一陸技|無線工学B|過去問
平成30年7月期 B-4
要点(wavelane の要約): マイクロ波とミリ波の伝わり方について、大気の分子による共鳴吸収の周波数、霧や細かい雨による減衰の原因と周波数依存、降雨減衰の原因と大きくなる条件、偏波の分離度が落ちる理由、雨による散乱が回線間の干渉を生むことを、記述ごとに正誤で答えさせる問題。FB807 B-1 の語群形式を正誤形式にした題材である。
原文(公式問題文)
B-4 次の記述は、SHF 帯及び EHF 帯の電波の伝搬について述べたものである。このうち正しいものを 1、誤っているものを 2 として解答せよ。 ア 晴天時の大気ガスによる電波の共鳴吸収は、主に酸素及び水蒸気分子によるものであり、100〔GHz〕以下では、22〔GHz〕付近に酸素分子の共鳴周波数が、60〔GHz〕付近に水蒸気分子の共鳴周波数がある。 イ 霧や細かい雨などのように波長に比べて十分小さい直径の水滴による減衰は、主に吸収によるものであり、周波数が高くなると増加する。 ウ 降雨による減衰は、雨滴による吸収と散乱で生じ、概ね 10〔GHz〕以上で顕著になり、200〔GHz〕付近までは周波数が高いほど、また、降雨強度が大きいほど、減衰量が大きくなる。 エ 降雨による交差偏波識別度の劣化は、扁平な雨滴に進入する電波の減衰及び位相回転の大きさが偏波の方向によって異なることと無関係である。 オ 二つの通信回線のアンテナビームが交差している領域に降雨があると、雨滴による散乱のために通信回線に干渉を起こすことがある。
出典: 平成30年7月期 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB007)B-4(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
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正答: ア 2/イ 1/ウ 1/エ 2/オ 1
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
マイクロ波・ミリ波の大気と雨による減衰について記述ごとに正誤を答える。酸素と水蒸気の共鳴周波数を入れ替えたアと、扁平な雨滴が偏波で異なる影響を与えることを否定したエが誤り。
- ア: 解答 2(誤っている)
- 誤っている。100 GHz 以下の共鳴吸収は、約 22 GHz が水蒸気、約 60 GHz が酸素である。記述は2つの分子を入れ替えている。
- イ: 解答 1(正しい)
- 正しい。波長に比べて十分小さい水滴では散乱はほとんど起きず、減衰は主に吸収による。その吸収は周波数が高いほど大きくなる。
- ウ: 解答 1(正しい)
- 正しい。雨による減衰は雨滴の吸収と散乱の両方で起き、10 GHz を超えると目立ち始め、200 GHz 付近までは周波数と雨の強さが増すほど大きくなる。
- エ: 解答 2(誤っている)
- 誤っている。落下する雨滴は横に平たい形になるため、水平偏波と垂直偏波で減衰量も位相の回り方も違う。この差が交差偏波識別度を劣化させる原因そのものであり、無関係ではない。
- オ: 解答 1(正しい)
- 正しい。2つの回線のビームが交わる空間に雨が降ると、雨滴で散乱された一方の回線の電波が他方のアンテナへ入り、干渉の原因になる(降雨散乱干渉)。
ア〜オの解答は 2・1・1・2・1 である。
つまずきやすい点
- 22 GHz と 60 GHz はどちらも共鳴吸収の頻出値である。水蒸気の方が低い周波数(22 GHz)と、数字の小さい順で覚えておくと入れ替えに気づける。
- エは「無関係である」と言い切る否定形で誤りを作っている。FB807 B-1 では同じ現象を「扁平な雨滴」が原因と答えさせていた。