一陸技|無線工学B|過去問
令和2年11月臨時 第2回 A-1
要点(wavelane の要約): 角周波数で正弦的に変化する場の2本の回転の式から、電界だけの方程式へ進む手順を4か所の空欄で追わせる問題。最初に施す演算の名前、ベクトル恒等式で現れる演算子、得られる方程式の微分演算子、伝搬定数の2乗に入る符号つきの積が分かれ目になる。
原文(公式問題文)
A-1 次の記述は、マクスウェルの方程式から波動方程式を導出する過程について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、媒質は等方性、非分散性、線形、均質として、誘電率を ε〔F/m〕、透磁率を μ〔H/m〕及び導電率を σ〔S/m〕とする。なお、同じ記号の[ ]内には、同じ字句が入るものとする。 (1) 電界 E〔V/m〕と磁界 H〔A/m〕が共に角周波数 ω〔rad/s〕で正弦的に変化しているとき、両者の間には以下のマクスウェルの方程式が成立しているものとする。 ∇ × E = -jωμH ・・・・・・① ∇ × H = (σ + jωε) E ・・・・・・② (2) 式①の両辺の[ A ]をとると、次式が得られる。 [ B ] ∇ × E = -jωμ [ B ] H ・・・・・・③ (3) 式③の左辺は、ベクトルの公式により、以下のように表される。 [ B ] ∇ × E = ∇∇・E - ∇²E ・・・・・・④ (4) 通常の媒質中では、電子やイオンは存在しないので、 ∇・E = 0 ・・・・・・⑤ (5) 式②~⑤から、H を消去して、E に関する以下の波動方程式が得られる。 [ C ] E + γ²E = 0 ここで、γ² = [ D ] であり、γ は伝搬定数と呼ばれている。 (6) また、H に関する波動方程式は以下のようになる。 [ C ] H + γ²H = 0 A B C D 1 発散 ∇× ∇・ -jωμ(σ + jωε) 2 発散 ∇・ ∇² jωμ(σ + jωε) 3 回転 ∇・ ∇・ jωμ(σ + jωε) 4 回転 ∇× ∇・ -jωμ(σ + jωε) 5 回転 ∇× ∇² -jωμ(σ + jωε)
出典: 令和2年11月臨時 第2回 第一級陸上無線技術士「無線工学B」(FB212)A-1(本試験問題)。公益財団法人日本無線協会
解かずに正答と解説を見る
正答: 5
要確認: この正答と解説は、公式解答表との機械的な照合は済んでいますが、人による照合はまだです。 公式と食い違って見えるときは、出典の解答PDFを優先し、サポートからお知らせください。
wavelane の解説(公式の解説ではありません)
電界の回転の式からもう一度回転を取り、ベクトル恒等式と発散0の条件で整理すると、電界だけの方程式になる。伝搬定数の2乗の符号は移項の向きで決まる。
- 空欄 A: 回転
- 左辺の ∇×E にもう一度 ∇× を作用させると、右辺に ∇×H が現れて②の式が使える。発散を取ると左辺が恒等的に0になり、何も得られない。
- 空欄 B: ∇×
- 回転を取る演算子なので ∇× である。④の左辺が ∇×∇×E の形になっていることからも確かめられる。
- 空欄 C: ∇²
- ④で ∇・E=0 を使うと ∇×∇×E は −∇²E だけになる。残る微分演算子はラプラシアンである。
- 空欄 D: −jωμ(σ + jωε)
- ③の右辺に②を入れると −jωμ(σ+jωε)E になる。左辺の −∇²E と等しいので、∇²E を左へまとめると E の係数として −jωμ(σ+jωε) が残る。
この組合せになっているのは選択肢 5 である。
つまずきやすい点
- ∇² と ∇・ を取り違えた選択肢がある。∇・ はベクトルをスカラーにする演算で、方程式の形が合わない。
- D の符号は移項で決まる。右辺の負号を落とすと符号が逆の候補を選んでしまう。
理由から確かめる
- マクスウェルの方程式 徹底解説拡張されたアンペアの法則・ファラデーの法則・マクスウェルの方程式・波動方程式