することにより得られるが、送信アンテナの数が多くなると広い場所が必要になるため、送信アンテナ共用装置が用いられることが多い。 (2) 1 つの送信機出力は、サーキュレータとその送信周波数の帯域フィルタを通ってアンテナに向かう。他の送信機に対しては、分岐結合回路の分岐点から各帯域フィルタまでの線路の長さを送信波長の 1/4 の [ C ] とし、先端を短絡した 1/4 波長の [ C ] の長さの給電線と同じ働きになるようにして、分岐点から見たインピーダンスが無限大になるようにしている。 (3) しかし、一般に分岐点から見たインピーダンスが無限大になることはないので、他の 3 つの送信周波数のそれぞれの帯域フィルタのみでは十分な [ B ] が得られない。このため、さらにサーキュレータの吸収抵抗で消費させ、他の送信機への回り込みによる再放射を防いでいる。
〔図省略〕の位置 — wavelane による再現図(公式図版ではありません)。図の説明は引用の下にあります。
A B C 1 相互 結合減衰量 奇数倍 2 相互 結合減衰量 偶数倍 3 相互 耐電力 偶数倍 4 過 耐電力 奇数倍 5 過 結合減衰量 偶数倍
〔図省略〕は Wavelane による編集注で、公式図版があった位置を示します。その位置には Wavelane が描いた再現図を差し込んでいます(公式図版ではありません)。図の説明は下の図カードにあります。
Wavelane が原図をもとに描いた模式図(公式図版ではありません)
出典: 平成31年1月期 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB101)A-8(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
解かずに正答と解説を見る
正答: 1
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
多数の送信機を1本のアンテナへまとめる装置では、送信機どうしの相互変調を防ぐために結合減衰量を確保する。分岐点から各フィルタまでを1/4波長の奇数倍にして、ほかの周波数からは開放に見せる。
- 空欄 A: 相互
- 近くにある別の送信機の電波が自分の送信機の終段へ入り込むと、両者の周波数が混ざった不要な成分が出る。これを相互変調と呼び、アンテナを離したり共用装置を使ったりするのはこれを防ぐためである。過変調は自分の変調の深さの問題で、アンテナの配置とは関係しない。
- 空欄 B: 結合減衰量
- 送信機どうしの間でどれだけ電力が減衰して届くかを表す量が結合減衰量で、これを大きくとるほど回り込みが減る。耐電力は部品が扱える電力の上限で、回り込みの大小とは別の量である。
- 空欄 C: 奇数倍
- 先端を短絡した線路は、長さが1/4波長の奇数倍のとき入力端から無限大のインピーダンスに見える。偶数倍(半波長の整数倍)だと短絡がそのまま見えて、分岐点を短絡してしまう。
この組合せになっているのは選択肢 1 である。
つまずきやすい点
- FB707 A-9 は空欄 C で「1/4」という分数そのものを問うていた。本問は1/4波長の何倍かを問うていて、聞き方が違う。
- 短絡線路は1/4波長で開放、半波長で短絡に見える。奇数倍と偶数倍の役割を逆にしない。
理由から確かめる
- 電磁界の続論とマイクロ波回路送信アンテナ共用装置・サーキュレータ・結合減衰量・相互変調・短絡給電線(短絡スタブ)の入力インピーダンス
- 給電線と整合回路短絡給電線(短絡スタブ)の入力インピーダンス