一陸技|無線工学B|過去問
令和5年7月期 第2回 A-1
要点(wavelane の要約): 正弦的に変化する電磁界の基本2式から磁界を消して電界だけの式を作る手順を、両辺に施す演算、ベクトル恒等式で現れる演算子、伝搬定数の2乗の符号まで組合せで答えさせる問題。回転と発散の取り違えと、最後の符号が分かれ目になる。
原文(公式問題文)
A-1 次の記述は、マクスウェルの方程式から波動方程式を導出する過程について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、媒質は等方性、非分散性、線形、均質として、誘電率を ε〔F/m〕、透磁率を μ〔H/m〕及び導電率を σ〔S/m〕とする。なお、同じ記号の[ ]内には、同じ字句が入るものとする。 (1) 電界 E〔V/m〕と磁界 H〔A/m〕が共に角周波数 ω〔rad/s〕で正弦的に変化しているとき、両者の間には以下のマクスウェルの方程式が成立しているものとする。 ∇ × E = -jωμH ・・・・・・① ∇ × H = (σ + jωε) E ・・・・・・② (2) 式①の両辺の[ A ]をとると、次式が得られる。 [ B ] ∇ × E = -jωμ [ B ] H ・・・・・・③ (3) 式③の左辺は、ベクトルの公式により、以下のように表される。 [ B ] ∇ × E = ∇∇・E - ∇²E ・・・・・・④ (4) 通常の媒質中では、電子やイオンは存在しないとして、 ∇・E = 0 ・・・・・・⑤ (5) 式②~⑤から、H を消去して、E に関する以下の波動方程式が得られる。 [ C ] E + γ²E = 0 ここで、γ² = [ D ] であり、γ は伝搬定数と呼ばれている。 (6) また、H に関する波動方程式は以下のようになる。 [ C ] H + γ²H = 0 A B C D 1 回転 ∇× ∇・ jωμ(σ + jωε) 2 回転 ∇・ ∇² jωμ(σ + jωε) 3 回転 ∇× ∇² -jωμ(σ + jωε) 4 発散 ∇× ∇・ -jωμ(σ + jωε) 5 発散 ∇・ ∇² jωμ(σ + jωε)
出典: 令和5年7月期 第2回 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB508)A-1(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
解かずに正答と解説を見る
正答: 3
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
回転の式の両辺にもう一度回転をとり、ベクトル恒等式で書き換えて磁界を消す。最後に移項したときの符号で、伝搬定数の2乗の符号が決まる。
- 空欄 A: 回転
- ①の左辺はすでに電界の回転なので、もう一度回転をとれば②の左辺の形(磁界の回転)を右辺に呼び込める。発散をとると、どんなベクトルでも回転の発散は零なので何も得られない。
- 空欄 B: ∇×
- 回転をとる操作は ∇× を左から掛けることである。左辺は電界の回転の回転、右辺は磁界の回転になり、②をそのまま代入できる。∇・ を置くと左辺は恒等的に零になってしまう。
- 空欄 C: ∇²
- 回転の回転は、発散の勾配からラプラシアンを引いた形に書き換えられる。媒質中で電界の発散は零なので、ラプラシアンの項だけが残る。波動方程式の左辺に入るのはこのラプラシアンである。
- 空欄 D: −jωμ(σ + jωε)
- ④の左辺は −∇²E、右辺は②を代入して −jωμ(σ + jωε)E になる。全体に −1 を掛けて移項すると、∇²E に jωμ(σ + jωε)E を引く形になるので、γ² を足す形で書くには γ² が負号つきになる。
この組合せになっているのは選択肢 3 である。
つまずきやすい点
- 回転と発散を取り違えない。回転の発散は常に零なので、発散をとっても式は進まない。
- 最後の移項で符号を落としやすい。−∇²E = −jωμ(σ + jωε)E から始めて、1 行ずつ符号を追う。
- 真空(σ=0)なら γ² = ω²με になり、よく知られた波数の2乗に戻る。符号の検算に使える。
理由から確かめる
- マクスウェルの方程式 徹底解説拡張されたアンペアの法則・ファラデーの法則・マクスウェルの方程式・波動方程式